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皇国復活編
俺達、貴方達に会いに来たんだよ!
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「それで、クーアどうすれば良いんだ?」
「その前にみんなの気持ちを確かめておきたいんだ」
「心はもう決まっている」
「うん、分かってるけど念のためにね」
そうだよね、みんなは今この時の為に永い間旅を続け苦労してきたんだから覚悟は決まっているだろうけど、ここから先は俺が付いていても命に関わる事だ。だから、ちゃんと聞いておきたいんだ。
「みんなにも見えてる通り、この洞窟は汚染された魔力で満たされ多数の魔物で埋めてくされている。ヴィラスの元に行こうとすれば、この魔物達が一斉に襲い掛かってくるよ」
「上等だ」
「うむ、蹂躙する」
「これくらいじゃ怯まないわよ」
「うん、みんななら十分戦えると思うけどこいつらはヴィラスの汚染された魔力から出現しているから元を絶たないと永遠に湧き続けるよ。だから、こいつらを一掃するために俺はヴィラスの浄化をする。その間魔物達を相手している余裕は無いから、俺を守っていて欲しいんだ」
「任せろ、指一本たりとも触れさせない」
「水龍さまに手出しなどさせはしない」
あそこまで高濃度の汚染された魔力を浄化をしたことないし、あそこまで大量だと時間も掛かる。そして集中しないといけないからみんなの援護は出来ないんだ。しかも、俺でも全力を出さないと無理ってことは・・・・
「もし途中でやられても助けてあげれないし、途中で無理ってなってももう後戻りは出来ないからね?」
「あぁ分かっている」
「負けるつもりなんて無いわよ」
「俺達は前に進み続けるのみだ」
「うむ、早くヴィラス様を苦痛から解放させよう」
助ける事も後戻りすることも出来ないって伝えたのにみんなは一切怯む事無く決意に満ちた目で前を見ている。そうだよね、みんなは自分為だけじゃなくて国民と亡くなってしまったヴィラスとエルディランの民の思いを背負って此処に居るんだもんね。それじゃあ、これ以上聞くのは野暮だね。
「そっか、じゃあみんなには俺の力を貸すね。シャールク、アルベルド、レイラン、ウォルみんなには俺の加護があるから汚染された魔力に強い抵抗を持ってるんだ。だけど、この空間で動くのは無理だから加護を強化してあげるね。これで、問題なく戦えるはず」
みんなは俺の加護を持っているから水と浄化の魔力によって、ちょっとやそっとの汚染された魔力じゃ汚染を受けないけど、流石にこの空間じゃ無理だね。力を消耗するけど俺の加護を強めてあげれば、戦えるはず!俺の加護を持たないディオクスには・・・・
「クーア、何時も助けて貰ってばかりですまない」
「私達がここまで来れたのは全部クーアのおかげね」
「返しきれないぐらい恩が出来ちまったな。嫌ってなるくらいこれから返すから覚悟しろよ」
「うむ、生涯を掛けてこの恩に報いよう」
「ふふっまだ終わってないよ!ヴィラスを助けたら次はエルディランの所に行かないと駄目なんだから!」
ここで終わりじゃ無いんだから!
「ディオクスには俺の球体を渡しておくね」
「これは・・・・」
「俺の一部だよ。傍に置いてけば汚染された魔力から守ってあげる!」
「感謝します。この恩は決して忘れません」
「でも、置いておくのは邪魔だよね~」
ディオクスには俺の体の周りを回っている球体の一つを渡したけど、戦っている時に邪魔にならないようにするにはどうした方が良いかな・・・・そうだ!
「そんなことは」
「ディオクス、剣出して」
「剣ですか?どうぞ」
「じゃあ、剣に俺の球体を同化させておくね」
「なっ!?」
水というのは浸透するもの。球体は俺の体の一部であり力も司っているからこれくらいは出来る。球体はまるで分かれる川のような模様を描きながら、大剣に融合し水と浄化の力を付与させた。よし、これでディオクスも問題なく戦えるね!
「力を授けてくださり感謝します」
「それじゃあ、準備も出来たしヴィラスを助けようか!」
これで出来る準備は全てした。あとは全力でぶつかってヴィラスを助けるだけ!
「いくよっ」
「「「「「おう」」」」」
水の膜を解除し姿を晒すと、一瞬で俺達の存在気付いた魔物達が一斉に見ると襲い掛かってきた。俺は力を消耗せずみんなの速さについていくためにディオクスの背中におぶって貰い、みんなヴィラスの元へ駆け出した。
ガンッ カァン キィーン
武器が交わる甲高い音が洞窟内へと響き渡る。魔物達は各々の武器を使いみんなに襲い掛かり、その腕前はかなりのものだ。今まで鍛錬を最大限に発揮しながら次々と倒してはいるけど数が多い。自慢の剛力を活かし大剣を持つディオクスとウォルは横払い薙ぎ払っていく。弓を持った魔物達は素早い動きで合間を縫いながらシャールクが撃ち抜いていく。レイランは魔法を発動しようとする遠くの奴らを的確に倒していくけど中々前に進めない。
「こいつら知性が有んのか!」
「やけに連携が取れているわね」
「一人一人が戦士だな」
「人型の魔物と戦うの初めてだけど、ここまで面倒だとは!」
明らかに意思の無い化け物の群れのように見えるのに、こいつらしっかりとした意思がある。形や姿からして恐らくだけど・・・・
「こいつら多分汚染された魔力にされた人達だ」
「なんですって!?」
「まさか」
「ヴィラスは大量の汚染された魔力を受け止めたからその中に居た魂が汚染されたまま魔物になっているんだと思う」
ウォルから悪い王様が人々の命を使って汚染した魔力を生み出したと聞いてたけど、まさか魂まで囚われているなんて思っても無かった。全ての生き物はその生を終えたら魂は星へと帰りその傷を癒してまた生まれ変わるはずなのに、それを捻じ曲げるなんて本当に酷い魔法だったんだ・・・・
「みんな、俺の力を使って」
この人達は争いを起こした人かもしれないし、無理やり命を奪われた人かもしれない。どんな人なのかは分からないけど、こんな風に魂を冒涜され星に帰れないなんてあんまりだ。だから、俺がその呪縛を解いてあげる。
「クーア!?」
「今のみんなならこの魔物達を浄化できるよ。お願い、魂を開放して欲しいんだ」
俺はみんなに力を分け武器に魔法にそして魔力に浄化の力を与えた。これなら倒せば自然に魂は解放されるはず。消耗はしたくなかったけど、見過ごすことなんて出来ない。
「クーアの願いなら!」
「でも、これ以上消耗させる訳にはいかないわ」
「戦えば長引けば長引く程こっちが不利になる。一気に距離を詰めなければ」
「分かってるが数が多すぎる。ヴィラス様の元まで辿り着けない!」
「・・・・アルベルド、クーア様を任せた」
結構魔物を倒してきたけどヴィラスの元まではまだかなりの距離がある。このままだとみんなの魔力がどんどん無くなっちゃう。手立てを考えながら魔物達を睨みつけていると、ディオクスは俺を優しくアルベルドに渡すと大剣に大量の魔力を籠め一気に振り下ろし一直線に敵を薙ぎ倒す。
「道は作った先に行け!!」
「っそんなに魔力を使ったら!」
「このままではこちらの魔力が尽きる。全員が生き延びるためにもクーア様をヴィラス様の元へ連れて行かなくてはっ」
「感謝する。行くぞ!」
「こっちの魔物は受け持った!」
俺達はディオクスが作ってくれた道を走り、ヴィラスの元へ走るがあっという間に次の魔物が生まれ道を遮っていく。
「道が」
「クソ出現が早すぎる」
「レイラン、クーア様を」
「・・・・分かったわ」
「もう一度道を作る。先を行け」
アルベルドはディオクスのように大量の魔力を剣へと籠め風と雷の一閃を放ち、立ち塞がる魔物達を薙ぎ払う。強力な技を放つために足を止めてしまったアルベルドは俺達が通った傍から魔物に塞がれ分断されてしまった。
「ディオクス、アルベルド・・・・」
「今はあの二人を信じて先へ進みましょう」
「あの二人なら大丈夫だ」
「あぁ・・・・二人が道を作ってくれたおかげでもうすぐっ」
「危ない!」
レイランは咄嗟に岩の障壁を作り出し俺達を守った瞬間、衝撃音と爆発音が響き渡る。崩壊した岩の障壁の先に見えたのは杖を持って堂々と構える一体の魔物だった。
「魔法師の魔物ね・・・・しかも相当な手練れね。シャールク、クーアをお願い。あいつの相手は私がするわ」
「・・・・頼んだ!」
レイランは魔物と同じよう堂々と対面すると、それを無視するかのように俺達向かって巨大な火球を撃ち放とうする魔物。それを同じように岩の障壁で守ると
「無視しないでくれるかしら、あんたの魔法は強力で厄介ね。みんなの邪魔はさせないわ」
魔物で姿が見えなくなっていくレイランを見送りながら、俺達はあと少しでヴィラスの傍までこれた。
「レイラン、おかげで何とか攻撃を受けずに来れたな」
「あぁもう少しだ」
魔物達も沢山居るけどさっきと比べれば、少ない!これならヴィラスの元まで!
「まぁそう簡単に行く訳無いよな」
「その体格にその耳、獣人か」
「シャールク」
「ウォル、クーアを頼んだ。こいつは俺が相手する」
もう少しでヴィラスの元まで行けるというのに、立ち塞がったのはハンマーを持った2mをゆうに越す大きな魔物。その頭には小さな耳が頭上に生えており、何かの獣人だってことは分かるけど、全身が黒く泥のような姿をしているので見分けがつかない。
「任せたぞ」
「あぁ、さっさと片付けて合流する。それまでクーアの護衛を頼んだぞ」
「おう!」
ウォルは俺をシャールクから受け取り、ヴィラスの元へ駆け出した。それを攻撃しようとハンマーを大きく振りかぶったが、轟雷を纏った矢が頭へ直撃しよろける魔物。
「させる訳無いだろ」
ディオクス、アルベルド、レイラン、シャールクの魔力はずっと感じているから大丈夫。俺達は急いでヴィラスの元へ行かないと!ウォルは立ち塞がる魔物達を次々と切り伏せていき滑り込むようにヴィラスの元へ辿り着くと、俺を優しく下ろし
「クーア、ここで大丈夫か?」
「うん、ありがとう!」
「クーア、ヴィラス様を頼む」
「任せてっ」
そう言うとウォルは俺を守るように背を向け武器を構える。俺は意識を集中させ他の事は一切考えずただ浄化だけを考え魔法を発動した。
今、その苦しみから解き放ってあげるからね!そしたらお話ししようね!
「その前にみんなの気持ちを確かめておきたいんだ」
「心はもう決まっている」
「うん、分かってるけど念のためにね」
そうだよね、みんなは今この時の為に永い間旅を続け苦労してきたんだから覚悟は決まっているだろうけど、ここから先は俺が付いていても命に関わる事だ。だから、ちゃんと聞いておきたいんだ。
「みんなにも見えてる通り、この洞窟は汚染された魔力で満たされ多数の魔物で埋めてくされている。ヴィラスの元に行こうとすれば、この魔物達が一斉に襲い掛かってくるよ」
「上等だ」
「うむ、蹂躙する」
「これくらいじゃ怯まないわよ」
「うん、みんななら十分戦えると思うけどこいつらはヴィラスの汚染された魔力から出現しているから元を絶たないと永遠に湧き続けるよ。だから、こいつらを一掃するために俺はヴィラスの浄化をする。その間魔物達を相手している余裕は無いから、俺を守っていて欲しいんだ」
「任せろ、指一本たりとも触れさせない」
「水龍さまに手出しなどさせはしない」
あそこまで高濃度の汚染された魔力を浄化をしたことないし、あそこまで大量だと時間も掛かる。そして集中しないといけないからみんなの援護は出来ないんだ。しかも、俺でも全力を出さないと無理ってことは・・・・
「もし途中でやられても助けてあげれないし、途中で無理ってなってももう後戻りは出来ないからね?」
「あぁ分かっている」
「負けるつもりなんて無いわよ」
「俺達は前に進み続けるのみだ」
「うむ、早くヴィラス様を苦痛から解放させよう」
助ける事も後戻りすることも出来ないって伝えたのにみんなは一切怯む事無く決意に満ちた目で前を見ている。そうだよね、みんなは自分為だけじゃなくて国民と亡くなってしまったヴィラスとエルディランの民の思いを背負って此処に居るんだもんね。それじゃあ、これ以上聞くのは野暮だね。
「そっか、じゃあみんなには俺の力を貸すね。シャールク、アルベルド、レイラン、ウォルみんなには俺の加護があるから汚染された魔力に強い抵抗を持ってるんだ。だけど、この空間で動くのは無理だから加護を強化してあげるね。これで、問題なく戦えるはず」
みんなは俺の加護を持っているから水と浄化の魔力によって、ちょっとやそっとの汚染された魔力じゃ汚染を受けないけど、流石にこの空間じゃ無理だね。力を消耗するけど俺の加護を強めてあげれば、戦えるはず!俺の加護を持たないディオクスには・・・・
「クーア、何時も助けて貰ってばかりですまない」
「私達がここまで来れたのは全部クーアのおかげね」
「返しきれないぐらい恩が出来ちまったな。嫌ってなるくらいこれから返すから覚悟しろよ」
「うむ、生涯を掛けてこの恩に報いよう」
「ふふっまだ終わってないよ!ヴィラスを助けたら次はエルディランの所に行かないと駄目なんだから!」
ここで終わりじゃ無いんだから!
「ディオクスには俺の球体を渡しておくね」
「これは・・・・」
「俺の一部だよ。傍に置いてけば汚染された魔力から守ってあげる!」
「感謝します。この恩は決して忘れません」
「でも、置いておくのは邪魔だよね~」
ディオクスには俺の体の周りを回っている球体の一つを渡したけど、戦っている時に邪魔にならないようにするにはどうした方が良いかな・・・・そうだ!
「そんなことは」
「ディオクス、剣出して」
「剣ですか?どうぞ」
「じゃあ、剣に俺の球体を同化させておくね」
「なっ!?」
水というのは浸透するもの。球体は俺の体の一部であり力も司っているからこれくらいは出来る。球体はまるで分かれる川のような模様を描きながら、大剣に融合し水と浄化の力を付与させた。よし、これでディオクスも問題なく戦えるね!
「力を授けてくださり感謝します」
「それじゃあ、準備も出来たしヴィラスを助けようか!」
これで出来る準備は全てした。あとは全力でぶつかってヴィラスを助けるだけ!
「いくよっ」
「「「「「おう」」」」」
水の膜を解除し姿を晒すと、一瞬で俺達の存在気付いた魔物達が一斉に見ると襲い掛かってきた。俺は力を消耗せずみんなの速さについていくためにディオクスの背中におぶって貰い、みんなヴィラスの元へ駆け出した。
ガンッ カァン キィーン
武器が交わる甲高い音が洞窟内へと響き渡る。魔物達は各々の武器を使いみんなに襲い掛かり、その腕前はかなりのものだ。今まで鍛錬を最大限に発揮しながら次々と倒してはいるけど数が多い。自慢の剛力を活かし大剣を持つディオクスとウォルは横払い薙ぎ払っていく。弓を持った魔物達は素早い動きで合間を縫いながらシャールクが撃ち抜いていく。レイランは魔法を発動しようとする遠くの奴らを的確に倒していくけど中々前に進めない。
「こいつら知性が有んのか!」
「やけに連携が取れているわね」
「一人一人が戦士だな」
「人型の魔物と戦うの初めてだけど、ここまで面倒だとは!」
明らかに意思の無い化け物の群れのように見えるのに、こいつらしっかりとした意思がある。形や姿からして恐らくだけど・・・・
「こいつら多分汚染された魔力にされた人達だ」
「なんですって!?」
「まさか」
「ヴィラスは大量の汚染された魔力を受け止めたからその中に居た魂が汚染されたまま魔物になっているんだと思う」
ウォルから悪い王様が人々の命を使って汚染した魔力を生み出したと聞いてたけど、まさか魂まで囚われているなんて思っても無かった。全ての生き物はその生を終えたら魂は星へと帰りその傷を癒してまた生まれ変わるはずなのに、それを捻じ曲げるなんて本当に酷い魔法だったんだ・・・・
「みんな、俺の力を使って」
この人達は争いを起こした人かもしれないし、無理やり命を奪われた人かもしれない。どんな人なのかは分からないけど、こんな風に魂を冒涜され星に帰れないなんてあんまりだ。だから、俺がその呪縛を解いてあげる。
「クーア!?」
「今のみんなならこの魔物達を浄化できるよ。お願い、魂を開放して欲しいんだ」
俺はみんなに力を分け武器に魔法にそして魔力に浄化の力を与えた。これなら倒せば自然に魂は解放されるはず。消耗はしたくなかったけど、見過ごすことなんて出来ない。
「クーアの願いなら!」
「でも、これ以上消耗させる訳にはいかないわ」
「戦えば長引けば長引く程こっちが不利になる。一気に距離を詰めなければ」
「分かってるが数が多すぎる。ヴィラス様の元まで辿り着けない!」
「・・・・アルベルド、クーア様を任せた」
結構魔物を倒してきたけどヴィラスの元まではまだかなりの距離がある。このままだとみんなの魔力がどんどん無くなっちゃう。手立てを考えながら魔物達を睨みつけていると、ディオクスは俺を優しくアルベルドに渡すと大剣に大量の魔力を籠め一気に振り下ろし一直線に敵を薙ぎ倒す。
「道は作った先に行け!!」
「っそんなに魔力を使ったら!」
「このままではこちらの魔力が尽きる。全員が生き延びるためにもクーア様をヴィラス様の元へ連れて行かなくてはっ」
「感謝する。行くぞ!」
「こっちの魔物は受け持った!」
俺達はディオクスが作ってくれた道を走り、ヴィラスの元へ走るがあっという間に次の魔物が生まれ道を遮っていく。
「道が」
「クソ出現が早すぎる」
「レイラン、クーア様を」
「・・・・分かったわ」
「もう一度道を作る。先を行け」
アルベルドはディオクスのように大量の魔力を剣へと籠め風と雷の一閃を放ち、立ち塞がる魔物達を薙ぎ払う。強力な技を放つために足を止めてしまったアルベルドは俺達が通った傍から魔物に塞がれ分断されてしまった。
「ディオクス、アルベルド・・・・」
「今はあの二人を信じて先へ進みましょう」
「あの二人なら大丈夫だ」
「あぁ・・・・二人が道を作ってくれたおかげでもうすぐっ」
「危ない!」
レイランは咄嗟に岩の障壁を作り出し俺達を守った瞬間、衝撃音と爆発音が響き渡る。崩壊した岩の障壁の先に見えたのは杖を持って堂々と構える一体の魔物だった。
「魔法師の魔物ね・・・・しかも相当な手練れね。シャールク、クーアをお願い。あいつの相手は私がするわ」
「・・・・頼んだ!」
レイランは魔物と同じよう堂々と対面すると、それを無視するかのように俺達向かって巨大な火球を撃ち放とうする魔物。それを同じように岩の障壁で守ると
「無視しないでくれるかしら、あんたの魔法は強力で厄介ね。みんなの邪魔はさせないわ」
魔物で姿が見えなくなっていくレイランを見送りながら、俺達はあと少しでヴィラスの傍までこれた。
「レイラン、おかげで何とか攻撃を受けずに来れたな」
「あぁもう少しだ」
魔物達も沢山居るけどさっきと比べれば、少ない!これならヴィラスの元まで!
「まぁそう簡単に行く訳無いよな」
「その体格にその耳、獣人か」
「シャールク」
「ウォル、クーアを頼んだ。こいつは俺が相手する」
もう少しでヴィラスの元まで行けるというのに、立ち塞がったのはハンマーを持った2mをゆうに越す大きな魔物。その頭には小さな耳が頭上に生えており、何かの獣人だってことは分かるけど、全身が黒く泥のような姿をしているので見分けがつかない。
「任せたぞ」
「あぁ、さっさと片付けて合流する。それまでクーアの護衛を頼んだぞ」
「おう!」
ウォルは俺をシャールクから受け取り、ヴィラスの元へ駆け出した。それを攻撃しようとハンマーを大きく振りかぶったが、轟雷を纏った矢が頭へ直撃しよろける魔物。
「させる訳無いだろ」
ディオクス、アルベルド、レイラン、シャールクの魔力はずっと感じているから大丈夫。俺達は急いでヴィラスの元へ行かないと!ウォルは立ち塞がる魔物達を次々と切り伏せていき滑り込むようにヴィラスの元へ辿り着くと、俺を優しく下ろし
「クーア、ここで大丈夫か?」
「うん、ありがとう!」
「クーア、ヴィラス様を頼む」
「任せてっ」
そう言うとウォルは俺を守るように背を向け武器を構える。俺は意識を集中させ他の事は一切考えずただ浄化だけを考え魔法を発動した。
今、その苦しみから解き放ってあげるからね!そしたらお話ししようね!
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