空っぽ少年と色深き者たち ～世界を彩る物語～

オーレント王国 決断の街イエリ―

賑やか三人衆

　席に戻って来たグレスをシオンとラドは温かい目で迎えると、笑顔で話し始めた。

「衛兵さんに、ご飯よそって貰った」
「うん」
「あら、とてもバランスと色どりが良いわね」

　シオンはウォルによそって貰ったプレートを見ると、野菜やメイン知るものなど色鮮やかにバランス良くよそられており子供でも食べやすい物ばかりだ。よそられたプレートから優しさが分かり笑顔になるシオン。ラドはグレスに

「ちゃんとお礼言ったか？」
「うん」
「そっか、良く出来ました」

　ちゃんと俺が言えたことと、グレスが自分の意思で動いて他の人と会話が出来たことに嬉しくなり笑顔で頭を撫でる。グレスは２人に暖かい表情を向けられながら、無表情で黙々と食べていくがその手速い。ラドとシオンは食べ終わったので、その様子をゆっくりと見ることにした。その間シオンはリリナと話したり、ラドは食べ続けるグレスに水を渡したりしているとグレスが食べ終わり食器を置いた。それを見て兵士たちが次々と話しかけてきた。

「よう、坊主！飯は美味かったか？」
「うん」
「ローズさんの飯は美味いよな！」
「うん」
「好き嫌い無いのは偉いぞ！」
「今度剣教えてやろうか？」
「何言ってんだ！やっぱり初心者は槍だろ」
「安全に距離を取って戦える弓を俺は推すぜ！」
「こら、貴方達一斉に話し掛けないの」

グレスを囲み話始める兵士たちにグレスは驚くことなく返答していったが、グレスに何を教えるかで兵士たちはヒートアップしてしまったがリリナの鶴の一声で静まった。リリナは呆れたように、溜息をつくと

「いきなり話し掛けたら、驚くでしょ？貴方達はただでさえ厳ついんだから」
「そんな～」
「俺達は優しい優しい衛兵ですよ！？」
「俺は厳つくないし・・・・ただ迫力があるだけだし・・・・」
「何言ってるんですか、子供によく泣かれるくせに」
「「「うっ」」」

　厳つい男3人がリリナに叱られている様子が可笑しくて、シオンとラドは笑ってしまったがそんなこと気にせず3人はグレスに

「だってこの坊主ウォル相手にビビらなかったんだから、俺達でも大丈夫ですよ！」
「俺たち怖くないよな～」
「怖くない、怖くない」
「おいこら、今俺の事も怖いって言っただろ！！」

　じりじりとグレスに近づいていく厳つい男3人は傍から見れば不審者で怖い集団だが、グレスは気にすることなく

「うん」
「それは怖くないってことだよな！？」
「うん」
「「「よっしゃー！勝利！！」」」
「何と戦ってたんですか・・・・」

　3人は肩を組み合い喜ぶと満面の笑みで、3人で頭を撫でグレスの髪はぐしゃぐしゃになってしまったが3人は気にせずご機嫌で

「戦い方を教わりたくなったら、俺に言えよ！」
「街の美味い物ならまかせなっ！」
「物作りなら、色々作れるからまかせなっ」

厳つい顔のせいで、子供から怖がられることが多く酷い時には泣かせてしまうのでグレスと話したかったが話せなかった。だが、衛兵の中でも厳つく体格の良いウォルが話掛けても怖がる様子を見せなかったので、期待を込めて話し掛けてみたが怖がる様子を見せなかったので、嬉しかったのだ。それぞれ言いたいことを言い上機嫌で去っていった。リリナはそんな3人を見送るとはぁと溜息をつき申し訳なさそうな顔で

「うちの兵士がすみません・・・・後で叱っときますね」
「いえいえ、グレスと話してくれてありがたいです」
「グレスの事を気に掛けてくれてるのも、伝わってきたし大丈夫だ」
「良い人達だったわねグレス」
「うん」