水城先生は手を出してくれない(水城先生と麻都1)

ペッパーミントコーヒー

文字の大きさ
上 下
4 / 15

4、は?結納?誰の?僕らの?

しおりを挟む
「麻ちゃん、大学卒業したら何になりたいの?」

一緒に朝食食べていると、水城のお母さんが僕に聞いて来る。
食堂は大きなテーブルで、ビックリするほど人数が多い。

「えと、えと、ゲーム関係の仕事に就きたいです」

「まあ!今の人はハイテクねえ、ねえパパ」

「うむ、目標があるのはいい物だ。
でも思った道に進めないからと、腐るんじゃねえぞ」

「はい、今は大学の授業について行けるかが、ちょと怖いです」

パパさんが、キョトンとして、大きな声でハッハッハッハと笑い出した。
真っ白い短髪にがっしりした身体で豪快な人だ。

「素直でいい子だ、だがお前さんのような奴は騙されやすい。
まあ、こんな事を言うのも何だが、知らない奴に声かけられてもついていくなよ」

急に子供扱いされて、僕の顔が真っ赤になった。
恥ずかしくてうつむくと、隣の水城のお姉さんが、バンといきなり背を叩いてくる。

「下見るんじゃ無いよ!人間は前を向くもんだ」

「は、はい」

何だか、お姉さんも豪快。
2番目のお兄さんが、身を乗り出して聞いてきた。

「畑仕事はどうだい?たまに手伝って貰えると嬉しいけど」

「手伝います、大丈夫です。
爺ちゃんちを手伝いに行ってたんで、小さな耕運機だったら使えます」

「えっ?!」バアッと全員がこちらを向いた。

「「  本当かい?!助かるよ!!  」」

見事に、全員の声が合った。見ると目がキラッキラしてる。
うう、爺ちゃんありがとう。
こんな所で役に立ったよ。
そうホッとしたのもつかの間、後々僕はその趣味の規模にため息付くんだけど。
まあ、家族も付き合うの大変だなあって。

「あら、こんな時間。早く支度しないと」

「みずちゃん、写真撮るからスーツ着て頂戴。
麻ちゃんは学生服ね。
ハイハイ、みんなもほどほどオシャレして。
髪結いさんと着付けも呼んだから、女性陣は着物着ましょ?こんな時しか着る機会無いし」

「ちーちゃんも着るー!七五三の時の~」

「はいはい、じゃあ急ぐわよ」

「え?なんかあるの?}

「まあまあ、いいから服着て」

水城のお母さんは、ホクホクして何だか嬉しそうだ。
奥からキャッキャと楽しそうな声が上がり、学生服に着替えて居間にちょこんと御座ってると、着物姿のお姉さんや娘さんたちが出てきた。
お父さんは、羽織袴で何ごと?って思う。

やがて電話がかかり、お兄さんが裏の車庫から一番でかい真っ黒でピカピカのバンに乗って家から出た。

「ママー、仕出しは11時半だよね」

「パパさん、写真屋ちょっと遅れるって」

「遅れるだ~?海渡!お前様子見てこい!」

「うす!」

何だか慌ただしくて、良くわからず水城のところに行く。

「何があるの?」

「結納」

「え?なに?誰の?」

教えてくれない。ケチ
そうしているうちに、何故かうちの家族がやって来た。

「やーよくおいで下さいました」

「いや、立派な御邸宅で。
今日はお世話になります」

「どうぞどうぞ、いや残念ながらお互い孫の顔は拝めませんが、好きなもん同士でくっつくのはめでたいもんです」

「あらやだ、パパ、おめでたい日に」

「おお、すまんすまん、はっはっはっは!」

苦笑するお父さんとお母さんが玄関で靴を脱ぐ。
僕は信じられずにその顔をのぞき込んだ。

「なんで?」

「結婚って認められて無くてもな、ちゃんとしましょうって、こちらの方が仰ったんだ。
お前は卒業したら籍入れたいんだろう?」

「寂しくなるけどね、こちらも親戚付き合いしていきたいって言って下さったから」

寂しげな顔でいたお母さんが、身を起こすと僕の手を握ってニッコリ囁いた。

「だって、大学でどうせあんた家でるし、学費向こうが持ってくれるって!
アパート借りる必要も無くなったし、めっちゃ助かるう~ってわけよ!おめでと!」

そっか~、そう言うことか~

お父さんも僕の頭ポンとたたいて奥へと案内される。
僕は、そうやって水城と結納みたいな事をして、入籍と式は家族でホテル会食となり、日取りも決まった。

水城は公立の学校やめて、お義父さんの知り合いの私学の教師として迎えられることになってるので、今の校長には話す必要ないでしょとなった。
変に憶測されるのもいやだし、同性結婚なんてまだ一般的じゃないし、何よりまだ僕は在校生だ。

あとは僕の卒業待ち、それまで目立たないように気をつけようと話し合った。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

4人の兄に溺愛されてます

まつも☆きらら
BL
中学1年生の梨夢は5人兄弟の末っ子。4人の兄にとにかく溺愛されている。兄たちが大好きな梨夢だが、心配性な兄たちは時に過保護になりすぎて。

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

年越しチン玉蕎麦!!

ミクリ21
BL
チン玉……もちろん、ナニのことです。

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。 そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

スライムパンツとスライムスーツで、イチャイチャしよう!

ミクリ21
BL
とある変態の話。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

処理中です...