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7,イタキモチイイ
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「猫耳、犬耳、それから……これは目立ちすぎかもしれませんが、ウサギ耳のカチューシャも」
類の頬から手を離すと、帝はクロゼットから次々とアクセサリーを取り出す。
「え、なんですかこれ?」
ひとつ手に取った類は、そのクオリティに驚いた。少なくともおもちゃには見えなかった。
「見ればわかるでしょう、カチューシャです。ライオンのもありますが、まあアナタはライオンって柄ではありませんしね」
ファーに縁取られたライオン耳のカチューシャは、類の頭部に当てられて、再びクロゼットにしまわれた。
「カチューシャはわかりましたけど……、一体なんに使うんですか?」
「はあ。説明しなければわかりませんか」
もう一度振り向いた帝は呆れ顔だ。
「さっき言いましたよね? この街では人間は目立つって。ですからまず、見た目をごまかしましょう。あなたのその、つるんとした頭部はセクシーすぎるので……」
「せ、セクシー?」
「それじゃ裸で外に出るのと同じですよ」
「裸……!?」
(そうだったんだ……)
どうりで人から見られるわけだと思った。
「じゃあ……頭に何かつけた方がいいんですか?」
「当然です」
しかし童顔だとはいえ、25歳の男が、こんなかわいいものをつけていいのか。
たまたま手に取っていた猫耳カチューシャを恐る恐る頭に持っていきながら、類の手は羞恥心にためらった。
「猫、似合いますね。押し倒したくなります」
帝が手を止め真顔で言ってくる。
「えっ、それじゃ逆効果じゃないですか」
この人はさらりと何を言っているのか。類には理解できない。
「それでも人間の姿よりはだいぶマシだと思います。アナタが人間の姿のままだと、私はアナタを天井から吊してムチでいじめながら犯したくなるので」
彼は真顔のまま続けた。
「それは帝さんの人間性……いや、獣人性の問題では……」
類が思わずツッコむと、彼はにこやかに言った。
「大丈夫ですよ。私にも人並みの理性はあるので」
「……いや、考えてること自体が……」
「何か言いましたか?」
今度は笑いを引っ込めて、銀縁眼鏡を押し上げる。
「いえ、何も……」
類は目を逸らした。この人には必要以上に関わらない方がいい。そう本能が言っている。
帝は類の髪につけるカチューシャを吟味したあと、満足そうに口角を持ち上げた。
「これで出社しましょう」
最後に類の頭についていたのは、犬の垂れた白い耳だった。
それほど目立たないものになって、類も少しほっとする。
「それと、最後にお仕置き」
「えっ……!?」
何をされるのかと身構える。
帝は右手の中指を前歯で押さえて白手袋を外すと、素手で類の上半身に触れてきた。
「なっ、何……?」
「………………」
無言で壁際まで追い詰められる。
「ちょっとだけいじめてあげます」
シャツを胸までめくり上げ、胸の先をギュッとつままれた。
「ひあっ!」
「ああ、なんて可愛い乳首でしょう」
「痛いって!」
「軽く爪を立ててあげただけです」
「あんっ……」
痛気持ちいい絶妙なお仕置きに、抵抗の意思は起きなかった。
逆に気持ちよくされたことに、類は軽い屈辱感を覚える。
「帝さん……こういうのダメ……」
「ダメならもうしないでください」
耳元で甘ったるい声が響いた。
帝は名残惜しそうに類の胸の先をこねてから、ゆっくりと手を離す。
「次から男が欲しければ、私に言いなさい。私が満足させてあげます。あなたが『もっと』って泣いておねだりする姿は、きっととても可憐でしょうね」
最後は優しく、耳元にキスをされた。
類の頬から手を離すと、帝はクロゼットから次々とアクセサリーを取り出す。
「え、なんですかこれ?」
ひとつ手に取った類は、そのクオリティに驚いた。少なくともおもちゃには見えなかった。
「見ればわかるでしょう、カチューシャです。ライオンのもありますが、まあアナタはライオンって柄ではありませんしね」
ファーに縁取られたライオン耳のカチューシャは、類の頭部に当てられて、再びクロゼットにしまわれた。
「カチューシャはわかりましたけど……、一体なんに使うんですか?」
「はあ。説明しなければわかりませんか」
もう一度振り向いた帝は呆れ顔だ。
「さっき言いましたよね? この街では人間は目立つって。ですからまず、見た目をごまかしましょう。あなたのその、つるんとした頭部はセクシーすぎるので……」
「せ、セクシー?」
「それじゃ裸で外に出るのと同じですよ」
「裸……!?」
(そうだったんだ……)
どうりで人から見られるわけだと思った。
「じゃあ……頭に何かつけた方がいいんですか?」
「当然です」
しかし童顔だとはいえ、25歳の男が、こんなかわいいものをつけていいのか。
たまたま手に取っていた猫耳カチューシャを恐る恐る頭に持っていきながら、類の手は羞恥心にためらった。
「猫、似合いますね。押し倒したくなります」
帝が手を止め真顔で言ってくる。
「えっ、それじゃ逆効果じゃないですか」
この人はさらりと何を言っているのか。類には理解できない。
「それでも人間の姿よりはだいぶマシだと思います。アナタが人間の姿のままだと、私はアナタを天井から吊してムチでいじめながら犯したくなるので」
彼は真顔のまま続けた。
「それは帝さんの人間性……いや、獣人性の問題では……」
類が思わずツッコむと、彼はにこやかに言った。
「大丈夫ですよ。私にも人並みの理性はあるので」
「……いや、考えてること自体が……」
「何か言いましたか?」
今度は笑いを引っ込めて、銀縁眼鏡を押し上げる。
「いえ、何も……」
類は目を逸らした。この人には必要以上に関わらない方がいい。そう本能が言っている。
帝は類の髪につけるカチューシャを吟味したあと、満足そうに口角を持ち上げた。
「これで出社しましょう」
最後に類の頭についていたのは、犬の垂れた白い耳だった。
それほど目立たないものになって、類も少しほっとする。
「それと、最後にお仕置き」
「えっ……!?」
何をされるのかと身構える。
帝は右手の中指を前歯で押さえて白手袋を外すと、素手で類の上半身に触れてきた。
「なっ、何……?」
「………………」
無言で壁際まで追い詰められる。
「ちょっとだけいじめてあげます」
シャツを胸までめくり上げ、胸の先をギュッとつままれた。
「ひあっ!」
「ああ、なんて可愛い乳首でしょう」
「痛いって!」
「軽く爪を立ててあげただけです」
「あんっ……」
痛気持ちいい絶妙なお仕置きに、抵抗の意思は起きなかった。
逆に気持ちよくされたことに、類は軽い屈辱感を覚える。
「帝さん……こういうのダメ……」
「ダメならもうしないでください」
耳元で甘ったるい声が響いた。
帝は名残惜しそうに類の胸の先をこねてから、ゆっくりと手を離す。
「次から男が欲しければ、私に言いなさい。私が満足させてあげます。あなたが『もっと』って泣いておねだりする姿は、きっととても可憐でしょうね」
最後は優しく、耳元にキスをされた。
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