ゴッドブレイカー ~神魔絶滅究極男~

ぎんぺい

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はじまり5

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 わあ綺麗な海だなぁ……なんて感心してる場合じゃねえ! なにこれーッ⁉

 揺れが収まると、俺は真理さんに手を引かれ部屋の外へと連れ出された。役得である。そしてオジサンを先頭にみんなで回廊を走り抜けると、待ってたのは瓦礫の山とその向こうに広がる青い海だった。

「なんて事だ……。他のみんなは無事なのか?」
「分かりません。私が報告に行く直前まではなんともありませんでした」
「さっきの衝撃だけでこの基地の装甲が破られたと言うの?」

 オジサンたち忙しそうだな。けどいったいな「ううッ……」うん? なんかあっちの瓦礫から声が。見ると瓦礫の下から人の腕が出ていた。って。

「大丈夫ですかぁぁぁ⁉」

 俺は慌てて駆け寄り、伸びてる腕を両手で掴んで引っ張りあげる。
 うわっ、頭から血が出てるじゃん!

「真理さぁぁぁん! 救急救命ぇぇぇ!」

 真理さんたちのいる方に向かって叫ぶ。どうやら気づいたようで、みんな驚いた顔をしている。俺は倒れている人へ視線を戻した。銀髪ロン毛の若い兄ちゃんだ。こんなときになんだがめちゃくちゃイケメンだ。けっ! でも着てる服が変だった。

「神谷君!」

 するとオジサンの声がした。良かった一人じゃ運べそうもないからどうしようかと。
 声のした方へ振り向く。

「そいつから離れろォ‼」

 へ?
 その時、俺の視界の端で高速で動くものが映った。瞬間、バゴォと重い音が響く、と同時に何かが宙を飛んでいった。それはイケメン兄ちゃんだった。
 ええぇぇぇ⁉ 
 俺は兄ちゃんが倒れてたはず場所に顔を戻す。

「ユーリちゃん?」

 そこには片足を天に向けて高々と上げたユーリちゃんの姿があった。
 え、どういうこと? バレェの練習? というか瞳が青に戻ってる?

「ユーリちゃ、うおっ⁉」

 話しかけようとしたら、ユーリちゃんが跳ぶというより飛んでいった。目で追っていくと、まだ飛ばされてたイケメン兄ちゃんをユーリちゃんが蹴り飛ばす。ちょ、なんてご無体な⁉
 蹴られた兄ちゃんは更にふっ飛ばされ壁に激突した。しかしユーリちゃんは止まらなかった。壁にめり込んだ兄ちゃんを蹴る。どんどん蹴る。蹴りまくる。

「無事か神谷君」

 呆然と見てた俺の所へオジサンたちがやって来た。

「いや俺は大丈夫ですけど、じゃなくてアレ! アレ大丈夫なんですか⁉」
「心配しなくて大丈夫よ。ユーリは強いから」
「いやそうじゃなくて「なんだって⁉」「どうした?」「まさかそんな」止めなくて……」

 眼鏡の人がいつの間にか持っていたノートパソコンを見て驚いている。真理さんやオジサンたちもそれに注目する。
 そうですか無視ですか。でも気になるから俺も見よ。
 ノートパソコンに映ってたのは細かく表示された英語と見たことない文字だった。
細かすぎてよく見えないな。 ま、見えたところで英語わかんないけどな!
 唯一モニター中央に大きく書かれた英語だけが何となく読めた。
 ええと、えーちゃんげる?

大天使アークエンジェルだと⁉」

 ああ、アークエンジェルって読むのかこれ。またひとつ利口になギャア⁉

「くっ!」「キャッ!」「しまった……!」

 突然、眩しい光に襲われる。このパターン前にもあったような……。
 ドカンと瓦礫に何かが降ってきた。あれは……ユーリちゃん!
 俺は咄嗟に駆け出した。
 いま俺が行くから待っててくれ!

「来るな!」

 はい?
 ユーリちゃんの声でピタッと止まる俺。その俺の前を光線が通り抜けた。地面が爆ぜる。

「ぬおぉおおぉお⁉」

 その衝撃で尻餅をつく俺。痛い、てユーリちゃんは?
 舞った砂煙が収まるとユーリちゃんは変わらずそこにいた。しかしその姿は痛々しかった。片膝をつき、体のあちこちにケガをしている。
 いったいどうして。さっきまであんな元気過ぎるほど元気だったのに。

「ふはははははは!」

 すると何処からか笑い声がした。声のした方へ顔を向ける。
 あそこはさっきユーリちゃんがイケメン兄ちゃんをふっ飛ばした場所。
 目を凝らすとそこにはイケメン兄ちゃんがいた。しかも宙に浮かんでいた。
 もういっぱいいっぱいです。

「愚か者め!」

 イケメン兄ちゃんが声を張り上げる。よく見ると翼も生えてる。動いてないけど。

「貴様程度がっ、この神界で最も強く!」

 空中でポーズをキメだすイケメン兄ちゃん。

「最も賢く! 」

 その間に俺は移動し、ユーリちゃんのもとへ行く。

「そして最も美しい天使である我輩様……」

 一旦そこで言葉を止めるイケメン兄ちゃん。
 なんだろ凄く腹立たしい。

「大天使ルシファーに勝てると思っていたのかぁ!」

 ビシィと指をこちらに向けて、決まったという風に得意気な顔をするイケメン兄ちゃ、いやルシファーとやら。しかしその頭からは血が流れ続けていた。
なんなんだコイツは……。
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