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5、君の選択肢

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カッカッカッカッ


俺は、足音を響かせ入り口からサッとカフェの中に入った。

「あ、お客様」

ポケットから丸めた一万円置いて、カウンターにある150円のキャンディを取った。


「なあなあ、麻都~、今度うちに来いよ。
新しいゲーム勝ったけどさー、相手いなくて面白くないんだ。
色々面白いことしようぜ、泊まってもいいぜ、絶対飽きさせないからさ」

「いや、僕、お泊まりとかあんまり……」

「でも、あの水もの水城にはお願いしてたじゃん?
あんなおっさんのどこがいいんだよ。下心満載じゃん」

「だって、水城は……水城のこと悪く言わないで。お願い、足をさわらないで」


俺はグイッと膝を、2人のケツの間にグリグリグリッと押し込んだ。

「いててて、いってええ!なんだよ!なんだよ!」

ゲス野郎が振り向いて、俺は襟首掴んで引き寄せ、ピタリと鼻の頭をくっつけ低い声でささやいた。

「おいゲス、お前それ強制わいせつなんだけど」

「だ、だ、誰?そんな、オーバーなこと。男同士じゃん、犯罪になんかなるもんか」

「お前いい性格してんな、こんなガラスのカウンター席でよ。
男同士でも痴漢は成立するんだよ。今のスマホで撮ったから。
警察行く?」

「えっ!ご、ごめんなさい、人に言わないで!ネットに上げないで」

「じゃあ、こっちの子に謝れ、お前股間に触れただろ。
薄汚えオヤジみたいな事しやがって、うらやま……ゲスがよぉ!」

芳井がプルプルしながらカバンを取った。

「ごめんなさい!ごめん!」

何度も麻都に謝って出口に向かう。

「待てィ!自分が飲み食いした物かたづけろ!」

「は、はい!」

バタバタ戻ってトレイを片付け、走り去っていった。

「あの、ありがとうございまし……あれ?水城?」

えっ!!

ウソ、マジわかるってどういう事??やっぱ愛?愛なのか??

「ね、水城でしょう?守ってくれたんだ、ありがとう」

麻都の目からポロポロ涙がこぼれる。

「いや、なんか心配で。ごめんね、ストーカーみたいなことして」

ううん、と、可愛く首を振る。
僕はポケットから結婚式の時の入れっぱの派手なハンカチ差し出した。

「ありがとう。なんかさ、水城めっちゃカッコ良くて、またまた惚れちゃう!」

「だろ?送っていくから帰ろう」

「うん」

麻都が自分のトレイを片付けてると、後ろから声をかけられた。

「あの、店長の相沢と申します。お客様、これおつりです。
お客様の迷惑行為に気がつきませんで、申しわけありませんでした。
気がついて頂きまして、ありがとうございます。
お礼に些少ですがこちらのクッキーお持ち下さい」

「え!あ、えーと、知り合いの子で……ありがとうございます」

「良かったね、カッコイイお兄さんが通りかかってくれて」

「はい!」

なんだか、めっちゃ恥ずかしいけど、僕らはそのまま駐車場へと向かっていった。

「ウフフ、ねえ、どこから見てたの?」

「んー、あのワッフル屋さんに入った頃かな。クッキーあげる」

最初からです。

「ありがとう。
でも水城、マジカッコイイ!それじゃ女の子にモテモテになっちゃう。
ねえ、夜遊びは駄目だよ。彼女厳禁!僕がいるんだから」

「なにそれ」

「彼女作っちゃ駄目!僕は卒業したら、水城のお嫁さんになるんだからね!
予約済みでーす!」

フフフッ

ほんとかわいいなあ。
お嫁さんか~

それもいいな

車に乗って、真っ黒のサングラス外す。
ほら、やっぱり水城だーって、キャアキャアはしゃいでそのサングラス付けると、頬にチュッとキスをした。

あああああああ、むしゃぶりつきたい。

バリバリ学生服脱がせて、チンチン揉みしだいて、アナルに指入れてゴシゴシこすってアンアン言わせたい!

駄目だ!落ち着け、俺。
早く、早く僕に戻れ。
ふう、ふう……

安全運転で、麻都のマンションまで送る。
前につくと、もう着いちゃったよと残念そうに足をばたつかせた。

「ねえねえ、少しドライブしたかったなー」

「ほら、あの見たいって言ってた映画、来週までだから来週の土曜日行こう」

「ほんと?!毎週デートだね!嬉しい!嬉しいな。じゃあ、今日はガマン出来る!」

「いい子だ。お帰り」

頭を撫でると、嬉しそうに笑って車を降りた。

「うん!じゃ、またね。土曜日楽しみにしてる」

「ん、ちゃんと勉強しろよ。わからない事あったらチェック入れとけ。
土曜日教えてあげるから」

「もう!水城はすぐ先生になっちゃうんだから!」

指にキスをして、僕の頬にぴとっと当てた。

あーー、可愛い!チューしたーい

手を振って、走ってマンションに帰るその背中を見てため息を付く。

お嫁さんになるんだから、かー……
いいな、そうなれればいいな。でも、ね…………

「君は若いから、色んな選択肢があるんだよ」

つぶやいて、ギアを入れ車を走らせる。
僕はその時、まだ彼と結婚まで行けるとは全く思っていなかった。
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