乙女ゲームに転生したことに気づかない~氷上の舞姫~

クロウ

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三木風雅ルート

テスト当日

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 テストは午前に3つ、4日間かけて行われる。
赤点は30点未満。29点以下は取ったら問答無用で補習だ。1年生と2年生は12教科あるけど3年生からは
6教科+選択科目なので幾分かは楽になる。
早く3年生になりたい。


今日は現代文・古典・英語だ。




「栞?」


「うう~。」


「頑張って!いい点数を取ったらお菓子を作ってあげるから。」




 勉強が苦手だという栞はお菓子で釣った。
試験勉強を長時間真面目にしてくれるようになり、
かなりいい線まで行けると思う。




「頑張る………。」




 皆栞まではいかないものの喋っている人は殆どいなく、少し空気がピリピリしている。




「おーい、席に着け。」




 先生が入ってきた。1時間目は現代文。頑張ろう。


 漢字の書きと読みが出題されてるんだけど
1問1点だしそんなに問題数が多くない。
文章をじっくり読みすぎて時間切れになるのは嫌なので
問題文の前後を読んで答えていった。




キーンコーンカーンコーン




 時間はギリギリ。見直しも1回だけどできたので
良しとしよう。




「大丈夫?」


「まあ文系は何とか。」




 栞の苦手な理系は明日。終わった頃には屍になって
そうな予感。


 2時間目の古典、3時間目の英語。
余裕をもって解答欄を埋めることができた。


栞はどうかな?と見てみると疲労困憊な様子。
号令し終わった後に駆け寄った。




「生きてる?」




 友紀がそう声をかけた。




「ねえ。」


「ん?」


「現代文と英語は兎も角、古典はその分野に就職しない
限り必要ないよね?」


「あはは、まあ将来何になるか分からないし、
学んでおくに越したことはないんじゃない?」


「私の将来に古典・化学・物理・生物・日本史・世界史は必要ない。」




 口では嫌々言ってるけど最終的には試験勉強も
しっかりとしていたし、飲み込みはいいんだよなあ。




「さ、行こ?」




 試験期間中、生徒会の邸の一室で勉強をしていいとの
許可が出たのだ。
あそこなら静かで勉強に集中できるし、
休憩スペースがあるのでゆったりとできる。


 警備員さんには何回か会ってるし、顔パスで入れた。




「(今日は風雅先輩に1回も会ってないなあ。
って何を考えてるの!?
会うことが当たり前みたいな………)」




ブンブンブン




 頭を振って思考を切り替える。




「どうしたの?」


「何でもない。」


「そう?」


「うん。」




 今は試験勉強中。風雅先輩のことを考える暇なんて
無いったら無い!




「椎名、ここを教えてくれるか?」


「いいよ~。あ、ここはこうして…………


「ありがとう。」


「いえいえ。」




 勉強に没頭することができたお陰で風雅先輩のことを
考えずにすむことができた。




「もうこんな時間か。」


「帰ろっか。」


「(よくよく見てみれば自分の周りって顔面偏差値が
高い人ばっかりだよなあ。
男子3人はファンクラブがあるみたいだし。

ハッ!時々鋭い視線を感じるのはそのせい!?
でも友達だから離れるなんて考えられないし。

火村君はヤンチャ系、八重崎君はインテリ眼鏡系、
時雨君はかわいい系、風雅先輩は王子さ………)


「楓ちゃん!」


「きゃあああ!」




 いつの間にか目の前に風雅先輩がいた。
ちょうど風雅先輩のことを考えてしまっていたので
ビックリした。




「驚かせちゃってごめんね。」


「こちらこそ大声を出してしまってすみません!」


「暗いし、送るよ?」


「いえいえ、そんな!ってあれ?皆がいない。」


「お先に失礼しますって言って帰っちゃったよ?」




 考え事をしていて気づかなかった。




「さ、乗って。」




 車に乗って送ってもらったわけだが何故か記憶がない。変なことをしていなければいいけど。
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