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24、明日は休み

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「光輝、いつから調理師学校に行くの?」

早出から帰って一緒に夕食作って並んで食べていると、冷司が聞いてきた。
冷司は家の中では、杖で歩くようになっている。
だが、外では相変わらず車いすだ。
倒れないように、ゆっくり歩く上に疲れやすい。
バスも転ぶのが怖くてまだ乗れない。

光輝は4月から勤務時間を短くして、調理師学校に通うことになっている。
その間、光輝は忙しくなり、冷司も1人でリハビリに通うことになる。
それが心配なのだ。
どこかで倒れて動けなくならないか、考えると心配が止まらない。
ただし、夕食は食べて出勤するので、一緒に食べられるのは嬉しい。

「来月3日から。お前が1人でリハビリ行くのが心配なんだよな。
バスは絶対乗るなよ?タクシー使おうよ。
お前が昔もらった慰謝料、そう言う物に使うのが正解だと思うぜ?」

刺された時に冷司は慰謝料や保険で結構な額をもらってる。
医療費と光熱費はそっちから引き落として、食費や買い物全般を光輝が出す。
お父さんの銀行に入ってるので、まあ、金については監視付きって所だ。
と言うか、お母さんが自分のブランド物に使い込んだ時点で気がついて欲しい。

「それがね、勇二が一緒に行こうって。
勇二のお母さんが、うちに寄って乗せてってあげるって言ってくれたんだ。
引きこもってたのに、一緒に外へ出るようになったから助かってるって」

「えっ!マジ?!」

「マジ~、僕めっちゃ嬉しくて、よろしくって言っちゃった。
あいつ週3しか行かないけど、僕は十分だよ。
あと2日はタクシーで行く」

「杖で大丈夫?」

「うん、病院内ならゆっくりオッケーだし、車いす借りればいいし。
光輝心配しすぎ~」

「だって、俺は冷司がいないと生きていけないもん」

「もう、なにそれ、キスして」

冷司が顔を寄せて目を閉じる。
光輝が横から頬にキスすると、冷司が唇にキスした。

「明日お店定休日?」

「そ、休み。今夜はゆっくり出来るなー」

「じゃあ、今日は最後までやってみよ」

「無理無理、また寝たきりになるよ」

「大丈夫、あまり興奮しないように、ゆっくりね」

「興奮するからセックスは出来るんだよ?
ちょっと動くと息が上がるのに、冷司の心臓止まっちゃったら俺まで死んじゃうよ」

「大丈夫だってば。僕、毎日メンタルトレーニングしてるの」

「セックスの?!」

プウッと光輝が吹きだした。
でも、冷司は凄く真面目らしい。

「何ごとも、真剣」

「わかったわかったよ、じゃあゆっくり愛し合おう」

「うん!頑張ってご飯食べる!」

「ゲロしない程度にね」

「しないよ!光輝は意地悪だね!プンプンッ」

「はいはい」


笑ってご飯食べて、しばらくソファで一緒にテレビ見てくつろぐ。
食後すぐにお風呂は駄目。消化に血流をまわす。
冷司の生活は、まだ駄目が多い。

「僕、車の免許取りたいって先生に言ったら、まだストレスになることは駄目だって。
面倒くさい身体だよ、ほんとに」

「はあ?車??!!
何言ってんの、車の運転なんて駄目駄目!運転中具合悪くなったらどうするの。
やっと退院出来たのに、俺の心配増やさないでよ。
生きてるだけで俺は嬉しいから」

「もう、そんな事ばっか言うんだから」

グイッと襟を引いて、冷司がキスしてくる。
チュッと唇を吸って、ペロリと唇を舐めて誘った。

「早いなー、さかってるよ、俺の彼氏は」

「光輝が落ち着きすぎてるんだよ。
僕、なんかソワソワしちゃう。
あ、ちょっとお腹洗ってくる」

「無理するなよ、無理厳禁。
汚れたらお風呂に行けばいいんだから」

「やだよ、僕が許せないの!少し時間かかるから」

「あーー、大丈夫か?手伝おうか?」

「過保護!!もう慣れたから!」

プンプンして杖付きながらトイレに行く。
もう慣れたって事は、練習してるんだろう。

「さかってるなあ……」

ゆっくりゆっくり、やっているんだろう。
2回トイレに行って、やっと戻ってきた。

「なに?なんでやるの?」

「お湯で流すの。ちゃんと温度測ってね、2回くらい。
習ってからね、1日おきでやってる。
お腹も綺麗になるし、なんか最近お腹の調子も良くなったし。
ストーマの人にやり方聞いたの。
お湯の方が優しく洗えるんだって。
まあ、僕の場合、目的が不純だけど」

「ふうん、情報源が病院ならではだね~
セックスに不純は無いと思うぜ?清潔にやりたいって、冷司の俺への気遣いだから」

ボッと冷司の顔が赤くなる。
光輝がドスンと脇腹を突かれた。

「ごめんね、ずっと待たせて」

「なに、毎日キスやってたじゃん。濃厚な奴。
キスだけは上手くなったよな」

「キスはキスでいいよね」

どんどん冷司の顔が近くなる。
光輝がテレビを消した。

冷司の肩に手を回し、引き寄せながらいきなり抱きしめて膝の上に倒す。

「じゃあ、まずはお風呂に行きましょうか」

「うん、ポカポカにして抱き合おう」

「じゃあ、オードブルのキス」

光輝が冷司の額にキス。
そして左右の頬に、唇に。

「うふふ、嬉しい、嬉しいな。
ずっとあの時、拒んだの後悔したから」

「拒んじゃいないよ。まだ冷司の心の準備が出来てなかっただけ。
あの時は俺の方が悪いから」

「優しいね、光輝は」

フフッと笑い、手を繋いで2人で風呂へと立ち上がった。
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