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4,作法*
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17歳の時、家庭教師の男に言い寄られて初めてを許した。
それから心療内科の先生。診察室でふたりきりになると、欲望を抑えきれないみたいだった。
ほか、親が経営していた会社の警備員も……。
怖かったり、傷ついたりもしたのに、みんな自分のしたことがバレそうになると、類のせいにして逃げていった。
けど今回は……。
「虎さんあのっ、ぼくうしろをぐちゃぐちゃされるのがきもちいいんです!」
自ら裸になってベッドに上がった類を、虎型獣人はしばらく無表情で眺めていた。
勢いでホテルに入ってしまったものの、本当にできるのかどうか、あるいは倫理的にしていいのかどうか、彼は思案しているようだった。
それから「よし!」と勢いよく服を脱ぐ。その時には黄色い瞳がギラギラと輝いていた。
(あ……)
スプリングを弾ませベッドに乗る彼を見て、類の心は躍る。
彼の体は類の二倍くらい厚みがあったけれど、人間のそれと変わらない様子だった。ただムチのようにしなるシマシマの尻尾が、彼を追いかけるようについてくる。
ぼーっと見ていたら、肩を押されて上半身をシーツに押しつけられた。
「尻こっち!」
「え……?」
「挿れてほしいんだろ?」
彼が類に跨がり、尻尾をふくらはぎの辺りに絡めてきた。
その硬い肌触りにぞくっとする。
「ほら、早く」
どこか気が抜けて優しそうに見えた彼の顔が、今は狩りをする時の雄の表情に変わっていた。
「虎さん、優しくして……」
類は恐る恐る尻を差しだす。
「人間とはやったことねーから、どういうのが優しいのかわかんねーな」
「ぼくだって、獣人サンとは初めてなんですけど……!」
「そうか。肉食獣には気をつけた方がいいぞ。今は人型に進化してても、本能が目覚めてヤバいことになるヤツもいる」
「ヤバいことって?」
「ニュースとか見ねえのか?」
なるほど……。血を見ることになるのは想像に難くなかった。
「まあ手加減する」
後ろに硬いものが押しつけられた。彼のがどんな形をしているのか。見たいけれども見るのが怖い。ペニスにいぼやとげを持つ生き物もいると聞く。
けれど彼が動いた拍子にちらっと見えて、性器にきちんとコンドームが被せられているのは見て取れた。
たぶん大丈夫だ。潤滑剤でぬめっているし、きっといける。
そう思った途端に首の後ろを、牙で押さえられた。
「ふえっ!」
コンドームを被った虎型獣人の性器が、類の中に埋め込まれる。
「ひぁああっ!」
今まで受け入れたことのなかった大きさに、悲鳴が出た。
類の首を押さえ込んだ、彼の上顎と下顎の間で舌が動く。
(え……?)
優しく舐めてくれているみたいだった。
牙も刺さってこないから甘噛みだ。
虎型獣人の性行為の作法はわからないけれど、優しくしようとしてくれているんだということは、類にもなんとなくわかった。
「……虎さん……」
震える声で名前を呼ぶと、抽挿がゆっくりと始まる。
「ああっ……」
初めは大きさに違和感を感じていたけれど、次第に体が順応していくのがわかった。
大きいので中をこすられるのは気持ちいい。
「あんっ、とらさん……キモチイイ……」
正直に伝えると、彼は探り探り動きを変えていった。
類の一番感じる場所と強さを探してくれているらしい。
「ああん、ああ……っ、ねえ、ぼくっ、とらさんのこと……好きかも?」
「名前も知らないのに?」
甘噛みする口を外して笑われた。
そうだ、名前聞きそびれてた。この人はなんて名前なんだろう。
聞きたいのに、いいところを突かれるともう思考が乱れてしまって、類は言葉にならない声だけをあげ続けた。
それから心療内科の先生。診察室でふたりきりになると、欲望を抑えきれないみたいだった。
ほか、親が経営していた会社の警備員も……。
怖かったり、傷ついたりもしたのに、みんな自分のしたことがバレそうになると、類のせいにして逃げていった。
けど今回は……。
「虎さんあのっ、ぼくうしろをぐちゃぐちゃされるのがきもちいいんです!」
自ら裸になってベッドに上がった類を、虎型獣人はしばらく無表情で眺めていた。
勢いでホテルに入ってしまったものの、本当にできるのかどうか、あるいは倫理的にしていいのかどうか、彼は思案しているようだった。
それから「よし!」と勢いよく服を脱ぐ。その時には黄色い瞳がギラギラと輝いていた。
(あ……)
スプリングを弾ませベッドに乗る彼を見て、類の心は躍る。
彼の体は類の二倍くらい厚みがあったけれど、人間のそれと変わらない様子だった。ただムチのようにしなるシマシマの尻尾が、彼を追いかけるようについてくる。
ぼーっと見ていたら、肩を押されて上半身をシーツに押しつけられた。
「尻こっち!」
「え……?」
「挿れてほしいんだろ?」
彼が類に跨がり、尻尾をふくらはぎの辺りに絡めてきた。
その硬い肌触りにぞくっとする。
「ほら、早く」
どこか気が抜けて優しそうに見えた彼の顔が、今は狩りをする時の雄の表情に変わっていた。
「虎さん、優しくして……」
類は恐る恐る尻を差しだす。
「人間とはやったことねーから、どういうのが優しいのかわかんねーな」
「ぼくだって、獣人サンとは初めてなんですけど……!」
「そうか。肉食獣には気をつけた方がいいぞ。今は人型に進化してても、本能が目覚めてヤバいことになるヤツもいる」
「ヤバいことって?」
「ニュースとか見ねえのか?」
なるほど……。血を見ることになるのは想像に難くなかった。
「まあ手加減する」
後ろに硬いものが押しつけられた。彼のがどんな形をしているのか。見たいけれども見るのが怖い。ペニスにいぼやとげを持つ生き物もいると聞く。
けれど彼が動いた拍子にちらっと見えて、性器にきちんとコンドームが被せられているのは見て取れた。
たぶん大丈夫だ。潤滑剤でぬめっているし、きっといける。
そう思った途端に首の後ろを、牙で押さえられた。
「ふえっ!」
コンドームを被った虎型獣人の性器が、類の中に埋め込まれる。
「ひぁああっ!」
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類の首を押さえ込んだ、彼の上顎と下顎の間で舌が動く。
(え……?)
優しく舐めてくれているみたいだった。
牙も刺さってこないから甘噛みだ。
虎型獣人の性行為の作法はわからないけれど、優しくしようとしてくれているんだということは、類にもなんとなくわかった。
「……虎さん……」
震える声で名前を呼ぶと、抽挿がゆっくりと始まる。
「ああっ……」
初めは大きさに違和感を感じていたけれど、次第に体が順応していくのがわかった。
大きいので中をこすられるのは気持ちいい。
「あんっ、とらさん……キモチイイ……」
正直に伝えると、彼は探り探り動きを変えていった。
類の一番感じる場所と強さを探してくれているらしい。
「ああん、ああ……っ、ねえ、ぼくっ、とらさんのこと……好きかも?」
「名前も知らないのに?」
甘噛みする口を外して笑われた。
そうだ、名前聞きそびれてた。この人はなんて名前なんだろう。
聞きたいのに、いいところを突かれるともう思考が乱れてしまって、類は言葉にならない声だけをあげ続けた。
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