1 / 7
第一話
しおりを挟む
仁の心で国を治め、ほとんど人の命を失わずに、つまり戦をすることなく天下統一を成し遂げた不世出の仁君がいた。
その王の元で王を仁君にするために全ての悪事を背負った友がいた。
戦をせずに乱世を一つの平穏な国にまとめ上げた王…
1.プロローグ
シュッと嫌な音が耳をつたって体中に広がっていった。自分のしている行為の正当性を求めて空を見るが、先程までの澄んだ星空は雲に遮られている。目を閉じて深呼吸する。そしてすぐに後悔した。目の裏に写るのは、殺したばかりの男が死ぬ瞬間にした顔だし、胸に入り込んできた空気は血の臭いがしたし、なんだか生暖かい気がした。「終わった。何もかも終わったのだ。これで俺も人間に戻れる。」そう思った時だった。今まで築き上げたもの、そしてこれから築き上げるものが音もなく静かに崩れ落ちていったのを俺はまだ知らなかった。
「ゼニル!ゼニルってば!待ってよ」
「ほらこっちだぞ!早く来いよギニル!」
「いたっ」
「おい、大丈夫か?ギニル?」
「うん、大丈夫だけど…」
そう言いながらもギニルの目にはうっすらと涙が、浮かんでいた。
「おい、泣くなよ。」いつもそうなのだ。ギニルは弱すぎる。鬼ごっこをしようと言っても、みんなの父さんが「ほら、剣術の稽古をするぞ!」と言ったときも、いつも「ぼくは、本を読んでいるのでいいです。」と言う。ギニルは、いつも建物の中で、本を読んでいる。俺達とはしゃぎ回ることは皆無だった。そのせいか、年を重ねるごとに逞しくなっていく俺たちとは違ってずっとひよわだった。それに、一応お父さんから禁じられているがみんなで狩りに行こうとした時、いつも静かになギニルが「やめようよ。別に食べ物に困っているわけではないんだからさ。狩るだけなのは、動物に申し訳ないじゃないか。」と言って反対した。結局その時は、お父さんに見つかって行けなかったのだが。こんなときもあった。みんなが喧嘩をしていると、「待ってよ。何やってるのさ。喧嘩はやめようよ。話し合いで仲直りはできないの?とにかくみんな離れて。落ち着いて。」と言って、引っ込み思案なはずのギニルは見事に喧嘩をやめさせてみんなを仲直りさせてしまったのだ。こんなふうにギニルは、とにかく争い事が嫌いだった。ギニルと同い年で同じ孤児院で育った。さっきからみんなのお父さんと呼んでいるのは、俺とギニルのほかに十三人の孤児をひとりで育てている院長兼寺院の住職兼俺たちの剣術や学問の先生であるモーゼ先生のことだ。
あの夏はいつにも増してとても暑い夏だった気がする。その日はいつもの日と違って西の空の積乱雲から雷鳴が聞こえていた。ある夏にみんなで近くの川に行って泳いでいる時だった。モーゼ先生がギニルを呼びに来た。「ちょっときなさい、ギニル。」そういつもより険しい声でギニルに呼び掛けた。そしてギニルは、先生と院に戻っていった。その日は一雨来そうだったので結局昼前には遊ぶのをやめてみんなで帰った。部屋に戻ったがギニルの姿がなかった院に入ると奥でなにやら先生が怒気を含んだ声で誰か数人の人と話しているのが聞こえた。少し覗いてみるとなんだか派手な服を着ている、というよりあまりここノダン村では見かけないなんだか着飾った人たちがいた。そして難しくてよくわからない言葉を先生にぶつけては先生がしきりに「だから、無理だといっとるんです。ギニル様は、今はまだ幼くあらせられますし、ここには友も沢山おります。」俺には、その時まだなぜ先生が急にギニルの名前に様をつけたのか理解できなかった。そうこうしているうちに例の派手な人たちが「明日また伺わせてもらいます。明日までしか寛大に接することはできませんぞ。あと、今日の夜王子を逃がそうなどといった馬鹿げたまねはなさらないようにしてくださいねぇ、キューザン将軍。元将軍でしたな、いや元反逆者でしたかな?まぁ、先々王の代では、あなたのような愚直な方々が重宝されましたからなぁ。愚直な方々が。ではまた明日。」
ヒュンッ!
そこで突然その男たちの一人が短刀を投げた。それは、俺が覗いている扉のすぐ近くに刺さった。
「あと、お宅のやんちゃで薄汚いガキ共に人様の話を盗み聞きしてはならないとそろそろ教えてやったらどうだね。それとも私がこの場で体に教えてやってもいいが?」
「すみません。なにぶん男手一つで育ててきたからか、私に似た愚か者が多くて困ります。後できつく言い聞かせておきます。」そんなやりとりしたあとで、男たちは出ていった。と、同時だった。モーゼ先生は、思い切り机を殴り割っていた。こんな形相は、俺たちが門限を守らなかったり、ギニルを泣かせた時の比ではなかった。そして、しばらく深呼吸したあとでこっちを向いた。あんな顔をしたあとだ。きっとものすごく怒られてたうえに昼飯抜きではすまないかもしれないと思っていると、先生は意外なことを言った。
「怪我はないか?さっきのやつらは気にするな。奴らはな、国王陛下の 側近の人たちでな。まぁ、これだけ言っても分からんだろうな。まずは飯にしよう。話はそれからだ。」覗いていたことにたいするお咎めは無しだったので拍子抜けしてしまった。
「ほら、みんな呼んでこい。飯だ飯!」俺はまだ僅か12歳、わざとらしく明るく振る舞う先生の態度から事の異様さを感じ取れなかった。これから話されることが俺の人生を大きく変えるなどとは思ってもいなかった。
明かされた秘密
昼御飯が終わってから奥の先生の部屋で話があると言ってギニルと俺が呼ばれた。
「これから話すのは、ギニルのことだ。ゼニルお前がこの話を聞くのには二つ理由がある。」
「一つは、お前が今日私とあの側近たちとの話を聞いてしまったからだ。奴らは、ギニルを王宮に連れて行こうとしている。その理由についても後から話すが、さっき話している時にお前がどこからどこまでを盗み聞きしたのか分からない。だが、奴らは秘密を守るためにどこまで要求してくるか分からない。」
「どこまでって?」
「最悪儂にお前を殺しておけと命じるかもしれない。」
「殺す?先生、俺を殺すの?」
「そんなことはできない。だから今から話すんだ。もう既にざっとギニルにも話してあるが、その話を聞いた上でギニルは一人になるのが不安だからお前にどうしても来てほしいんだとさ。まぁお前とギニルが同時に王宮に行くことはできないだろう。それでもゼニルにその気があれば時期を見て仕官する事もできるだろう。これが二つ目の理由だ。いいか、これから話すことはどの国探しても知っている奴は、十五人もいないだろう。お前たちも心して聞いて絶対に他言してはならんぞ。」
「「はいっ」」
「じゃあ始めるぞ。まずお前たちはみんな孤児だ。それは知ってるな?だが、お前たちは皆親に捨てられたのではない。親を何らかの形で亡くしたのだ。ついこの間、わずか八歳で王位をお継ぎになったカイ王が十歳で亡くなった。そこで王宮では次の王の選出が始まった。だが先王の子供は正室であらせられるセミヤ王妃との子供であるカイ王しかおられないのだ。正式にはな。実はギニルの父親は先王であるスーダ王なのだ。つまりギニルは、カイ王の腹違いの兄だということになる。なぜこのようになったかというとだな、あぁそうだ、それよりまず儂のことについて話さねばな。儂のことをお前たちはモーゼ先生とよぶが、本当の名は、キューザン、ここガルダン王国の将軍だった。この王国の軍の要の部隊は聞いたことぐらいあるかもしれんが、王の直属精鋭軍であるラズメヌアン騎馬遊撃大隊だ。儂はその隊を率いていた隊長だった。だが、スーダ王が亡くなってから、佞臣である枢密三卿のゼルム、ジルガ、ラムトーが幼いカイ王の補佐を始めてからこの国はすっかりおかしくなってしまったのだ。奴らが実質上実権を握ると同時にスーダ王の代から仕えていて三卿のやり方に異を唱えた者たちは次から次に謀反の疑いをかけられ追放されたのだ。儂もそのうちの一人だった。奴らは、先王の代ではたくさんいる重臣のうちの何人かというだけで特に何が優れているわけでもなかった。そんな奴らが自分たちを追放するということに対して耐えられない連中もいた。ゼニル、お前の父親は、ロランという名でとても腕のたつ将軍だった。当時とても若くてな性格から強さまで申し分なかった。そして儂の自慢の配下でもあった。すまない、ゼニル。儂はお前の父の上司でありながら守ってやれなかった。それどころか儂が殺したも同然なのだ。奴は、儂が追放されることを聞いてすぐに儂のところに来たんだ。そして『本当ですか?キューザン将軍が追放されるというのは。』といった。お前の父親はとっても素直でな、曲がったことが嫌いだったのだ。だから儂は、『お前には関係ない。いいか、お前たち若い奴らがこの国を支えていくのだ。どんなに理不尽な仕打ちを受けてもだ。どんなに上の奴らのやり方が気にくわなくてもだ。命を粗末にするな。いつも自分の配下と民のことを考えよ。お前たちは上の奴らを守るためにいるのではない。下にいる弱い者たちを守るためにいるのだ。俺は謀反の疑いがあるらしいから追放されて当然だ。それはお前がどうあがいても変わらない。耐えろ。耐えて耐えて守るのだ。』と言った。ロランの奴の性格を知っていたからな。王宮に押しかけて力ずくででも儂の追放を取り消させようとしていたのは、その時のロランの血走った目で分かった。だが、そんなことをしたら枢密三卿の奴らに殺される。だから儂はロランを止めようとした。そしたらロランの奴急に暗くなって言ったんだ、『分かってます。大丈夫です。馬鹿なまねはしませんから。安心して隠居してください。』って言ったんだ。だから儂はちょっと拍子抜けしてしまった。で、安心したものだからしばらく雑談して家に帰したんだ。それが間違いだったのだ。そのときにはもうすでにロランの奴は命懸けで儂を助けようって決心してたんだろうなぁ。儂が気付いておくべきだった。その次の朝だった。戸を激しく叩く音がしたから、その音でおきて表に出たんだ。そしたらロランの奥さんが立っててよ、『夫はまだここにいますか?』って聞くんだ。もう、それを聞いた瞬間走り出していた。しまった、あいつが死んでしまう。そう思って泣きそうになりながら馬に乗って王宮へ急いだ。王宮に着くと急いで玉座の間に行った。結果から言うと、遅かった。儂の視界に衛兵に囲まれたロランが飛び込んできた。『ロランッ!』『俺は馬鹿です。でも、俺はたとえ死んでも、キューザン将軍に叱られても自分の意思に正直に生きたいです。誇りをもって生きたいんです。これから生まれる子供も格好悪い父親は嫌なはずです。』『お前、子供ができたのか?おいっ、子供は格好いい父親でなくとも父親がいてくれるだけでいいんだよ。これから生まれてくるお前の子供は俺じゃなくてお前を必要としてんだよ。死ぬな。頼む。』『そうでした、将軍、隠居したら戦争孤児のための孤児院をするのはどうですか?そこで勉学と武術や体術を教えるんです。そして、親バカかもしれないですけどそこで一番優秀なのはうちの子ですよ。絶対に。』『やめろ!老人のために若者が命を落とすのは犬死にだ!戦の度にあれだけ言って聞かせたではないか。犬死には武人が一番やってはならないことだと。』『でも将軍は、自分の意思を貫けとも常々おっしゃっていた。私はこの国の衰退をなにもできずに眺めているのは嫌です。何か変えたい。たとえこの命と引き換えだったとしても。』もう止めるのは無理だと思った。その時だった。枢密三卿が弓兵の小隊をつれて入ってきた。ロランを囲んでいた者たちはロランを足止めはできても殺すことはできなかった。皆共に訓練していた仲間だったからな。そこでしびれを切らした三卿は、秘密裏に訓練させた三卿直属の特殊兵部隊にロランを囲んでいる者ごとまとめて射殺したのだ。奴らの特殊兵部隊の名は通称『影刃』体術、薬術、武術、諜報術、暗殺術などの猛特訓を受けた精鋭たちで、三卿の命令にのみ従う。国王陛下の命令には従わない、三卿の奥の手なのだ。スーダ王の頃はその存在さえ知られていなかったというのに自分たちが実権を握ってからは影刃で臣下たちを脅して好き放題しておる。だから、王の直属護衛隊を殺すのに躊躇はなかった。すまない儂のせいでお前の父親は殺された。」
「いいえ、先生のせいではないです。俺の父は、死ぬと分かっていてやったんですよね?それなら俺は人のために命を落とした父親を格好いいと言ってやらないと父が悲しみます。」
「ゼニル」
「俺はいいんです。それより早く!緊急なのでしょう。ギニルの話をしてください。」今思うとこれは俺が大人びていたわけでもなく、強がっていたわけでもなかった。突然の告白に頭で整理できなかったのだ。無理もない。あのころ俺は12歳だった。父の死や王国の実態について実際に自分の頭で理解するのはもう少し後のことだ。
「あぁ、分かった。本当にすまない。お前は強いな。それで、ギニルは次の国王になるために明後日王宮に行く。これはあの三卿の考えたことだからおそらく、ギニルにはただ王座についていてもらって政治は自分たちの都合のいいようにするのだろう。これは断れるものではないのだ。ギニル、三卿には逆らうな。たとえ王の実子であってもお前を殺すことを屁とも思わん奴らだ。」
「先生、俺はギニルにそんな危ない所にはいってほしくないです。ギニルは体も弱いし臆病だし、ただでさえ頼りないのに急に王宮に行くなんて無理です。今まで十年間一緒に寝起きを共にした俺が言うんです。」
「儂だってギニルが心配で心配でたまらんのだ。だが儂らの力ではどうしようもないじゃろう。たとえギニルを今夜逃がしたとしよう。それでも奴らは草の根を分けてでも追跡するだろう。」
「やっぱり、ギニルは一人で行くんですか?」「あぁ、そうだ。」
「行かずにすむ方法はないんですか?」
「無いだろうな。」
「そんな…行ってしまったらもう会えないんですよね。」
「あぁ」
「先生と逃げればギニルは安全です。だって先生強かったんですよね。」
「儂一人で何ができる?国王軍総勢25万と全国の警吏2万を相手に儂一人で立ち向かえだと?無理な話だ。」
「でも…」
「それに!…ギニルが王宮で殺されると決まった訳ではない。恐らく大人になるまでは少なくとも生きていられるだろう。」
「おそらくって…」
「安心しろ。大丈夫だ。なるようになるさ。」「先生いつも言ってるじゃないですか。守るべきものを守らないのは、罪だって。」
「そうとも言い切れんのだ、当分はな。」
「ギニルは守るべきものじゃないの?」
「守るべきものだ。」
「だったら…」
「だが不可能なのだ!」先生が急に声を荒げた。
「儂だって守ってやりたいし、ずっと側に置いてやりたい。だが、儂が守らねばならないのはギニルだけではない。お前も、そして他の子たちも儂が守るべきものたちなのだ。」
「先生は逃げてるよ。先生は諦めてるよ。俺たちの兄弟なんだよ、ギニルは。先生なんて…もういい!俺は一人ででもギニルを守るために戦うよ。」俺は我慢できずに部屋を飛び出した。
「待てっ!」
後ろに久しぶりの怒声を聞きながら。外の通りに出て訳もわからず叫びながら走った。不意に視界が歪んで転んでしまった。足がジンジンと痛む。傷を見ようとしてもぼやけてしまって見えない。立ち上がってまた走り出した。「どうしよう、ギニルが、ギニルがどこかにいってしまう。殺されるかもしれない。」俺は分かっていた。不可能なことを先生に要求したことぐらい。でも不可能だと認めたくはなかった。ギニル…
旅立ち
ゼニルが部屋を飛び出していった。正直こうなることは分かっていた。なぜなら、あいつの父親もそういう奴だったからだ。分かっていたとはいえ、真実を告げるのは辛い。だが、悲しんでいる暇はない。もう日が傾き始めている。時間がない。これから色々なことを準備しなければならない。色々なことを。人生最後の大仕事。ギニルを自分の部屋に返す。「ふぅ、ロラン、儂もお前とお前の坊主みたいに自分の感情に素直に生きてこられたらよかったのになぁ。だから最後だけは誰がなんと言おうと自分の意思を通してみせる。許せよ。お前にいつも言ってたな『命をかけてまで全力を尽くすな。命は大事にせよ。生きろ。戦場における死は全て犬死にだ。子と妻と孫に囲まれて死ぬまで命を捨てずに最善を尽くせ。』今回儂は守れそうにない。軍から長く離れすぎた。ちびっこ共に囲まれていたせいですっかりじじいになっちまった。鬼と言われた儂が泣くなんてな。」独り言にしては長すぎる言葉だった。そしていつの間にか涙が頬を伝っていた。悲しみにくれる暇なんて無いのに…
その王の元で王を仁君にするために全ての悪事を背負った友がいた。
戦をせずに乱世を一つの平穏な国にまとめ上げた王…
1.プロローグ
シュッと嫌な音が耳をつたって体中に広がっていった。自分のしている行為の正当性を求めて空を見るが、先程までの澄んだ星空は雲に遮られている。目を閉じて深呼吸する。そしてすぐに後悔した。目の裏に写るのは、殺したばかりの男が死ぬ瞬間にした顔だし、胸に入り込んできた空気は血の臭いがしたし、なんだか生暖かい気がした。「終わった。何もかも終わったのだ。これで俺も人間に戻れる。」そう思った時だった。今まで築き上げたもの、そしてこれから築き上げるものが音もなく静かに崩れ落ちていったのを俺はまだ知らなかった。
「ゼニル!ゼニルってば!待ってよ」
「ほらこっちだぞ!早く来いよギニル!」
「いたっ」
「おい、大丈夫か?ギニル?」
「うん、大丈夫だけど…」
そう言いながらもギニルの目にはうっすらと涙が、浮かんでいた。
「おい、泣くなよ。」いつもそうなのだ。ギニルは弱すぎる。鬼ごっこをしようと言っても、みんなの父さんが「ほら、剣術の稽古をするぞ!」と言ったときも、いつも「ぼくは、本を読んでいるのでいいです。」と言う。ギニルは、いつも建物の中で、本を読んでいる。俺達とはしゃぎ回ることは皆無だった。そのせいか、年を重ねるごとに逞しくなっていく俺たちとは違ってずっとひよわだった。それに、一応お父さんから禁じられているがみんなで狩りに行こうとした時、いつも静かになギニルが「やめようよ。別に食べ物に困っているわけではないんだからさ。狩るだけなのは、動物に申し訳ないじゃないか。」と言って反対した。結局その時は、お父さんに見つかって行けなかったのだが。こんなときもあった。みんなが喧嘩をしていると、「待ってよ。何やってるのさ。喧嘩はやめようよ。話し合いで仲直りはできないの?とにかくみんな離れて。落ち着いて。」と言って、引っ込み思案なはずのギニルは見事に喧嘩をやめさせてみんなを仲直りさせてしまったのだ。こんなふうにギニルは、とにかく争い事が嫌いだった。ギニルと同い年で同じ孤児院で育った。さっきからみんなのお父さんと呼んでいるのは、俺とギニルのほかに十三人の孤児をひとりで育てている院長兼寺院の住職兼俺たちの剣術や学問の先生であるモーゼ先生のことだ。
あの夏はいつにも増してとても暑い夏だった気がする。その日はいつもの日と違って西の空の積乱雲から雷鳴が聞こえていた。ある夏にみんなで近くの川に行って泳いでいる時だった。モーゼ先生がギニルを呼びに来た。「ちょっときなさい、ギニル。」そういつもより険しい声でギニルに呼び掛けた。そしてギニルは、先生と院に戻っていった。その日は一雨来そうだったので結局昼前には遊ぶのをやめてみんなで帰った。部屋に戻ったがギニルの姿がなかった院に入ると奥でなにやら先生が怒気を含んだ声で誰か数人の人と話しているのが聞こえた。少し覗いてみるとなんだか派手な服を着ている、というよりあまりここノダン村では見かけないなんだか着飾った人たちがいた。そして難しくてよくわからない言葉を先生にぶつけては先生がしきりに「だから、無理だといっとるんです。ギニル様は、今はまだ幼くあらせられますし、ここには友も沢山おります。」俺には、その時まだなぜ先生が急にギニルの名前に様をつけたのか理解できなかった。そうこうしているうちに例の派手な人たちが「明日また伺わせてもらいます。明日までしか寛大に接することはできませんぞ。あと、今日の夜王子を逃がそうなどといった馬鹿げたまねはなさらないようにしてくださいねぇ、キューザン将軍。元将軍でしたな、いや元反逆者でしたかな?まぁ、先々王の代では、あなたのような愚直な方々が重宝されましたからなぁ。愚直な方々が。ではまた明日。」
ヒュンッ!
そこで突然その男たちの一人が短刀を投げた。それは、俺が覗いている扉のすぐ近くに刺さった。
「あと、お宅のやんちゃで薄汚いガキ共に人様の話を盗み聞きしてはならないとそろそろ教えてやったらどうだね。それとも私がこの場で体に教えてやってもいいが?」
「すみません。なにぶん男手一つで育ててきたからか、私に似た愚か者が多くて困ります。後できつく言い聞かせておきます。」そんなやりとりしたあとで、男たちは出ていった。と、同時だった。モーゼ先生は、思い切り机を殴り割っていた。こんな形相は、俺たちが門限を守らなかったり、ギニルを泣かせた時の比ではなかった。そして、しばらく深呼吸したあとでこっちを向いた。あんな顔をしたあとだ。きっとものすごく怒られてたうえに昼飯抜きではすまないかもしれないと思っていると、先生は意外なことを言った。
「怪我はないか?さっきのやつらは気にするな。奴らはな、国王陛下の 側近の人たちでな。まぁ、これだけ言っても分からんだろうな。まずは飯にしよう。話はそれからだ。」覗いていたことにたいするお咎めは無しだったので拍子抜けしてしまった。
「ほら、みんな呼んでこい。飯だ飯!」俺はまだ僅か12歳、わざとらしく明るく振る舞う先生の態度から事の異様さを感じ取れなかった。これから話されることが俺の人生を大きく変えるなどとは思ってもいなかった。
明かされた秘密
昼御飯が終わってから奥の先生の部屋で話があると言ってギニルと俺が呼ばれた。
「これから話すのは、ギニルのことだ。ゼニルお前がこの話を聞くのには二つ理由がある。」
「一つは、お前が今日私とあの側近たちとの話を聞いてしまったからだ。奴らは、ギニルを王宮に連れて行こうとしている。その理由についても後から話すが、さっき話している時にお前がどこからどこまでを盗み聞きしたのか分からない。だが、奴らは秘密を守るためにどこまで要求してくるか分からない。」
「どこまでって?」
「最悪儂にお前を殺しておけと命じるかもしれない。」
「殺す?先生、俺を殺すの?」
「そんなことはできない。だから今から話すんだ。もう既にざっとギニルにも話してあるが、その話を聞いた上でギニルは一人になるのが不安だからお前にどうしても来てほしいんだとさ。まぁお前とギニルが同時に王宮に行くことはできないだろう。それでもゼニルにその気があれば時期を見て仕官する事もできるだろう。これが二つ目の理由だ。いいか、これから話すことはどの国探しても知っている奴は、十五人もいないだろう。お前たちも心して聞いて絶対に他言してはならんぞ。」
「「はいっ」」
「じゃあ始めるぞ。まずお前たちはみんな孤児だ。それは知ってるな?だが、お前たちは皆親に捨てられたのではない。親を何らかの形で亡くしたのだ。ついこの間、わずか八歳で王位をお継ぎになったカイ王が十歳で亡くなった。そこで王宮では次の王の選出が始まった。だが先王の子供は正室であらせられるセミヤ王妃との子供であるカイ王しかおられないのだ。正式にはな。実はギニルの父親は先王であるスーダ王なのだ。つまりギニルは、カイ王の腹違いの兄だということになる。なぜこのようになったかというとだな、あぁそうだ、それよりまず儂のことについて話さねばな。儂のことをお前たちはモーゼ先生とよぶが、本当の名は、キューザン、ここガルダン王国の将軍だった。この王国の軍の要の部隊は聞いたことぐらいあるかもしれんが、王の直属精鋭軍であるラズメヌアン騎馬遊撃大隊だ。儂はその隊を率いていた隊長だった。だが、スーダ王が亡くなってから、佞臣である枢密三卿のゼルム、ジルガ、ラムトーが幼いカイ王の補佐を始めてからこの国はすっかりおかしくなってしまったのだ。奴らが実質上実権を握ると同時にスーダ王の代から仕えていて三卿のやり方に異を唱えた者たちは次から次に謀反の疑いをかけられ追放されたのだ。儂もそのうちの一人だった。奴らは、先王の代ではたくさんいる重臣のうちの何人かというだけで特に何が優れているわけでもなかった。そんな奴らが自分たちを追放するということに対して耐えられない連中もいた。ゼニル、お前の父親は、ロランという名でとても腕のたつ将軍だった。当時とても若くてな性格から強さまで申し分なかった。そして儂の自慢の配下でもあった。すまない、ゼニル。儂はお前の父の上司でありながら守ってやれなかった。それどころか儂が殺したも同然なのだ。奴は、儂が追放されることを聞いてすぐに儂のところに来たんだ。そして『本当ですか?キューザン将軍が追放されるというのは。』といった。お前の父親はとっても素直でな、曲がったことが嫌いだったのだ。だから儂は、『お前には関係ない。いいか、お前たち若い奴らがこの国を支えていくのだ。どんなに理不尽な仕打ちを受けてもだ。どんなに上の奴らのやり方が気にくわなくてもだ。命を粗末にするな。いつも自分の配下と民のことを考えよ。お前たちは上の奴らを守るためにいるのではない。下にいる弱い者たちを守るためにいるのだ。俺は謀反の疑いがあるらしいから追放されて当然だ。それはお前がどうあがいても変わらない。耐えろ。耐えて耐えて守るのだ。』と言った。ロランの奴の性格を知っていたからな。王宮に押しかけて力ずくででも儂の追放を取り消させようとしていたのは、その時のロランの血走った目で分かった。だが、そんなことをしたら枢密三卿の奴らに殺される。だから儂はロランを止めようとした。そしたらロランの奴急に暗くなって言ったんだ、『分かってます。大丈夫です。馬鹿なまねはしませんから。安心して隠居してください。』って言ったんだ。だから儂はちょっと拍子抜けしてしまった。で、安心したものだからしばらく雑談して家に帰したんだ。それが間違いだったのだ。そのときにはもうすでにロランの奴は命懸けで儂を助けようって決心してたんだろうなぁ。儂が気付いておくべきだった。その次の朝だった。戸を激しく叩く音がしたから、その音でおきて表に出たんだ。そしたらロランの奥さんが立っててよ、『夫はまだここにいますか?』って聞くんだ。もう、それを聞いた瞬間走り出していた。しまった、あいつが死んでしまう。そう思って泣きそうになりながら馬に乗って王宮へ急いだ。王宮に着くと急いで玉座の間に行った。結果から言うと、遅かった。儂の視界に衛兵に囲まれたロランが飛び込んできた。『ロランッ!』『俺は馬鹿です。でも、俺はたとえ死んでも、キューザン将軍に叱られても自分の意思に正直に生きたいです。誇りをもって生きたいんです。これから生まれる子供も格好悪い父親は嫌なはずです。』『お前、子供ができたのか?おいっ、子供は格好いい父親でなくとも父親がいてくれるだけでいいんだよ。これから生まれてくるお前の子供は俺じゃなくてお前を必要としてんだよ。死ぬな。頼む。』『そうでした、将軍、隠居したら戦争孤児のための孤児院をするのはどうですか?そこで勉学と武術や体術を教えるんです。そして、親バカかもしれないですけどそこで一番優秀なのはうちの子ですよ。絶対に。』『やめろ!老人のために若者が命を落とすのは犬死にだ!戦の度にあれだけ言って聞かせたではないか。犬死には武人が一番やってはならないことだと。』『でも将軍は、自分の意思を貫けとも常々おっしゃっていた。私はこの国の衰退をなにもできずに眺めているのは嫌です。何か変えたい。たとえこの命と引き換えだったとしても。』もう止めるのは無理だと思った。その時だった。枢密三卿が弓兵の小隊をつれて入ってきた。ロランを囲んでいた者たちはロランを足止めはできても殺すことはできなかった。皆共に訓練していた仲間だったからな。そこでしびれを切らした三卿は、秘密裏に訓練させた三卿直属の特殊兵部隊にロランを囲んでいる者ごとまとめて射殺したのだ。奴らの特殊兵部隊の名は通称『影刃』体術、薬術、武術、諜報術、暗殺術などの猛特訓を受けた精鋭たちで、三卿の命令にのみ従う。国王陛下の命令には従わない、三卿の奥の手なのだ。スーダ王の頃はその存在さえ知られていなかったというのに自分たちが実権を握ってからは影刃で臣下たちを脅して好き放題しておる。だから、王の直属護衛隊を殺すのに躊躇はなかった。すまない儂のせいでお前の父親は殺された。」
「いいえ、先生のせいではないです。俺の父は、死ぬと分かっていてやったんですよね?それなら俺は人のために命を落とした父親を格好いいと言ってやらないと父が悲しみます。」
「ゼニル」
「俺はいいんです。それより早く!緊急なのでしょう。ギニルの話をしてください。」今思うとこれは俺が大人びていたわけでもなく、強がっていたわけでもなかった。突然の告白に頭で整理できなかったのだ。無理もない。あのころ俺は12歳だった。父の死や王国の実態について実際に自分の頭で理解するのはもう少し後のことだ。
「あぁ、分かった。本当にすまない。お前は強いな。それで、ギニルは次の国王になるために明後日王宮に行く。これはあの三卿の考えたことだからおそらく、ギニルにはただ王座についていてもらって政治は自分たちの都合のいいようにするのだろう。これは断れるものではないのだ。ギニル、三卿には逆らうな。たとえ王の実子であってもお前を殺すことを屁とも思わん奴らだ。」
「先生、俺はギニルにそんな危ない所にはいってほしくないです。ギニルは体も弱いし臆病だし、ただでさえ頼りないのに急に王宮に行くなんて無理です。今まで十年間一緒に寝起きを共にした俺が言うんです。」
「儂だってギニルが心配で心配でたまらんのだ。だが儂らの力ではどうしようもないじゃろう。たとえギニルを今夜逃がしたとしよう。それでも奴らは草の根を分けてでも追跡するだろう。」
「やっぱり、ギニルは一人で行くんですか?」「あぁ、そうだ。」
「行かずにすむ方法はないんですか?」
「無いだろうな。」
「そんな…行ってしまったらもう会えないんですよね。」
「あぁ」
「先生と逃げればギニルは安全です。だって先生強かったんですよね。」
「儂一人で何ができる?国王軍総勢25万と全国の警吏2万を相手に儂一人で立ち向かえだと?無理な話だ。」
「でも…」
「それに!…ギニルが王宮で殺されると決まった訳ではない。恐らく大人になるまでは少なくとも生きていられるだろう。」
「おそらくって…」
「安心しろ。大丈夫だ。なるようになるさ。」「先生いつも言ってるじゃないですか。守るべきものを守らないのは、罪だって。」
「そうとも言い切れんのだ、当分はな。」
「ギニルは守るべきものじゃないの?」
「守るべきものだ。」
「だったら…」
「だが不可能なのだ!」先生が急に声を荒げた。
「儂だって守ってやりたいし、ずっと側に置いてやりたい。だが、儂が守らねばならないのはギニルだけではない。お前も、そして他の子たちも儂が守るべきものたちなのだ。」
「先生は逃げてるよ。先生は諦めてるよ。俺たちの兄弟なんだよ、ギニルは。先生なんて…もういい!俺は一人ででもギニルを守るために戦うよ。」俺は我慢できずに部屋を飛び出した。
「待てっ!」
後ろに久しぶりの怒声を聞きながら。外の通りに出て訳もわからず叫びながら走った。不意に視界が歪んで転んでしまった。足がジンジンと痛む。傷を見ようとしてもぼやけてしまって見えない。立ち上がってまた走り出した。「どうしよう、ギニルが、ギニルがどこかにいってしまう。殺されるかもしれない。」俺は分かっていた。不可能なことを先生に要求したことぐらい。でも不可能だと認めたくはなかった。ギニル…
旅立ち
ゼニルが部屋を飛び出していった。正直こうなることは分かっていた。なぜなら、あいつの父親もそういう奴だったからだ。分かっていたとはいえ、真実を告げるのは辛い。だが、悲しんでいる暇はない。もう日が傾き始めている。時間がない。これから色々なことを準備しなければならない。色々なことを。人生最後の大仕事。ギニルを自分の部屋に返す。「ふぅ、ロラン、儂もお前とお前の坊主みたいに自分の感情に素直に生きてこられたらよかったのになぁ。だから最後だけは誰がなんと言おうと自分の意思を通してみせる。許せよ。お前にいつも言ってたな『命をかけてまで全力を尽くすな。命は大事にせよ。生きろ。戦場における死は全て犬死にだ。子と妻と孫に囲まれて死ぬまで命を捨てずに最善を尽くせ。』今回儂は守れそうにない。軍から長く離れすぎた。ちびっこ共に囲まれていたせいですっかりじじいになっちまった。鬼と言われた儂が泣くなんてな。」独り言にしては長すぎる言葉だった。そしていつの間にか涙が頬を伝っていた。悲しみにくれる暇なんて無いのに…
0
あなたにおすすめの小説
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです
NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる