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4、いけないことを考えてしまう
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「リョウ!」
ガッといきなり芳樹が良一の手をつかんだ。
「出よう!」「え?」
グイと引かれて立ち上がると、芳樹がその男に思い切り蹴りを入れる。
ドカッ!
「いてっ!」
「この変態じじい!」
言い捨てると手を引いて、一目散に逃げ出す。
「リョウ、ズボン直して!早く。」
気がつくとズボンが下がって、パンツがまる見えだ。
いつあいつに下げられたのか、気がつかなかった。
慌ててズボン上げて手で押さえると、ドアを出て映画館を飛び出した。
怒って追いかけて来そうで怖い。
エスカレーターを駆け下り、本屋の横の無人のトイレに駆け込む。
2人で個室に入り、じっと耳を澄ませる。
「追ってこないな。良かった。」
「……ごめん、ごめんね。芳樹、映画楽しみにしてたのに。」
途中で出ることになって、最後まで見られなかった。
芳樹はあんなに楽しみにしてたのに、嬉しそうだったのに。
僕が我慢すれば、終わるまで、もう少し我慢すれば良かったのに。
涙を浮かべてしゃくり上げていると、芳樹が僕をギュッと抱いた。
「ごめん!気がつかなかった。怖かったな。」
「うん……ごめんね、映画、ごめん。」
ポロポロ涙が出て、大きく息を吐いて彼に身体を預けた。
あんな奴に付いていこうと、ちょっとでも考えたのが怖い。
僕は全然普通じゃなかった。
気がつくと、足がガクガク震え出す。
立っていられなくて膝が折れそうになると、芳樹がグイと抱きしめて支えてくれた。
「うっ、うっ、ごめん、うっ、うっ」
「誤らなくていい。映画はな、配信でも見る方法はあるんだ。
俺は隣でお前が嫌な目にあってるのに、気がつかなかったのが腹立つ。」
「うん、うん」
トイレの中で2人しっかり抱き合って、しばらく僕は泣いていた。
「落ち着いた?」
「うん、少し」
身体を離して、恥ずかしくなって、下を見る。
ああ、僕のペニスは僕の気持ちなんてそっちのけだ。
背徳感のある激しい快感で、異様に興奮してハーフパンツの中で立っていた。
恥ずかしくて、芳樹に背を向けようとする。
芳樹が気がついてそれを止めた。
バタン!
誰かが急いで入ってくると、隣の個室に入った。
股間から熱が引かない。
僕は身体をくの字に曲げて、どうしたらいいのかわからず、モジモジしていた。
出さないとおさまらない。
でも臭いで気付かれるのが嫌だ。
突然、芳樹が僕を便器に座らせて、ハーフパンツとトランクスを引き下ろした。
ぷるんと僕の、恥ずかしいくらいに立ったペニスが顔を出す。
芳樹は突然、僕の股間に顔をうずめてしまった。
な、何す…… ひいっ!
それは、初めてのフェラチオだった。
興奮したペニスが生暖かい粘膜に包まれ、柔らかい舌がペロリとなめる。
声が出そうで、必死で腕に噛みつく。
芳樹はビックリするほど上手で、ぬるりとあったかい口の中でやんわりと僕のチンチンをくわえ、上下してこすると、皮を引っ張り先を剥いて、先の弱い所を舌でべろりとなめた。
ひいっ!ひいっ!ひいっ!ひいっ!ひいっ!ひいいいいっ!
隣の流す水音の中、強烈な快感に身体が思い切り反り返って、片方の手で彼の髪を掴み、頭を押さえつける。
ギュウッと強く吸われ、腰が跳ね上がって足が広がる。
足から尻までブルブル震えて、芳樹が尻を揉みしだく。
ビュウビュウと僕は彼の口の中に射精して、声を抑えて身もだえた。
んふうっ!んぐうっ!はっはっはっはっ
ボロボロ涙が出て止まらない。
スウッと芳樹が顔を上げ、ゴクンと何かを飲み込むとじっと見つめ合った。
涙でグチャグチャの僕の頬を撫でる。
僕が必死で噛む手を口から離し、その手を後ろに押さえつけ、口づけしてきた。
口の中に舌が侵入してきて、僕の舌をべろりとなめる。
互いの舌の表面はざらりとしているのに、唾液でなめらかに滑り、自在にうごめいて僕の口の中を翻弄する。
人の舌って、ヌルヌルして苦くて熱い。まるで、まるで、 ああ……
互いの舌と舌を絡め、痛いほど舌を吸われる。
ふうっふうっふうっ
鼻で必死で呼吸すると、芳樹が唇を離して僕の頭を胸に抱く。
とっくに隣は出て行っていた。
「ごめん……」
「……ごめん、ね」
なぜか互いに謝って、汗臭い互いの匂いにフフッと笑う。
芳樹は、くしゃくしゃのハンカチで僕の涙を拭き、出ようぜとささやいた。
「警察行く?」
「行きたくない。」
「じゃあ、帰るか。」
芳樹に手を引かれ、駅に向かう。
ふと、ポケットに紙切れがあるのに気がついた。
そこには、携帯の電話番号が書いてある。
なんだろう?ハッとして、思わずメモを隠した。
それは、さっきの痴漢の男だ。
芳樹が手を引いたとき、サッと手を入れられた感触がある。
警察に、行けば。
届けなきゃ。
これ、今なら、きっと、あいつは捕まる。
でも、
良一は、電車に乗って芳樹との会話の間も、ずっと、頭から離れなかった。
痴漢の手の巧みな愛撫が。
きっと、会えばあの先まで、いいや、もっと、もっと深くまで。
弄ばれて、グチャグチャになるまで
怖くて、でも腰の中のどこかがうずいて、
したい、
したい、したい、
したい、したい、したい、もっと、激しく、奥深くまで、
「なあ、俺んちくる?」
ハッとして顔を上げた。
「な、なんで?」
「そんな顔して帰るな、おばさん心配するだろ?」
思わず口を塞ぐ。
そんな顔してたんだ。
恥ずかしさよりも、そんな事を考えた自分が怖い。
悪い道に歩きそうで怖い。
お母さん、お母さん、ごめん、ごめんね。
はあぁぁ……息を付き、僕は静かにうなずいた。
ガッといきなり芳樹が良一の手をつかんだ。
「出よう!」「え?」
グイと引かれて立ち上がると、芳樹がその男に思い切り蹴りを入れる。
ドカッ!
「いてっ!」
「この変態じじい!」
言い捨てると手を引いて、一目散に逃げ出す。
「リョウ、ズボン直して!早く。」
気がつくとズボンが下がって、パンツがまる見えだ。
いつあいつに下げられたのか、気がつかなかった。
慌ててズボン上げて手で押さえると、ドアを出て映画館を飛び出した。
怒って追いかけて来そうで怖い。
エスカレーターを駆け下り、本屋の横の無人のトイレに駆け込む。
2人で個室に入り、じっと耳を澄ませる。
「追ってこないな。良かった。」
「……ごめん、ごめんね。芳樹、映画楽しみにしてたのに。」
途中で出ることになって、最後まで見られなかった。
芳樹はあんなに楽しみにしてたのに、嬉しそうだったのに。
僕が我慢すれば、終わるまで、もう少し我慢すれば良かったのに。
涙を浮かべてしゃくり上げていると、芳樹が僕をギュッと抱いた。
「ごめん!気がつかなかった。怖かったな。」
「うん……ごめんね、映画、ごめん。」
ポロポロ涙が出て、大きく息を吐いて彼に身体を預けた。
あんな奴に付いていこうと、ちょっとでも考えたのが怖い。
僕は全然普通じゃなかった。
気がつくと、足がガクガク震え出す。
立っていられなくて膝が折れそうになると、芳樹がグイと抱きしめて支えてくれた。
「うっ、うっ、ごめん、うっ、うっ」
「誤らなくていい。映画はな、配信でも見る方法はあるんだ。
俺は隣でお前が嫌な目にあってるのに、気がつかなかったのが腹立つ。」
「うん、うん」
トイレの中で2人しっかり抱き合って、しばらく僕は泣いていた。
「落ち着いた?」
「うん、少し」
身体を離して、恥ずかしくなって、下を見る。
ああ、僕のペニスは僕の気持ちなんてそっちのけだ。
背徳感のある激しい快感で、異様に興奮してハーフパンツの中で立っていた。
恥ずかしくて、芳樹に背を向けようとする。
芳樹が気がついてそれを止めた。
バタン!
誰かが急いで入ってくると、隣の個室に入った。
股間から熱が引かない。
僕は身体をくの字に曲げて、どうしたらいいのかわからず、モジモジしていた。
出さないとおさまらない。
でも臭いで気付かれるのが嫌だ。
突然、芳樹が僕を便器に座らせて、ハーフパンツとトランクスを引き下ろした。
ぷるんと僕の、恥ずかしいくらいに立ったペニスが顔を出す。
芳樹は突然、僕の股間に顔をうずめてしまった。
な、何す…… ひいっ!
それは、初めてのフェラチオだった。
興奮したペニスが生暖かい粘膜に包まれ、柔らかい舌がペロリとなめる。
声が出そうで、必死で腕に噛みつく。
芳樹はビックリするほど上手で、ぬるりとあったかい口の中でやんわりと僕のチンチンをくわえ、上下してこすると、皮を引っ張り先を剥いて、先の弱い所を舌でべろりとなめた。
ひいっ!ひいっ!ひいっ!ひいっ!ひいっ!ひいいいいっ!
隣の流す水音の中、強烈な快感に身体が思い切り反り返って、片方の手で彼の髪を掴み、頭を押さえつける。
ギュウッと強く吸われ、腰が跳ね上がって足が広がる。
足から尻までブルブル震えて、芳樹が尻を揉みしだく。
ビュウビュウと僕は彼の口の中に射精して、声を抑えて身もだえた。
んふうっ!んぐうっ!はっはっはっはっ
ボロボロ涙が出て止まらない。
スウッと芳樹が顔を上げ、ゴクンと何かを飲み込むとじっと見つめ合った。
涙でグチャグチャの僕の頬を撫でる。
僕が必死で噛む手を口から離し、その手を後ろに押さえつけ、口づけしてきた。
口の中に舌が侵入してきて、僕の舌をべろりとなめる。
互いの舌の表面はざらりとしているのに、唾液でなめらかに滑り、自在にうごめいて僕の口の中を翻弄する。
人の舌って、ヌルヌルして苦くて熱い。まるで、まるで、 ああ……
互いの舌と舌を絡め、痛いほど舌を吸われる。
ふうっふうっふうっ
鼻で必死で呼吸すると、芳樹が唇を離して僕の頭を胸に抱く。
とっくに隣は出て行っていた。
「ごめん……」
「……ごめん、ね」
なぜか互いに謝って、汗臭い互いの匂いにフフッと笑う。
芳樹は、くしゃくしゃのハンカチで僕の涙を拭き、出ようぜとささやいた。
「警察行く?」
「行きたくない。」
「じゃあ、帰るか。」
芳樹に手を引かれ、駅に向かう。
ふと、ポケットに紙切れがあるのに気がついた。
そこには、携帯の電話番号が書いてある。
なんだろう?ハッとして、思わずメモを隠した。
それは、さっきの痴漢の男だ。
芳樹が手を引いたとき、サッと手を入れられた感触がある。
警察に、行けば。
届けなきゃ。
これ、今なら、きっと、あいつは捕まる。
でも、
良一は、電車に乗って芳樹との会話の間も、ずっと、頭から離れなかった。
痴漢の手の巧みな愛撫が。
きっと、会えばあの先まで、いいや、もっと、もっと深くまで。
弄ばれて、グチャグチャになるまで
怖くて、でも腰の中のどこかがうずいて、
したい、
したい、したい、
したい、したい、したい、もっと、激しく、奥深くまで、
「なあ、俺んちくる?」
ハッとして顔を上げた。
「な、なんで?」
「そんな顔して帰るな、おばさん心配するだろ?」
思わず口を塞ぐ。
そんな顔してたんだ。
恥ずかしさよりも、そんな事を考えた自分が怖い。
悪い道に歩きそうで怖い。
お母さん、お母さん、ごめん、ごめんね。
はあぁぁ……息を付き、僕は静かにうなずいた。
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