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皇国復活編

俺、加護についてみんなに話すよ

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 外はお祭り騒ぎなのに俺の心はどん底で寝れずに朝を迎えた俺はすぐさま家を飛び出しみんなの元へ行こうとしたが、その小さな体から想像出来ないような力で首をヴィラスに掴まれ摘ままれてしまった。

「ぬぉ~何するのヴィラス!は~な~し~て~」

 これじゃあ親猫に運ばれる子猫みたいじゃん!

「そんな勢いで突撃してどうするんだ。大事な話をする時は焦らず順序だてて説明しないと駄目なんだぞ」
「冷静だよ!」
「龍の姿のままで人々の前に姿を晒そうとした奴の何処が冷静なんだ?」
「あっ・・・・それはちょっと急いでただけだって!」

 言われて気付いたけど昨日から落ち着かなくて人の姿じゃ無くて本来の姿に戻っちゃったのを忘れてたよ。べ、別にこれは焦って忘れてた訳じゃ無く龍の姿が自然の姿だから、このままで良いと思っちゃっただけだし!

「これで良いでしょ?もう行くよ」
「駄目だ。朝飯食べるぞ」
「そんな場合じゃ」
「一日の始まりは正しい食事からってミルガンナが言ってたぞ。昨日はお祭り騒ぎの所為で飯が届かなかったからな。朝は・・・・丁度運びに来たみたいだな」
「俺は急いでるの~!」

 俺達は本来何も食べなくても永遠に生きられる生き物なんだからご飯なんて無くても良いんだよ!昨日は確かにご飯を食べられなかったけどそれどころじゃ無かったしね。家から出て行こうとする俺を大きくなり腕に抑え込んで、ノックされた扉を開けるとそこには物凄く申し訳の無さそうに、体を縮め泣きそうな顔になっているディオクスが居た。

「おう、来たか」
「この度は昨夜のお食事の配膳を忘れてしまい大変申し訳ございません。このような失態をしてしまうとは、謝罪は私の命を以て・・・・」
「そんなに気にするな。昨日は俺の大地に雨が降っためでたい日だったのだから、羽目を外して喜ぶものさ。お、今日はパンと果物のジャムにヤギの乳か良い物だな」
「ですが」
「俺が良いと言ったのだから良いのだ。それより、俺達は朝食が終わったらあの四人に用があるから俺の家に来るように伝えてくれ」
「は!畏まりました!あのクーア様はどうかされたのでしょうか・・・・」
「あぁ、気にしないでくれ」
「そ、そうですか。ヴィラス様も昨日と比べるとかなり大きくなったようですが・・・・」
「回復が早くてな。それじゃまた後で」

 ヴィラスの掴む力は強く抜け出せず魔法で食事を受け取ったヴィラスは、さっさと扉を閉めてしまった。力が緩んだ隙に俺は扉に突撃するが、そこには火属性と空間属性による結界が張ってあって開けられない!

「これ解除して!」
「開けたけゃ自分でやりな」
「ぬおおおおおお」

 もう、何でそんな意地悪するんだよ!そんなこと言うならこんな結界俺の力で破ってやる!火属性なら水属性に弱いんだから、俺の魔法を流し込んじゃえばっ・・・・あれ?俺の魔力をどんどん吸ってもっと結界が強く複雑になっちゃった!?

「ただ竜種の力にもの言わせて魔法を使うだけじゃ、こういう複雑な魔法に引っ掛かるぞ~力を過信せずに慎重かつ冷静に魔法は使うべきだぜ」
「ぬううううう」

 俺が全力で魔力を注ぎ込んだせいで薄かった結界が遥かに強力になって今の俺でも簡単に解除できない結界になっちゃった・・・・こんな風にされるなんて初めてだよ。俺が作った体を大きくしたりともう使いこなしているみたいだし、魔法も自由自在に操っている。流石は昔から存在する竜種であるヴィラスだね。俺の方が力の総量は俺の方が上だけど魔法の技量はヴィラスの方が断然上みたいだね・・・・この状態になったら俺に出来る事はない。早くみんなの元へ行って謝りたいけど・・・・

「ほら、朝食摂るぞ

 ヴィラスに従うしか無いね・・・・後で朝食が終わったらみんなが来てくれるみたいだしそれまで待つしかないか。

「焼きたてのパンと言うのは良いな。このような四角の形をしたパンは俺の時代には無かったが美味いな」
「うん・・・・美味しいね」
「果物の味も前とは変わらず美味いものだ。ジャムと言えばステラと言う菓子作りの上手い民が前に居てなその焼き菓子にジャムを付けると絶品だったのだ」
「そうなんだ」

 ヴィラスの昔話を聞きながら俺も朝食を食べていくけど、みんなの事が気になり過ぎて美味しさが分からないよ~そんな事もお構いなしでヴィラス話すしさ~

「元気が無いな」
「・・・・・」
「今俺が話した奴らはどうなったと思う?」
「もう居ない」
「その通り。いつも周りを笑わせてたエミールも妻の尻に敷かれてた愛妻家のモノンも花が大好きなガーデルもみんなみんな死んじまった。生き物と言うのはそういうものだ。みんな死んで魂が星に還りまた生まれ変わるその繰り返し。俺達が生き物達に関わらない大きな理由はな、全ての生き物に置いて行かれる悲しみ直視しない為なんだ」

 ・・・・そうだね。仲良くなったみんなはやがて俺達を置いて死んでしまう。

「俺達は完全な生き物として生まれたが感情が無い訳じゃない。親しき者達が死に行くのを少しでも柔らげ心を守る為に唯一俺達と一緒に歩めるものを求め作り出すのが竜種の性質なんだ」
「でも、それは勝手だよ。俺達の都合で魂を変質させるなんてあんまりじゃん」
「あぁそうだな勝手だな。だけど、俺達は永遠を生きこの世界を守る者それぐらいの我儘言ったって良いんだ。寂しいから俺と一緒に生きてくれってな」
「・・・・」
「俺がミルガンナに言った言葉も情けないものだったぜ。だけどな、俺達竜種にとっては物凄く残酷で勝手でおぞましい事だけど人間ってのはな案外俺達より逞しかったりするんだぞ」

 そう話し終えた後まるでタイミングを見計らってたかのように、家の扉がノックされた。

「ほら、お前の友達が来たぞ」
「うん・・・・」
「言いたい事は全部言って事情を説明してきな。俺は上の階に居るからこの部屋を使うと良い」

 そう言って俺の頭を撫でると飛んで二階に行ってしまった。一緒に居てくれない事を心細く思いながらもみんなを待たせる訳にはいかないと、扉をゆっくりと開けるといつも通りのみんなの姿が見えた。

「クーア、おはよう」
「おはよう、良く寝れたか?」
「昨日の雨は見事だった。だが、あの後大丈夫だったのか?」
「昨日の疲れはしっかり取れた?もしまだ疲れているなら今日はお休みにしましょう?」
「うん・・・・おはよう」
「どうしたんだ?元気が無いようだが・・・・やはり昨日の消耗が回復していないのか?魔力が足りなければ俺のを」
「いや、もう回復はしたんだけど・・・・ここだとあれだから中にどうぞ。ヴィラスには許しを貰ってるから」

 何も知らないみんなは俺を心配してくれるけど今はその心配が心苦しいよ。俺がいつもと違くて戸惑うみんなを中に案内して、ウォルとレイランとシャールクは椅子に座り、ウォルの横に騎士の様にアルベルドが立つと俺はみんなの真ん中にある机の上に浮かんだ。

「あのね・・・・みんなに謝らなきゃ駄目なことがあるんだ」
「一体どうしたのだ?クーアは謝るようなことをして無いだろ?」
「そうだぞ。クーアはヴィラス様を復活させたんだからな誇って自慢して良い事だぞ」
「なにかヴィラス様のお体に関わる事かしら?」
「ううん、みんなに関わる事なんだ」
「ふむ、俺達にか」

 皆に嫌われるのは物凄く嫌だし怖いけど速く正直に言わなきゃ。ここでみんなとお別れかな・・・・

「あのね俺がみんなにあげた加護なんだけど・・・・あれって魂を変質させちゃって人間を人間じゃ無くしちゃうんだ」
「それが?」
「いや、だからこのままだとみんなの寿命が俺と同じぐらいになっちゃって言うか」
「知ってるぞ」
「え」
「ん?加護がどういう効果なのかは知ってるわよ」

 ん?ん?ん?どういうこと?

「俺達の国は竜種の皆さまと関りが深い国だ。だから、加護が人間に対してどのような影響をもたらすかを全国民が知っているのだ」
「えぇええええええええ」

 は!?えっいやどういうこと!?魂が変質するのを分かってて俺の加護を受け入れたってことだよね。それ、は!?全然理解できない!!!
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