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出会い1
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番は魂の片割れで唯一無二の存在だ。番と出会い、甘い一時を過ごしてしまったらもう離れることなど考えられない。番を害する者はどんな人であろうとも排除しようとする。
フロムナード王国は竜人の国。竜化できるほど血が濃いのは今では王族直系のみ。竜人の血は引いているが段々と血が薄まっている。限りなく血は薄まってるけど、多少なりとも竜人の血を引いているからか他の国の民と比べ、身体能力が高い者が多い。
血が薄いと竜の本能である番を察知する能力が弱くなり
一生涯番を見つけられないことも少なくない。番を見つけられないと狂ってしまうとされているが、能力が薄まっていれば番に対する渇望も少なく、狂うこともなくなる。
番本人や番がいる竜人に手を出すのは自殺行為。しかしいなければすり寄っても余程のことがなければ罪に問われないのだ。
「イディオス様ぁ、夜会の招待状を送らせていただきましたわぁ。是非、いらしてくださいませ」
「名前を呼ぶことを許可していない」
「そんな冷たいことをおっしゃらないで。
私達の仲なんですから」
この女は王族に対するマナーを学んでいないのか?下位の貴族は上位の貴族が声をかけるまで挨拶できないとされている。王族は最上位。このルールは適用される。
騎士として生計を立てているから許されると思っているのか。
「貴女、爵位は?」
「ゴフラン子爵ですわ。我が家は資金が沢山ありますもの。イディオス様の正室となるに相応しいですわ」
「子爵程度がでしゃばらないでくださいます?
私は伯爵令嬢よ」
「資金が乏しい伯爵家ね。
子爵家にすら劣っているみすぼらしい家」
「何ですって!?」
公爵・侯爵レベルともなると血が濃く、竜化はできないものの番の本能はかなり残っている。故にこの女達のように番でもないのにすり寄ってくる者達はいない。
すり寄ってくるのは王族が嫁いだことのない、伯爵・子爵・男爵家の者だ。
(ん?甘い香りがする)
目の前に香水臭い女がいるというのにハッキリと薫る甘い香り。
イディオスは番の性質を唐突に思い出した。甘い香りがするのは番が近くにいるか、死に瀕しているからであると。
ギャオオオオッ
「ひいっ」
竜化して飛び立とうとすると鳴き声に気づいた父・兄・騎士が駆けつけてきた。近くにいた女は連れていかれた。
(早く、早く速く早く番の側へ行かねば!)
空へ飛び立った。
「イディオス!?」
「…………エドマリス、放っておけ」
「何で………ああ、番ですか」
既に番がいる身。番への渇望はよく分かる。
「どんな娘であろうか」
「それよりも父上、治癒師を待機させておいた方がよろしいのでは?この場に番がいないのにいるのが分かったということは甘い香りがしたのでしょう。甘い香りがするのは番が近くにいるか、死に瀕しているからだと聞きました」
「ふむ。待機させておこう」
フロムナード王国は竜人の国。竜化できるほど血が濃いのは今では王族直系のみ。竜人の血は引いているが段々と血が薄まっている。限りなく血は薄まってるけど、多少なりとも竜人の血を引いているからか他の国の民と比べ、身体能力が高い者が多い。
血が薄いと竜の本能である番を察知する能力が弱くなり
一生涯番を見つけられないことも少なくない。番を見つけられないと狂ってしまうとされているが、能力が薄まっていれば番に対する渇望も少なく、狂うこともなくなる。
番本人や番がいる竜人に手を出すのは自殺行為。しかしいなければすり寄っても余程のことがなければ罪に問われないのだ。
「イディオス様ぁ、夜会の招待状を送らせていただきましたわぁ。是非、いらしてくださいませ」
「名前を呼ぶことを許可していない」
「そんな冷たいことをおっしゃらないで。
私達の仲なんですから」
この女は王族に対するマナーを学んでいないのか?下位の貴族は上位の貴族が声をかけるまで挨拶できないとされている。王族は最上位。このルールは適用される。
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「貴女、爵位は?」
「ゴフラン子爵ですわ。我が家は資金が沢山ありますもの。イディオス様の正室となるに相応しいですわ」
「子爵程度がでしゃばらないでくださいます?
私は伯爵令嬢よ」
「資金が乏しい伯爵家ね。
子爵家にすら劣っているみすぼらしい家」
「何ですって!?」
公爵・侯爵レベルともなると血が濃く、竜化はできないものの番の本能はかなり残っている。故にこの女達のように番でもないのにすり寄ってくる者達はいない。
すり寄ってくるのは王族が嫁いだことのない、伯爵・子爵・男爵家の者だ。
(ん?甘い香りがする)
目の前に香水臭い女がいるというのにハッキリと薫る甘い香り。
イディオスは番の性質を唐突に思い出した。甘い香りがするのは番が近くにいるか、死に瀕しているからであると。
ギャオオオオッ
「ひいっ」
竜化して飛び立とうとすると鳴き声に気づいた父・兄・騎士が駆けつけてきた。近くにいた女は連れていかれた。
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「イディオス!?」
「…………エドマリス、放っておけ」
「何で………ああ、番ですか」
既に番がいる身。番への渇望はよく分かる。
「どんな娘であろうか」
「それよりも父上、治癒師を待機させておいた方がよろしいのでは?この場に番がいないのにいるのが分かったということは甘い香りがしたのでしょう。甘い香りがするのは番が近くにいるか、死に瀕しているからだと聞きました」
「ふむ。待機させておこう」
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