8 / 13
はじまり7
しおりを挟む
拝啓、ご両親さま。啖呵きったものは良いもののなかなかビームが来ません。いやめっちゃ眩しかったからやられたはずなんだけどなぁ。
恐る恐る目を開ける。
「えぇええぇ⁉」
俺は驚いた。なんでかって? そりゃあなんせ。
「お、おうぐッ……!」
いままさに俺たちを殺そうとしてたルシファーが地べたに這いつくばっていたからだ。
え、なに? もしかして助っ人が乱入してくれた系⁉
と思って辺りを見渡すけど誰もいない。
「き、貴様。いま、なにをしたぁ」
ルシファーへ視線を戻すともう起き上がってた。さっきまでの笑みはどこへやら、めちゃくちゃ顔を歪めてこっちを睨んでくる。
え? 私なんかしましたかね? いやしたはしたけどなにもそんな目くじら立てなくても。
冷や汗がダラダラ出てきた。まずいって敵さんすごく不機嫌だよ。
「死ねぇ!」
「ひえぇっ!」
さっきの俺どこ行ったと自分でも情けない声をあげたと思う。さっきのビームよりは細いけど、それはものすごい早さで俺の胸に命中した。ハートブレイクッ! ハートどころか胸部パーツ全部持ってかれそうだけどな! て、あれ?
全然痛くない。むしろなにも感じない。胸元を見てみる。
結論から言おう。バッチリ当たってましたよビーム。なにこれ痛くないけどめちゃくちゃ気持ちわるっ、すっごい不安になる。そしたら、
バタッ。
と物音がしたので顔をあげる。ルシファーが前のめりで倒れてた。しかも。
「ぜぇ、ぜぇ、っ!」
すごい肩で息してる。いった「いったい何が起こってるんだ」そうそう。ん、と思い後ろを振り向く。そこではなんとヨタヨタとしながらも立っているユーリちゃんの姿が!
俺はすぐに駆け寄った。
「ユーリちゃんそんな体で無理しちゃダ「そんなことより」え?」
ユーリちゃんが俺の両肩を掴む。そして顔が鼻先まで近づいてくる。え、なにまさかの夢の続き「どうしてキミは無事なんだ」ですよねー。そこですよねー。
「どうしてヤツの方が倒れているんだ!」
「いや俺に聞かれても」
分からないと続けようとしたら「おのれぇぇぇッ‼」と地獄の底から喚いたかのような怒号が聞こえてきた。嫌だなぁと思いながらギギギッと首を後ろに回す。
「この天使のなかで最も尊き我輩様を、この『光を帯し者』『明けの明星』と讃えられる我輩様を一度ならず二度までもっ……!」
なにかブツブツ言ってるがよく聞こえない。ただすんごくまずいって事は誰だって分かるわこんなもん!
「その罪、万死億死兆死、否! 無量大数宇宙が滅びるまで死に続けてもまだ値しない!」
「ボクどんだけの罪を背終わらされたの⁉」
《剣光》
ルシファーの手に光が集まると、それが一本の剣になった。うわぁおっきい。
「故に光栄に思え。我輩様は貴様を美しく消滅させてやるようなことはしない。貴様にはその醜い死に様を晒す栄誉をくれてやる!」
「んなもんいるかぁ!」
ルシファーが剣を振り上げながら飛んでくる!
まずいなんとか避けガシッ!
後ろから誰かの腕が俺の胴に回される。わーい動けない。
見る。そこには当然ユーリちゃん。
「ユーリちゃんなにやってんの⁉」
「良いからこのままヤツの攻撃を受けるんだ」
「ええぇ⁉」
ひどい、いくらなんでもあんまりだ! 死んでほしいほど迷惑だったの俺のアプローチ⁉
けどユーリちゃんの顔は真剣でどこか不安を混ぜたものだった。
「僕を信じてくれとは言わない。正直、僕自身も信じきれれていない。けど信じてほしい……!」
なにを? と言うのは野暮だろうか。
「……ダメだったら何してくれる?」
「その時はーー」
ユーリちゃんの腕の力が強くなる。すいません意地悪なこと言ってすいません。だから痛くしないで。
そして、ユーリちゃんはハッキリとこう言った。
「ーーキミとどこまでも付き合うよ」
「かかって来やがれこのクソナルシスト野郎ぉ‼」
俺の覚悟は決まった。
「うるさい死ねぇ!」
「でもやっぱ怖ええ!」
刃物はやめてぇ! ルシファーが剣を降り下ろしてくる。その時、俺の脳裏に一つの言葉が浮かび上がった。
『真剣白羽取り』
思ったときには行動していた。そして見事にスカした。
「ああッ! 俺のバカーァ!」
剣が迫る。そして当たる。当たった。けど……痛くない。当たってる感触はあるけど。
「な、なぜ」
ルシファーの目がこれでもかと見開かれる。目の前で起こったことが信じられないみたいだ。当たり前だ。俺だって信じられねえもん。
「このぉ!」
ルシファーが剣を振り回し俺にどんどん斬りかかってくる。しかしどれもこれも全く効かない。むしろルシファーの方が疲れてきていた。さっきから思ってたんだがこいつ体力無いな。
「賭けは、こちらの勝ちのようだね」
ユーリちゃんが言う。なぁるほどぉ。
俺はユーリちゃんから離れてルシファーへ歩を進める。
理屈はよく分からない、が、よぉく分かった。自分の顔が歪む。口角がどうしてもつり上がる!
「おのれ人間がぁ!」
剣をつえ代わりにして休んでいたルシファーだったが、俺の笑みに腹をすえかねたのか、またも斬りかかってくる。けどなルシファー。
降りかかっきた剣を片手で受け止める。
頭にきてるのはテメエだけじゃないんだぜ?
空いた片手の拳を握る。固く固く握る。そして。
「うおおおおォ!」
その握った拳を俺はルシファーの顔面めがけて思いっきり振り抜いた! しかしルシファーは余裕の表情だった。避けようとする動作も見せない。
「愚かな。天使の肉体と《装光》で守られた我輩様にそのような貧じゃぐぼあぁぁぁぁッ⁉」
拳はルシファーの鼻っ柱に直撃した。ざまみろよっしゃあァ‼
恐る恐る目を開ける。
「えぇええぇ⁉」
俺は驚いた。なんでかって? そりゃあなんせ。
「お、おうぐッ……!」
いままさに俺たちを殺そうとしてたルシファーが地べたに這いつくばっていたからだ。
え、なに? もしかして助っ人が乱入してくれた系⁉
と思って辺りを見渡すけど誰もいない。
「き、貴様。いま、なにをしたぁ」
ルシファーへ視線を戻すともう起き上がってた。さっきまでの笑みはどこへやら、めちゃくちゃ顔を歪めてこっちを睨んでくる。
え? 私なんかしましたかね? いやしたはしたけどなにもそんな目くじら立てなくても。
冷や汗がダラダラ出てきた。まずいって敵さんすごく不機嫌だよ。
「死ねぇ!」
「ひえぇっ!」
さっきの俺どこ行ったと自分でも情けない声をあげたと思う。さっきのビームよりは細いけど、それはものすごい早さで俺の胸に命中した。ハートブレイクッ! ハートどころか胸部パーツ全部持ってかれそうだけどな! て、あれ?
全然痛くない。むしろなにも感じない。胸元を見てみる。
結論から言おう。バッチリ当たってましたよビーム。なにこれ痛くないけどめちゃくちゃ気持ちわるっ、すっごい不安になる。そしたら、
バタッ。
と物音がしたので顔をあげる。ルシファーが前のめりで倒れてた。しかも。
「ぜぇ、ぜぇ、っ!」
すごい肩で息してる。いった「いったい何が起こってるんだ」そうそう。ん、と思い後ろを振り向く。そこではなんとヨタヨタとしながらも立っているユーリちゃんの姿が!
俺はすぐに駆け寄った。
「ユーリちゃんそんな体で無理しちゃダ「そんなことより」え?」
ユーリちゃんが俺の両肩を掴む。そして顔が鼻先まで近づいてくる。え、なにまさかの夢の続き「どうしてキミは無事なんだ」ですよねー。そこですよねー。
「どうしてヤツの方が倒れているんだ!」
「いや俺に聞かれても」
分からないと続けようとしたら「おのれぇぇぇッ‼」と地獄の底から喚いたかのような怒号が聞こえてきた。嫌だなぁと思いながらギギギッと首を後ろに回す。
「この天使のなかで最も尊き我輩様を、この『光を帯し者』『明けの明星』と讃えられる我輩様を一度ならず二度までもっ……!」
なにかブツブツ言ってるがよく聞こえない。ただすんごくまずいって事は誰だって分かるわこんなもん!
「その罪、万死億死兆死、否! 無量大数宇宙が滅びるまで死に続けてもまだ値しない!」
「ボクどんだけの罪を背終わらされたの⁉」
《剣光》
ルシファーの手に光が集まると、それが一本の剣になった。うわぁおっきい。
「故に光栄に思え。我輩様は貴様を美しく消滅させてやるようなことはしない。貴様にはその醜い死に様を晒す栄誉をくれてやる!」
「んなもんいるかぁ!」
ルシファーが剣を振り上げながら飛んでくる!
まずいなんとか避けガシッ!
後ろから誰かの腕が俺の胴に回される。わーい動けない。
見る。そこには当然ユーリちゃん。
「ユーリちゃんなにやってんの⁉」
「良いからこのままヤツの攻撃を受けるんだ」
「ええぇ⁉」
ひどい、いくらなんでもあんまりだ! 死んでほしいほど迷惑だったの俺のアプローチ⁉
けどユーリちゃんの顔は真剣でどこか不安を混ぜたものだった。
「僕を信じてくれとは言わない。正直、僕自身も信じきれれていない。けど信じてほしい……!」
なにを? と言うのは野暮だろうか。
「……ダメだったら何してくれる?」
「その時はーー」
ユーリちゃんの腕の力が強くなる。すいません意地悪なこと言ってすいません。だから痛くしないで。
そして、ユーリちゃんはハッキリとこう言った。
「ーーキミとどこまでも付き合うよ」
「かかって来やがれこのクソナルシスト野郎ぉ‼」
俺の覚悟は決まった。
「うるさい死ねぇ!」
「でもやっぱ怖ええ!」
刃物はやめてぇ! ルシファーが剣を降り下ろしてくる。その時、俺の脳裏に一つの言葉が浮かび上がった。
『真剣白羽取り』
思ったときには行動していた。そして見事にスカした。
「ああッ! 俺のバカーァ!」
剣が迫る。そして当たる。当たった。けど……痛くない。当たってる感触はあるけど。
「な、なぜ」
ルシファーの目がこれでもかと見開かれる。目の前で起こったことが信じられないみたいだ。当たり前だ。俺だって信じられねえもん。
「このぉ!」
ルシファーが剣を振り回し俺にどんどん斬りかかってくる。しかしどれもこれも全く効かない。むしろルシファーの方が疲れてきていた。さっきから思ってたんだがこいつ体力無いな。
「賭けは、こちらの勝ちのようだね」
ユーリちゃんが言う。なぁるほどぉ。
俺はユーリちゃんから離れてルシファーへ歩を進める。
理屈はよく分からない、が、よぉく分かった。自分の顔が歪む。口角がどうしてもつり上がる!
「おのれ人間がぁ!」
剣をつえ代わりにして休んでいたルシファーだったが、俺の笑みに腹をすえかねたのか、またも斬りかかってくる。けどなルシファー。
降りかかっきた剣を片手で受け止める。
頭にきてるのはテメエだけじゃないんだぜ?
空いた片手の拳を握る。固く固く握る。そして。
「うおおおおォ!」
その握った拳を俺はルシファーの顔面めがけて思いっきり振り抜いた! しかしルシファーは余裕の表情だった。避けようとする動作も見せない。
「愚かな。天使の肉体と《装光》で守られた我輩様にそのような貧じゃぐぼあぁぁぁぁッ⁉」
拳はルシファーの鼻っ柱に直撃した。ざまみろよっしゃあァ‼
0
お気に入りに追加
10
あなたにおすすめの小説

【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
【商業企画進行中・取り下げ予定】さようなら、私の初恋。
ごろごろみかん。
ファンタジー
結婚式の夜、私はあなたに殺された。
彼に嫌悪されているのは知っていたけど、でも、殺されるほどだとは思っていなかった。
「誰も、お前なんか必要としていない」
最期の時に言われた言葉。彼に嫌われていても、彼にほかに愛するひとがいても、私は彼の婚約者であることをやめなかった。やめられなかった。私には責務があるから。
だけどそれも、意味のないことだったのだ。
彼に殺されて、気がつけば彼と結婚する半年前に戻っていた。
なぜ時が戻ったのかは分からない。
それでも、ひとつだけ確かなことがある。
あなたは私をいらないと言ったけど──私も、私の人生にあなたはいらない。
私は、私の生きたいように生きます。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m

底辺召喚士の俺が召喚するのは何故かSSSランクばかりなんだが〜トンビが鷹を生みまくる物語〜
ああああ
ファンタジー
召喚士学校の卒業式を歴代最低点で迎えたウィルは、卒業記念召喚の際にSSSランクの魔王を召喚してしまう。
同級生との差を一気に広げたウィルは、様々なパーティーから誘われる事になった。
そこでウィルが悩みに悩んだ結果――
自分の召喚したモンスターだけでパーティーを作ることにしました。
この物語は、底辺召喚士がSSSランクの従僕と冒険したりスローライフを送ったりするものです。
【一話1000文字ほどで読めるようにしています】
召喚する話には、タイトルに☆が入っています。
嫌われ聖女さんはとうとう怒る〜今更大切にするなんて言われても、もう知らない〜
𝓝𝓞𝓐
ファンタジー
13歳の時に聖女として認定されてから、身を粉にして人々のために頑張り続けたセレスティアさん。どんな人が相手だろうと、死にかけながらも癒し続けた。
だが、その結果は悲惨の一言に尽きた。
「もっと早く癒せよ! このグズが!」
「お前がもっと早く治療しないせいで、後遺症が残った! 死んで詫びろ!」
「お前が呪いを防いでいれば! 私はこんなに醜くならなかったのに! お前も呪われろ!」
また、日々大人も気絶するほどの魔力回復ポーションを飲み続けながら、国中に魔物を弱らせる結界を張っていたのだが……、
「もっと出力を上げんか! 貴様のせいで我が国の騎士が傷付いたではないか! とっとと癒せ! このウスノロが!」
「チッ。あの能無しのせいで……」
頑張っても頑張っても誰にも感謝されず、それどころか罵られるばかり。
もう我慢ならない!
聖女さんは、とうとう怒った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる