サイテー上司とデザイナーだった僕の半年

谷村にじゅうえん

文字の大きさ
上 下
57 / 58
5章:棒を掲げるブルドッグ

第7話

しおりを挟む
「来てください、もう、僕は待ちたくない」
「……っ! こういう時、ミズキの方が積極的なのはなんなんだよ」
「多分、若いんです」
「真面目に答えなくていい」

相楽さんが笑って、その瞬間、切羽詰まっていた空気が緩んだ。
つられて笑った僕の後ろに、相楽さんが己を突き立ててくる。
その勢いに、背中の下でセンターラグがずるりとずれる。
体が逃げるのを阻止するように、彼の両手が、僕の手首をつかまえた。

「は――…」

息をつき、しっかりと繋がった体を意識する。

「はい……った……」
「いけたな……」

額が触れ合う距離で、相楽さんが笑った。

「なんでだろ……お前とだと、こんなことでいちいち感動できる……」

(それは、僕のセリフだ……)

僕の感情を、こんなにも掻き乱してくる人は他にいない。
そう思った途端に目尻を伝って、涙がこぼれ落ちる。

「そんなこと言って、泣かせないでください」
「はは……俺としては違う意味で泣かしたいんだけど、な」

相楽さんがまた笑って、誘うように腰を揺すった。

「あぁっ……」

内側に、彼の一部が息づいていることが嬉しい。

(こういうの、ほんとヤバい。もっと上手にこの人と、気持ちよくなりたくなる……)

「好きです」

上に乗っている彼の腰に、甘えるように片脚を絡みつかせる。

「こら、馬鹿、おまっ……」

中で粘膜がこすれ、相楽さんが追い詰められたような悲鳴を上げた。

「久しぶりなんだから、あせんな。ちょっとは年上をいたわれ」
「どうすればいいんですか?」
「そうだな、力抜いて……それから、足はこうしよ」

体の中心を繫げたまま、股間を最大限に開かされた。

「……わ、ぁあっ!」

それだけで、繋がりがぐっと深くなる。

「なんか……すごい奥に、当たってる」
「ここのことか?」
「ふあっ!」

奥のひだを抉られる感覚に、大きな声が出た。

「や、すご……こんなのっ」

さらに大きさを増した彼の芯が、全体を擦り上げながら、奥をほぐすように拓いてくる。

「ん、やあっ、そこ!」

引っかかりのある一点を刺激されて腰が跳ねた。

「オーケー、ここだな」

上になっている相楽さんがニヤリと笑う。
それから彼は器用に腰を使い、僕の気持ちいいところを集中的に攻め始めた。

(ああ、ヤバい、こんなっ!)

腰全体がキュンキュンと反応する。
全身が震えて、僕は溺れる人が流木につかまるように、相楽さんの背中をがっちりとつかまえた。
合わさった胸から、湿った熱と鼓動を感じる。

「いいなら素直に声出せよ」
「いい、です……気持ちいい、もっと……」
「俺もだよ、ミズキ……いっぱいよくなろうな」

相楽さんは深さと角度を変えながら、僕の中を丁寧に擦り上げていく。

刺激されているのは中なのに、前からも蜜が溢れ出して彼の腹をけがした。

「やだ、もっと、もっと、ほしいのに……」
「……うん、なんだ?」
「もう、駄目っ、イッちゃう……!」

ぶつかり合う下半身に煽られて、前の起立が限界を訴えている。

「素直にイケよ、欲張らなくても何度でもしてやる」

(何度でもって……)

強気な言葉に、この人らしさを感じて嬉しくなった。
そんな俺の中心を、彼が大きな手でつかまえる。

(相楽さんの右手だ)

そう思っただけで、感極まってしまった。
本当に限界だった。

僕は甘い悲鳴を上げながら、彼の腹へ向かって溜まっていたものをぶちまけた。

それと同時に、相楽さんは右手に僕の中心を握り込んだまま、深く後ろを穿ってくる。
パンパンとぶつかり合う音と衝撃。
それから中に飛び散り、染み渡っていく熱を感じた。

「ミズキっ、は、くうっ!」

相楽さんはまだ何度か腰を振り、僕の中に吐き出せるだけのものを吐き出す。
背筋が喜びに震える。

「愛してる、ミズキ……」
「僕もです……」

深く繋がりあったまま、自分の体が、彼を吸収していくのが分かった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

僕の部下がかわいくて仕方ない

まつも☆きらら
BL
ある日悠太は上司のPCに自分の画像が大量に保存されているのを見つける。上司の田代は悪びれることなく悠太のことが好きだと告白。突然のことに戸惑う悠太だったが、田代以外にも悠太に想いを寄せる男たちが現れ始め、さらに悠太を戸惑わせることに。悠太が選ぶのは果たして誰なのか?

【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】

彩華
BL
 俺の名前は水野圭。年は25。 自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで) だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。 凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!  凄い! 店員もイケメン! と、実は穴場? な店を見つけたわけで。 (今度からこの店で弁当を買おう) 浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……? 「胃袋掴みたいなぁ」 その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。 ****** そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

【完結】ぎゅって抱っこして

かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。 でも、頼れる者は誰もいない。 自分で頑張らなきゃ。 本気なら何でもできるはず。 でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。

Sweet☆Sweet~蜂蜜よりも甘い彼氏ができました

葉月めいこ
BL
紳士系ヤクザ×ツンデレ大学生の年の差ラブストーリー 最悪な展開からの運命的な出会い 年の瀬――あとひと月もすれば今年も終わる。 そんな時、新庄天希(しんじょうあまき)はなぜかヤクザの車に乗せられていた。 人生最悪の展開、と思ったけれど。 思いがけずに運命的な出会いをしました。

放課後教室

Kokonuca.
BL
ある放課後の教室で彼に起こった凶事からすべて始まる

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

執事の恋

たかせまこと
BL
梨本寛文は、こどものころから憧れていた執事の職に就いている。 同僚であり恋人である桐山暖己ともうまくいっている。 つまりは総じて順調に、自分が思い描いた道を歩んでいる。 そんな中、主人(候補)の試練の日のはずが、何故かその相手に押し倒されてしまう。 表紙はphy or phyr @何か書いてる(旧ツイッター@phy_ssk)さまに作っていただきました。 執事アンソロジー参加作品に加筆修正したものです。

処理中です...