32 / 37
明日、一緒に歩こう
1、6年後
しおりを挟む
6年後……
冷司が大学の授業を終えて、時間を見る。
彼は通信制の大学に入り、今年4年目だ。
彼は単位不足であと一年頑張ってから卒業する予定でいる。
だが、その先も考えねばならない。
光輝は俺が稼ぐからと言うけれど、自分も働きたい。
カウンセラーを考えていたけど、実習があるのであきらめた。
なんの仕事もハードなことは必ずある。
図書館の司書になりたかったのに、重い本を持って歩くのは無理だとわかった。
身体の弱い自分に出来る仕事を、ずっと探しながら大学の授業を受けている。
自分も、何かの役に立ちたいんだ。
一息ついて、教科書を閉じて杖を取り、部屋を出た。
階段に来ると、椅子式のリフトに座る。
ゆっくりリフトは降りて行く。
これのおかげで、2階を使えるようになったのだ。
父には書室を返したけれど、いつでも使えるようにと、元々冷司の部屋にあったシングルのベッドを置いている。
ダブルベッドは2階の奥にある部屋に入れた。ここは寝室と、冷司の勉強部屋だ。
そう、冷司の父と母が去年転勤で帰ってきたのだ。
どちらかが家を出るかという選択肢もあったが、光輝と冷司の生活は変えない、それが嫌なら庭に水回りを建てまして2世帯にするか、どちらかが出るという条件で同居になった。
「あら、授業終わったの?コーヒー飲む?」
「うん、晩ご飯なに?」
「ハンバーグよ、ソースは何がいい?」
「普通にケチャップとワインかな。
光輝の作ったキノコソースが美味しかったけど、レシピ知らないし」
「あらそう、食べてみたいわね。光輝さん、ハンバーグ大きい方がいいかしら?」
「そうだね、1.5倍?」
「ホホ、あの子よく食べるわよね。好き嫌いもないし。
家事も料理も上手だから助かるわ」
「そりゃあね、プロだもの。彼の料理は最高だよ」
「あらあら、ごちそうさま」
冷司は最初、母とは多少確執が残っていたが、それを仲立ちしてくれたのは光輝だった。
母と家事を一緒にやる光輝は、まるで本当の親子のように馬が合って、いい関係を築けている。
父親は相変わらず忙しい人だけれど、光輝は昼懐石専門になってくれたので、夕方には帰ってくる。
おかげで、家族はトラブル無く過ごしていた。
「母さん、さ」
「なに?」
「自分のしたい事していいよ。僕は自分のこと、自分でやれるから」
「してるわよ、私はあなたにつぐないがしたいの」
「有り難いけどね、いらないよ。僕はお母さんの重しになりたくないんだ」
母の手が止まる。
傷つけたかな、光輝がいる時言うべきだったかなと思う。
でも、これは親子で解決した方がいいと思った。
「そうね、重しとは思ってないわ。家族だもの。
でも、あなたはもう26の男だものね、自分のしたいことを自分の意志で動いていいのよ」
ビニールの手袋して、ハンバーグの種をギュッギュッとこねる。
母が光輝を受け入れたのは、意外と早くて冷司が救急車で運ばれた時らしい。
立ち尽くす自分の手を光輝がサッと握って救急車に引っ張った時、もう冷司に必要なのはこの人なんだと気持ちが切り替わったと話していた。
通りで自分が気がつかなかったはずだ。
ミンチをこねる手を止め、ふと、母が顔を上げた。
「私、トマト植えたいわ。そうね、庭を家庭菜園に出来るか、お父さんに聞いてみようかしら」
「いいね!僕も手伝えるかな?」
「もちろんよ、お水をかけたり肥料をまくのはあなたでも出来るわ」
「いいじゃない!僕もやってみたい」
その話は大歓迎だ。冷司は自分も土いじりをやってみたい。
お湯が沸いて、コーヒーを入れる。
クッキーを2枚、皿に出して食卓に置いた。
庭に眼が行く。
雑草だらけだった庭は、光輝が休みのたびに手入れして、とりあえず雑草は消えた。
だけど、芝生ばかりで華が無い。
来客も昔ほど多くないし、確かに畑が出来るのは悪いことじゃないなと思う。
ガチャンッ
「ただいまー!光輝が帰ったぞー!」
「あれ?今日は早いね」
冷司が杖を取り、玄関に迎えに行く。
「お帰り、早かったね」
「たまには早く帰れってさ。魚屋でいい鯛があったんで買って来た。
カルパッチョ作ろう、冷司好きだろ?」
「うん!今夜ハンバーグって」
「お、いいね」
お帰りのキスを交わし、冷司が光輝と手を繋いでリビングに入る。
「お義母さん、帰りました。着替えてきます」
「お帰りなさい、今夜ハンバーグなの、ソース頼めるかしら。
冷司があなたのキノコソース食べたいって言うの」
「了解でーす」
光輝が冷司と顔を見合わせニッコリ笑って、冷司に魚の袋を渡すと、光輝は2階に上がっていく。
元々の冷司の部屋は、今はクローゼットに使っていた。
間の兄の部屋はそのままだ。
彼はいまだに独身で、時々帰ってくる。
彼女はいるらしいのだが、随分年下で言い出しにくいらしい。
食事の支度をしていると、冷司の父親が帰ってきて先に風呂に入る。
彼はいつも風呂が先だ。
それが気持ちの切り替えらしい。
晩酌に光輝とビールを飲んで、カルパッチョに舌を打つ。
「あー美味い、光輝君の料理は美味いなあ。
いや、お母さんの料理ももちろん美味いよ?」
「あら、私も光輝さんには敵わないからいいわよ。
ねえ、今の居酒屋さん長いのでしょう?ランチ懐石だけじゃ勿体ないわね」
母の言葉に、冷司が驚いた。
慌ててブンブン首を振る。
「駄目駄目!ランチ専用になるまで、僕はいっぱい待ったんだからね!
また帰りが不規則になるなんて、僕は嫌だよ」
「冷司、食事の時は大きい声出さない。
マナーだよ?」
光輝が指を振って首も振る。
冷司がしゅんとした。
「だって、飲食業は夜のお仕事が多いんだもの。
光輝と一緒の時間が減るのは嫌なんだ」
クスクス父親が笑う。
本当に、嫌になるほど2人はべったりだ。
帰ってきて、自分たちがいても生活を変えないと宣言しただけに、ソファでテレビを見る時は光輝の膝枕、風呂も一緒に入る。
父親は妻の反応を心配したけど、覚悟していたのか意外と受け入れて、ソファでテレビを見ていても、自分も夫に持たれてくるようになった。
互いに夫婦仲が良くて問題ない。
だが、それで心配も増えていく。
光輝と冷司は、互いに依存が強いと思うのだ。
「冷司、お前が光輝君を独り占めしていると、光輝君は好きなことが出来なくなるよ?」
ハッとして、冷司が光輝を見る。
光輝は視線を落として何かを考えているようで、一瞬冷司の心に不安が走った。
冷司が大学の授業を終えて、時間を見る。
彼は通信制の大学に入り、今年4年目だ。
彼は単位不足であと一年頑張ってから卒業する予定でいる。
だが、その先も考えねばならない。
光輝は俺が稼ぐからと言うけれど、自分も働きたい。
カウンセラーを考えていたけど、実習があるのであきらめた。
なんの仕事もハードなことは必ずある。
図書館の司書になりたかったのに、重い本を持って歩くのは無理だとわかった。
身体の弱い自分に出来る仕事を、ずっと探しながら大学の授業を受けている。
自分も、何かの役に立ちたいんだ。
一息ついて、教科書を閉じて杖を取り、部屋を出た。
階段に来ると、椅子式のリフトに座る。
ゆっくりリフトは降りて行く。
これのおかげで、2階を使えるようになったのだ。
父には書室を返したけれど、いつでも使えるようにと、元々冷司の部屋にあったシングルのベッドを置いている。
ダブルベッドは2階の奥にある部屋に入れた。ここは寝室と、冷司の勉強部屋だ。
そう、冷司の父と母が去年転勤で帰ってきたのだ。
どちらかが家を出るかという選択肢もあったが、光輝と冷司の生活は変えない、それが嫌なら庭に水回りを建てまして2世帯にするか、どちらかが出るという条件で同居になった。
「あら、授業終わったの?コーヒー飲む?」
「うん、晩ご飯なに?」
「ハンバーグよ、ソースは何がいい?」
「普通にケチャップとワインかな。
光輝の作ったキノコソースが美味しかったけど、レシピ知らないし」
「あらそう、食べてみたいわね。光輝さん、ハンバーグ大きい方がいいかしら?」
「そうだね、1.5倍?」
「ホホ、あの子よく食べるわよね。好き嫌いもないし。
家事も料理も上手だから助かるわ」
「そりゃあね、プロだもの。彼の料理は最高だよ」
「あらあら、ごちそうさま」
冷司は最初、母とは多少確執が残っていたが、それを仲立ちしてくれたのは光輝だった。
母と家事を一緒にやる光輝は、まるで本当の親子のように馬が合って、いい関係を築けている。
父親は相変わらず忙しい人だけれど、光輝は昼懐石専門になってくれたので、夕方には帰ってくる。
おかげで、家族はトラブル無く過ごしていた。
「母さん、さ」
「なに?」
「自分のしたい事していいよ。僕は自分のこと、自分でやれるから」
「してるわよ、私はあなたにつぐないがしたいの」
「有り難いけどね、いらないよ。僕はお母さんの重しになりたくないんだ」
母の手が止まる。
傷つけたかな、光輝がいる時言うべきだったかなと思う。
でも、これは親子で解決した方がいいと思った。
「そうね、重しとは思ってないわ。家族だもの。
でも、あなたはもう26の男だものね、自分のしたいことを自分の意志で動いていいのよ」
ビニールの手袋して、ハンバーグの種をギュッギュッとこねる。
母が光輝を受け入れたのは、意外と早くて冷司が救急車で運ばれた時らしい。
立ち尽くす自分の手を光輝がサッと握って救急車に引っ張った時、もう冷司に必要なのはこの人なんだと気持ちが切り替わったと話していた。
通りで自分が気がつかなかったはずだ。
ミンチをこねる手を止め、ふと、母が顔を上げた。
「私、トマト植えたいわ。そうね、庭を家庭菜園に出来るか、お父さんに聞いてみようかしら」
「いいね!僕も手伝えるかな?」
「もちろんよ、お水をかけたり肥料をまくのはあなたでも出来るわ」
「いいじゃない!僕もやってみたい」
その話は大歓迎だ。冷司は自分も土いじりをやってみたい。
お湯が沸いて、コーヒーを入れる。
クッキーを2枚、皿に出して食卓に置いた。
庭に眼が行く。
雑草だらけだった庭は、光輝が休みのたびに手入れして、とりあえず雑草は消えた。
だけど、芝生ばかりで華が無い。
来客も昔ほど多くないし、確かに畑が出来るのは悪いことじゃないなと思う。
ガチャンッ
「ただいまー!光輝が帰ったぞー!」
「あれ?今日は早いね」
冷司が杖を取り、玄関に迎えに行く。
「お帰り、早かったね」
「たまには早く帰れってさ。魚屋でいい鯛があったんで買って来た。
カルパッチョ作ろう、冷司好きだろ?」
「うん!今夜ハンバーグって」
「お、いいね」
お帰りのキスを交わし、冷司が光輝と手を繋いでリビングに入る。
「お義母さん、帰りました。着替えてきます」
「お帰りなさい、今夜ハンバーグなの、ソース頼めるかしら。
冷司があなたのキノコソース食べたいって言うの」
「了解でーす」
光輝が冷司と顔を見合わせニッコリ笑って、冷司に魚の袋を渡すと、光輝は2階に上がっていく。
元々の冷司の部屋は、今はクローゼットに使っていた。
間の兄の部屋はそのままだ。
彼はいまだに独身で、時々帰ってくる。
彼女はいるらしいのだが、随分年下で言い出しにくいらしい。
食事の支度をしていると、冷司の父親が帰ってきて先に風呂に入る。
彼はいつも風呂が先だ。
それが気持ちの切り替えらしい。
晩酌に光輝とビールを飲んで、カルパッチョに舌を打つ。
「あー美味い、光輝君の料理は美味いなあ。
いや、お母さんの料理ももちろん美味いよ?」
「あら、私も光輝さんには敵わないからいいわよ。
ねえ、今の居酒屋さん長いのでしょう?ランチ懐石だけじゃ勿体ないわね」
母の言葉に、冷司が驚いた。
慌ててブンブン首を振る。
「駄目駄目!ランチ専用になるまで、僕はいっぱい待ったんだからね!
また帰りが不規則になるなんて、僕は嫌だよ」
「冷司、食事の時は大きい声出さない。
マナーだよ?」
光輝が指を振って首も振る。
冷司がしゅんとした。
「だって、飲食業は夜のお仕事が多いんだもの。
光輝と一緒の時間が減るのは嫌なんだ」
クスクス父親が笑う。
本当に、嫌になるほど2人はべったりだ。
帰ってきて、自分たちがいても生活を変えないと宣言しただけに、ソファでテレビを見る時は光輝の膝枕、風呂も一緒に入る。
父親は妻の反応を心配したけど、覚悟していたのか意外と受け入れて、ソファでテレビを見ていても、自分も夫に持たれてくるようになった。
互いに夫婦仲が良くて問題ない。
だが、それで心配も増えていく。
光輝と冷司は、互いに依存が強いと思うのだ。
「冷司、お前が光輝君を独り占めしていると、光輝君は好きなことが出来なくなるよ?」
ハッとして、冷司が光輝を見る。
光輝は視線を落として何かを考えているようで、一瞬冷司の心に不安が走った。
0
お気に入りに追加
41
あなたにおすすめの小説
十七歳の心模様
須藤慎弥
BL
好きだからこそ、恋人の邪魔はしたくない…
ほんわか読者モデル×影の薄い平凡くん
柊一とは不釣り合いだと自覚しながらも、
葵は初めての恋に溺れていた。
付き合って一年が経ったある日、柊一が告白されている現場を目撃してしまう。
告白を断られてしまった女の子は泣き崩れ、
その瞬間…葵の胸に卑屈な思いが広がった。
※fujossy様にて行われた「梅雨のBLコンテスト」出品作です。
春風の香
梅川 ノン
BL
名門西園寺家の庶子として生まれた蒼は、病弱なオメガ。
母を早くに亡くし、父に顧みられない蒼は孤独だった。
そんな蒼に手を差し伸べたのが、北畠総合病院の医師北畠雪哉だった。
雪哉もオメガであり自力で医師になり、今は院長子息の夫になっていた。
自身の昔の姿を重ねて蒼を可愛がる雪哉は、自宅にも蒼を誘う。
雪哉の息子彰久は、蒼に一心に懐いた。蒼もそんな彰久を心から可愛がった。
3歳と15歳で出会う、受が12歳年上の歳の差オメガバースです。
オメガバースですが、独自の設定があります。ご了承ください。
番外編は二人の結婚直後と、4年後の甘い生活の二話です。それぞれ短いお話ですがお楽しみいただけると嬉しいです!
目立たないでと言われても
みつば
BL
「お願いだから、目立たないで。」
******
山奥にある私立琴森学園。この学園に季節外れの転入生がやってきた。担任に頼まれて転入生の世話をすることになってしまった俺、藤崎湊人。引き受けたはいいけど、この転入生はこの学園の人気者に気に入られてしまって……
25話で本編完結+番外編4話
あなたの隣で初めての恋を知る
ななもりあや
BL
5歳のときバス事故で両親を失った四季。足に大怪我を負い車椅子での生活を余儀なくされる。しらさぎが丘養護施設で育ち、高校卒業後、施設を出て一人暮らしをはじめる。
その日暮らしの苦しい生活でも決して明るさを失わない四季。
そんなある日、突然の雷雨に身の危険を感じ、雨宿りするためにあるマンションの駐車場に避難する四季。そこで、運命の出会いをすることに。
一回りも年上の彼に一目惚れされ溺愛される四季。
初めての恋に戸惑いつつも四季は、やがて彼を愛するようになる。
表紙絵は絵師のkaworineさんに描いていただきました。

林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
貴族軍人と聖夜の再会~ただ君の幸せだけを~
倉くらの
BL
「こんな姿であの人に会えるわけがない…」
大陸を2つに分けた戦争は終結した。
終戦間際に重症を負った軍人のルーカスは心から慕う上官のスノービル少佐と離れ離れになり、帝都の片隅で路上生活を送ることになる。
一方、少佐は屋敷の者の策略によってルーカスが死んだと知らされて…。
互いを思う2人が戦勝パレードが開催された聖夜祭の日に再会を果たす。
純愛のお話です。
主人公は顔の右半分に火傷を負っていて、右手が無いという状態です。
全3話完結。
傀儡といしの蜃気楼 ~消えた王女を捜す旅から始まる、夢の世界のものがたり~
遠野月
ファンタジー
これは、現実の裏側に存在する、≪夢の世界≫のものがたり。
殺された妹、その無残を乗り越えられずにいた冒険者ラトス。
死の真相を探るべく足掻いた先で、行方不明となっている王女の捜索依頼を受けることになる。
王女の従者メリーを連れて森に入ったラトスは、王女が消えたその場所から夢の世界に迷いこむ。
奇妙がうずまく夢の世界に王女も囚われていると知り、ラトスたちは救出に向かう。しかしそのためには、怪物が巣食う悪夢の回廊を通り抜けていかなければならないのだという。
ラトスは旅の途中で出会った協力者たちの助力を得て、様々な困難を乗り越えていく。
現実とつながっている夢の世界は、様々な思想、感情などで構成されている。
広大な草原に浮かぶ、巨大な岩山。
岩山の中には、現実世界に生きるすべての人間が持つ、個人の夢の世界がある。それらはすべて、個人の記憶、思想、感情で盛衰しつづけている。
個人の夢の世界をつなぐ悪夢の回廊は、悪しき感情で満ちている。
悪から生まれた怪物たちは、悪夢の回廊を通り抜けようとする者に襲いかかる。
さらに、七つの大罪の元となる「八つの悪徳」から生まれた怪物は、猛る爪と牙をラトスたちに向ける。
現実感のある不思議がうずまく、夢幻。
誰もが感じ、夢想した世界が、このものがたりで形となる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる