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31、明日、図書館で会おう
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「冷司!冷司、気分が悪い?冷司?冷司!!」
ガクガク揺り動かされて、堰を切ったように呼吸が激しくなる。
「ガハァッ!ハアッ!ハアッ!ハアッ!
ガハッ!ごほっ!ごほっ!ぐ……げふっ、ハアッ!ハアッ!」
まるで、溺れた人の呼吸が再開したように、咳き込みながら息をする。
「冷司、おい、おい、大丈夫か?」
ホッとして、ペチペチ頬を叩くと、薄く目を開けキョロキョロする。
浅く息を付きながらボウッとして、全身が脱力している。
「ごめん、止められなかった。無理させちゃったな。
冷司、とにかく抜くから」
「や……こ……き、まだ、……まだ、したい、の」
もうろうとした頭で、抜くというワードだけが頭に響く。
身体中が冷や汗をかいている。頭がガンガンする。
熱さは意識を失った事ですっかり冷めて、あまりの激しさに本当に一瞬死んだのかもしれないとさえ思った。
「こ……コウ……して……また……」
光輝がタオルで意識がもうろうとしている冷司の顔の汗を拭きながら、キスをする。
少し後悔して、冷司の顔をのぞき込んだ。
「今日は終わりだ、またな。無理してごめん。ごめんな」
「はあ、はあ、やだ……やだ、よ……」
泣きそうに目をうるませる冷司に、光輝が髪を撫でて頬を撫でた。
「泣き虫だなあ、冷司は。
これで終わりじゃないんだよ。またしよう、な?」
「や…だぁ、もっと、もっとして、はあはあ、もっと……もっと……して」
ハアハア息を付きながら、冷司ももう無理だとわかっている。
身体がもう、限界を超えている。身体が鉛のように重い。アナルに力も入らない。
それでも、まだ光輝と繋がっていたい。
「冷司、俺はセックス出来たことが嬉しかったよ。
俺はお前が大切なんだ、だから、な?またしような」
「ごめん……ごめん、ね。はあ、はあ、ごめん…なさい」
「いや、俺が止められなくなったのが悪いから。
じゃ、抜くよ」
光輝が身体を起こして、ズルリとペニスを抜いた。
「うっ……」
あまりの喪失感に、冷司が大きく目を見開く。
すぐにベッドを降りようとする光輝が、背中を見せる。
何だかそれが、ひどく遠くに感じた。
どうして?どうして光輝、すぐに背中を見せるの?
帰っちゃうの?どこかに行っちゃうの?
お布団敷いて寝ちゃうの?
物足りなかった?物足りなかったんだね。
ガッカリした?l僕を嫌いになっちゃった?
終わっちゃった。本当なら、もっともっと楽しんで、抱き合って朝を迎えるはずなのに。
まだ夜は始まったばかりなのに、たった2回、たった……あっという間に終わってしまう。
ぶわっと、涙が浮かんだ。
お尻にはしびれたような快感が残ってる。でも、感覚だけで精液も何も残ってない。
終わったあと、一緒にシャワーも出来ない。
死んだマグロみたいに怠くて全然動けない。
光輝が手を伸ばし、手袋の箱とローションを棚に片付ける。
冷司は行為の最中、気がつかなかったので、心臓がドキンとした。
そんな物、そんな物使ってたんだ。僕は、清潔なんかどうでもいいのに。
あなたの思うように、あなたがしたいようにして、僕なんかグチャグチャになっていいのに。
汚れてドロドロになったって、それで死んだっていいのに。
こんなに気を使わせるなんて。僕は……僕は……
「うっ、うっ、うっ、…………うーーーっ、えっ、えっ」
「え?な、泣いてんの?」
「だ……て、だって、うっうっ、えっえっ、コウは、僕のこと、えうっうっ、嫌いになったんだ」
「えっ、な、何でそんな事言うの??」
「だって、ひっくひっく、すぐ、後ろ向いて、ひっく、僕を……きっ、嫌いなんだ。ひっく、ひっく」
「えっ、違うよ、ゴム取ってんだよ。後始末ちゃんとしないとさ」
後始末……あとしまつ?!ガーンときて、また更にポロポロ涙があふれた。
「えっ、えっ、うえーーーん、ひぃ、ひぃ、
あと、しまつ、って、なんかやっ、だよぉっ、はひはひ、ひぃっく、うううううっ、うっ」
「ちょ、ちょ、どうしたんだよ、冷司」
「うっ、うっ、うっ、もっと、したい、のにーーーひっひっ
コウは、コウは、きっと、僕、捨てちゃう、ひっひっ、んだ」
冷司が息継ぎしながらしくしく泣き出して、光輝が笑って横から抱きしめた。
「マジで泣いてんの?!
お前さ~マジ??あはは、ほんと可愛い奴。
誰が捨てるんだよ、馬鹿だなあ。お前は俺の家って言ったろ?
まったく、セックスしたいって泣く奴がいるかよ、またな、また入れてやるよ。
お前のアナルは凄くいい。
すごく気持ちよかった。俺は満足したんだよ?」
「うっ、うっ、ほんと?」
「ほんと、ほんと。
俺の息子は満足したから寝ようってさ。
さあ、身体拭いて、シーツ替えて寝ような。
今夜はベッドで一緒に寝よう」
「うん、うん、ぐすっ、一緒に?このベッドで一緒に?」
「そうそう、元々布団は遅く帰る俺の都合だからさ、冷司さえ良ければ一緒に寝てもいいんだぜ?
このベッドデカいし。まあ、美紗貴さんに意地張っても仕方ないよな」
パアッと泣いてた冷司の顔が明るくなった。
「うん、僕は、寝てる時に、ベッドに入っても、なんともないよ。
それより、一緒に寝たい。光輝の、匂いかいで、寝たい!」
「あはは、なんだそれ。
ごめんごめん、寂しかったのか、わからなくてごめんな。
ほんとに甘えっ子だなあ、冷司は」
「だって、でっかいベッドに1人で寝るの寂しいんだもん」
光輝は美紗貴に意地張ったこともあって、冷司の睡眠を邪魔しないようにとベッドの横に布団を敷いて寝る事がすっかり当たり前になっていた。
ダブルベッドに1人で寝かせるなんて、まあ、変な意地張っちゃったよな~
「じゃ、寝る前にやるか!」
光輝が元気にベッドを降りると、まずは換気のスイッチ入れて、お湯で濡らしたタオルで互いの身体を拭き、冷司を転がしてシーツを替える。
余韻を楽しむも何も無い感じで、冷司が苦笑いした。
「ね、ね、ね、ねえ、こんな事さ、朝で良くない?」
「駄目!!駄目だよ!!この部屋本だらけだぜ?紙は臭いを吸っちゃうんだよ、これ全部お父さんの本じゃん!
帰ってきて本取って、パラッとめくったらザーメンの臭いなんて俺は即死!!即死する!!」
「あ、そっか」
まったく光輝はこんな所まで家事の達人だ。
トドメとばかりに消臭剤シューシュー吹いて、換気止めてようやくベッドに入る。
リモコンで部屋の電気の明るさを落として、大きく息を付いた。
「あー、これでオッケーだ!よかったなー。やっとセックス出来てホッとした」
「うん、2回しか出来なくてゴメンね」
「バーカ、半年近く入院して、退院ちょっとで2回も出来たって驚きだよ。
具合悪くない?」
「うん、大丈夫。腰が抜けてたけど、ちょっと戻ってきた。
明日、洗濯大変だね」
「まあ、あの洗濯機と乾燥機あれば楽勝~
あーやっぱ2人で寝ると温かいなー」
もぞもぞと横になり、向かい合って、目を閉じる。
ふと冷司が目を開けると、何度見ても光輝がじっと自分の顔を見てる。
冷司が気恥ずかしくて、うつむいた。
「もう、なに?早く寝ようよ」
「いや、色っぽかったなあって」
「馬鹿」
「うーん、やっぱ冷司は最高だよ。
お疲れ様のキスしていい?」
「いいよ」
ちゅっ、「んー」ちゅっ
ウフフッと、ちょっと恥ずかしくて2人で笑う。
その姿が嬉しくて、光輝がまた言った。
「お疲れ様の抱っこしていい?」
「くすくす、いいよ」
光輝が冷司をギュッと抱きしめ、そのままじっと互いの体温を確かめる。
「なあ、……今度、いつしようか?」
プウッと冷司が吹き出した。
「やっぱ満足してないじゃん」
「いや、今日じゃ無いんだ。うん、俺はこうしているだけで満足だし」
「んー、じゃあ明日しよ」
「明日は無理だろ、明後日な」
「今度は電気消してよね」
「うーん、だって、なあ、冷司色っぽいんだもん。ずっともだえる姿見ていたい」
思いがけないこと言われて、ボッと赤くなる。
「馬鹿、恥ずかしいこと言わないでってば。うーん、じゃあもうちょっと明るくしてもいいよ」
「よし、冷司の顔が見えるていどな。うん、よーし、寝るか」
「うん」
「冷司……」
「ん?」
「……一緒にちゃんちゃんこな。大事にするから、俺より長生きすること」
「……うん、ありがとう……」
体力の無い冷司には、死という言葉が常につきまとっているようで、光輝には怖い。
失いたくない。
母子家庭で母を亡くした後、引き取って育ててくれた祖父を亡くして孤独の中で暮らしてきた彼は、もう2度と孤独を味わいたくない気持ちで、冷司を優しく抱きしめる。
見上げると、本が並んでいる。
まるで図書館のように。
「明日、図書館に行こうか」
「うん、久しぶりだね。僕らの恋は、図書館で始まったんだよね」
「無理はしない程度で」
「うん、無理しない。でも、僕等の合い言葉は……」
「 「 明日、図書館で会おう 」 」
声を合わせて笑い合い、もう一度キスをする。
それだけで、怖いものはなにもない気持ちにさせる。
2人は満ち足りた気分で、互いの吐息を子守歌に眠りについた。
明日、図書館で会おう おわり
ガクガク揺り動かされて、堰を切ったように呼吸が激しくなる。
「ガハァッ!ハアッ!ハアッ!ハアッ!
ガハッ!ごほっ!ごほっ!ぐ……げふっ、ハアッ!ハアッ!」
まるで、溺れた人の呼吸が再開したように、咳き込みながら息をする。
「冷司、おい、おい、大丈夫か?」
ホッとして、ペチペチ頬を叩くと、薄く目を開けキョロキョロする。
浅く息を付きながらボウッとして、全身が脱力している。
「ごめん、止められなかった。無理させちゃったな。
冷司、とにかく抜くから」
「や……こ……き、まだ、……まだ、したい、の」
もうろうとした頭で、抜くというワードだけが頭に響く。
身体中が冷や汗をかいている。頭がガンガンする。
熱さは意識を失った事ですっかり冷めて、あまりの激しさに本当に一瞬死んだのかもしれないとさえ思った。
「こ……コウ……して……また……」
光輝がタオルで意識がもうろうとしている冷司の顔の汗を拭きながら、キスをする。
少し後悔して、冷司の顔をのぞき込んだ。
「今日は終わりだ、またな。無理してごめん。ごめんな」
「はあ、はあ、やだ……やだ、よ……」
泣きそうに目をうるませる冷司に、光輝が髪を撫でて頬を撫でた。
「泣き虫だなあ、冷司は。
これで終わりじゃないんだよ。またしよう、な?」
「や…だぁ、もっと、もっとして、はあはあ、もっと……もっと……して」
ハアハア息を付きながら、冷司ももう無理だとわかっている。
身体がもう、限界を超えている。身体が鉛のように重い。アナルに力も入らない。
それでも、まだ光輝と繋がっていたい。
「冷司、俺はセックス出来たことが嬉しかったよ。
俺はお前が大切なんだ、だから、な?またしような」
「ごめん……ごめん、ね。はあ、はあ、ごめん…なさい」
「いや、俺が止められなくなったのが悪いから。
じゃ、抜くよ」
光輝が身体を起こして、ズルリとペニスを抜いた。
「うっ……」
あまりの喪失感に、冷司が大きく目を見開く。
すぐにベッドを降りようとする光輝が、背中を見せる。
何だかそれが、ひどく遠くに感じた。
どうして?どうして光輝、すぐに背中を見せるの?
帰っちゃうの?どこかに行っちゃうの?
お布団敷いて寝ちゃうの?
物足りなかった?物足りなかったんだね。
ガッカリした?l僕を嫌いになっちゃった?
終わっちゃった。本当なら、もっともっと楽しんで、抱き合って朝を迎えるはずなのに。
まだ夜は始まったばかりなのに、たった2回、たった……あっという間に終わってしまう。
ぶわっと、涙が浮かんだ。
お尻にはしびれたような快感が残ってる。でも、感覚だけで精液も何も残ってない。
終わったあと、一緒にシャワーも出来ない。
死んだマグロみたいに怠くて全然動けない。
光輝が手を伸ばし、手袋の箱とローションを棚に片付ける。
冷司は行為の最中、気がつかなかったので、心臓がドキンとした。
そんな物、そんな物使ってたんだ。僕は、清潔なんかどうでもいいのに。
あなたの思うように、あなたがしたいようにして、僕なんかグチャグチャになっていいのに。
汚れてドロドロになったって、それで死んだっていいのに。
こんなに気を使わせるなんて。僕は……僕は……
「うっ、うっ、うっ、…………うーーーっ、えっ、えっ」
「え?な、泣いてんの?」
「だ……て、だって、うっうっ、えっえっ、コウは、僕のこと、えうっうっ、嫌いになったんだ」
「えっ、な、何でそんな事言うの??」
「だって、ひっくひっく、すぐ、後ろ向いて、ひっく、僕を……きっ、嫌いなんだ。ひっく、ひっく」
「えっ、違うよ、ゴム取ってんだよ。後始末ちゃんとしないとさ」
後始末……あとしまつ?!ガーンときて、また更にポロポロ涙があふれた。
「えっ、えっ、うえーーーん、ひぃ、ひぃ、
あと、しまつ、って、なんかやっ、だよぉっ、はひはひ、ひぃっく、うううううっ、うっ」
「ちょ、ちょ、どうしたんだよ、冷司」
「うっ、うっ、うっ、もっと、したい、のにーーーひっひっ
コウは、コウは、きっと、僕、捨てちゃう、ひっひっ、んだ」
冷司が息継ぎしながらしくしく泣き出して、光輝が笑って横から抱きしめた。
「マジで泣いてんの?!
お前さ~マジ??あはは、ほんと可愛い奴。
誰が捨てるんだよ、馬鹿だなあ。お前は俺の家って言ったろ?
まったく、セックスしたいって泣く奴がいるかよ、またな、また入れてやるよ。
お前のアナルは凄くいい。
すごく気持ちよかった。俺は満足したんだよ?」
「うっ、うっ、ほんと?」
「ほんと、ほんと。
俺の息子は満足したから寝ようってさ。
さあ、身体拭いて、シーツ替えて寝ような。
今夜はベッドで一緒に寝よう」
「うん、うん、ぐすっ、一緒に?このベッドで一緒に?」
「そうそう、元々布団は遅く帰る俺の都合だからさ、冷司さえ良ければ一緒に寝てもいいんだぜ?
このベッドデカいし。まあ、美紗貴さんに意地張っても仕方ないよな」
パアッと泣いてた冷司の顔が明るくなった。
「うん、僕は、寝てる時に、ベッドに入っても、なんともないよ。
それより、一緒に寝たい。光輝の、匂いかいで、寝たい!」
「あはは、なんだそれ。
ごめんごめん、寂しかったのか、わからなくてごめんな。
ほんとに甘えっ子だなあ、冷司は」
「だって、でっかいベッドに1人で寝るの寂しいんだもん」
光輝は美紗貴に意地張ったこともあって、冷司の睡眠を邪魔しないようにとベッドの横に布団を敷いて寝る事がすっかり当たり前になっていた。
ダブルベッドに1人で寝かせるなんて、まあ、変な意地張っちゃったよな~
「じゃ、寝る前にやるか!」
光輝が元気にベッドを降りると、まずは換気のスイッチ入れて、お湯で濡らしたタオルで互いの身体を拭き、冷司を転がしてシーツを替える。
余韻を楽しむも何も無い感じで、冷司が苦笑いした。
「ね、ね、ね、ねえ、こんな事さ、朝で良くない?」
「駄目!!駄目だよ!!この部屋本だらけだぜ?紙は臭いを吸っちゃうんだよ、これ全部お父さんの本じゃん!
帰ってきて本取って、パラッとめくったらザーメンの臭いなんて俺は即死!!即死する!!」
「あ、そっか」
まったく光輝はこんな所まで家事の達人だ。
トドメとばかりに消臭剤シューシュー吹いて、換気止めてようやくベッドに入る。
リモコンで部屋の電気の明るさを落として、大きく息を付いた。
「あー、これでオッケーだ!よかったなー。やっとセックス出来てホッとした」
「うん、2回しか出来なくてゴメンね」
「バーカ、半年近く入院して、退院ちょっとで2回も出来たって驚きだよ。
具合悪くない?」
「うん、大丈夫。腰が抜けてたけど、ちょっと戻ってきた。
明日、洗濯大変だね」
「まあ、あの洗濯機と乾燥機あれば楽勝~
あーやっぱ2人で寝ると温かいなー」
もぞもぞと横になり、向かい合って、目を閉じる。
ふと冷司が目を開けると、何度見ても光輝がじっと自分の顔を見てる。
冷司が気恥ずかしくて、うつむいた。
「もう、なに?早く寝ようよ」
「いや、色っぽかったなあって」
「馬鹿」
「うーん、やっぱ冷司は最高だよ。
お疲れ様のキスしていい?」
「いいよ」
ちゅっ、「んー」ちゅっ
ウフフッと、ちょっと恥ずかしくて2人で笑う。
その姿が嬉しくて、光輝がまた言った。
「お疲れ様の抱っこしていい?」
「くすくす、いいよ」
光輝が冷司をギュッと抱きしめ、そのままじっと互いの体温を確かめる。
「なあ、……今度、いつしようか?」
プウッと冷司が吹き出した。
「やっぱ満足してないじゃん」
「いや、今日じゃ無いんだ。うん、俺はこうしているだけで満足だし」
「んー、じゃあ明日しよ」
「明日は無理だろ、明後日な」
「今度は電気消してよね」
「うーん、だって、なあ、冷司色っぽいんだもん。ずっともだえる姿見ていたい」
思いがけないこと言われて、ボッと赤くなる。
「馬鹿、恥ずかしいこと言わないでってば。うーん、じゃあもうちょっと明るくしてもいいよ」
「よし、冷司の顔が見えるていどな。うん、よーし、寝るか」
「うん」
「冷司……」
「ん?」
「……一緒にちゃんちゃんこな。大事にするから、俺より長生きすること」
「……うん、ありがとう……」
体力の無い冷司には、死という言葉が常につきまとっているようで、光輝には怖い。
失いたくない。
母子家庭で母を亡くした後、引き取って育ててくれた祖父を亡くして孤独の中で暮らしてきた彼は、もう2度と孤独を味わいたくない気持ちで、冷司を優しく抱きしめる。
見上げると、本が並んでいる。
まるで図書館のように。
「明日、図書館に行こうか」
「うん、久しぶりだね。僕らの恋は、図書館で始まったんだよね」
「無理はしない程度で」
「うん、無理しない。でも、僕等の合い言葉は……」
「 「 明日、図書館で会おう 」 」
声を合わせて笑い合い、もう一度キスをする。
それだけで、怖いものはなにもない気持ちにさせる。
2人は満ち足りた気分で、互いの吐息を子守歌に眠りについた。
明日、図書館で会おう おわり
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