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皇国復活編

俺、これはどうかと思う!

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 火を噴かない安全な場所でも、周りが燃え上がっている所為で暑くて眠れないしテントの中もムシムシして嫌だから俺達は水の膜の中に籠り夜を過ごした。寝ても覚めても暑いこの土地に嫌になりそうだけど、俺達はセレルに向かって走っていく。
 火に恐れを抱き大地の恐怖を味わいながら進んで行き、三日目の昼間それは突然現れた。

「これってどうなの・・・・」
「ここから先が本番だな」
「まだ三日目だぞ・・・・」
「ヴィラス・・・・もう少し影響を考えて欲しかったな~」

 俺達の目の前に現れたのは、大地を割りその間を漂う焼け爛れた溶岩だ。今までは火を噴く大地とはまた違う過酷な環境になってしまっている。溶岩は滞る事無く流れ続け時折噴出しては、地面を燃やしている。これ歩くだけで足が焼けちゃうんじゃない?

「歩くのも危険だろこれ」
「黒くなっている場所は歩くなよ。固まった溶岩だからな」
「いや、歩く場所どうこうよりどうやってこれ突破するのよ」
「そのまま進むだけだ。溶岩によって地獄のように見えるが、溶岩が流れていない場所は安全なんだ」
「はぁ・・・・落ちたら完全に焼け死ぬわよ」
「そうだろうな」
「水の膜強くしておくね」
「大丈夫なのか?」
「なんとか~」

 ここも火の魔力が強いけど、大地の魔力と混ざりあっているからまだマシな方なんだよね~暑いし気分が悪いのは変わりないけどね!!!いくらヴィラスが火の竜だとしても、ここまでやるのはやり過ぎだと思うな・・・・あ、でも俺も自分が好きなように場所作って良いなら全てを水に沈めるかもな~少し気持ちが分かってしまう俺が悔しい!

「さて、先に進まない選択肢は無いのだから腹を決めて進むしか無いだろ」
「それはそうなんだけどな~」
「これを見ちゃうと少し怯んじゃうわよ」
「ここから先は空を飛ぶ魔物は少なくなるが、地中や地上の魔物が多くなるから気を付けろ」
「あいよ」
「さぁ行くぞ」

 俺達は焼け爛れる大地へと走り出し、流れる溶岩に気を付けながら進んで行くが突然流れが変わったり噴出したりなど危険は多く気を抜けない。溶岩に落ちてしまっても、守り切る自信はあるけど力は温存しておきたんだよね~この土地で過ごして気付いたけど、思っていたより魔力の回復が少ない。この先4日間このペースの回復だと考えると、念には念を入れておかないとね。

「分かってはいたけど、あっついな」
「あぁ、だが先程よりはマシだな」
「そうね、溶岩があるからより暑いのかと思ったけどそうでもないのね」
「先程までは炎で焙られている状況だったからな。こっちは大地が躍動し溶岩が流れているだけだからそこまで暑く無いんだ」
「溶岩が流れているだけって・・・・なんて事の無いように言ってるけど可笑しなことだからね?」
「そうなのか?まぁいいだろう。それより、俺達でも活動できるような場所で大地に炎という障害が無いという事は・・・・」
「魔獣や魔物が活動しやすいってことだろ!ほら、お客さんだ!」

 右前方の溶岩から何かが飛び出してきたと思ったら、人間ほどあるトカゲが炎を纏い現れた。そして、その奥からは炎の球体がこっちに向かって転がってくる。

「ラヴァリザードだ!溶岩を冷やし硬い装甲で覆われているから気を付けろ」
「あの奥の火球はなに!?」
「ラヴァスカラベだな。溶岩を球体状に丸める習性を持ちあれで攻撃してくる。火球は脅威だが本体は弱い」
「スカラベは私がやるわ」
「ラヴァリザードは俺がやろう」

 シヤールクは近づいて来る二体の魔物に牽制として矢を放ち、ウォルはラヴァリザードに向かって走り、レイランは火球の先に大きな土壁を作り出した。火球は壁に当たり轟音を立てたが、壁を破る程の威力は無くバラバラに砕け散る。そして壁の向こうに火球を失ったスカラベは逃げようと、背中を向けたので追い打ちでスカラベの背中に土で作った槍で貫いた。

「こんな事しておいて逃げれられるなんて思わないでよね」

 そして、レイランがスカラベを相手している間にラヴァリザードに近付いたウォルは吐き出された炎をジャンプで避け背中へ思いっきり大剣を叩きつける。

ガンッ

「硬いな・・・・もう一度!」

 鈍い音を響かせながらウォルの斬撃を防いだが、正確に同じ場所に繰り出された斬撃は防ぎ切れず真っ二つに両断された。

「ふぅ、飛ばないだけ楽だな」
「俺は相変わらず木の矢が使えなくて、面倒だけどな」
「シャールクには頑張って貰ったから、ここからは私達が受け持つわ」
「だな。地上の相手であれば何とかなる」
「んじゃ、お言葉に甘えて」
「うむ、シャールクの魔法は重要な場面に残しておいた方が良いからな」

 シャールクは空から襲撃してくる魔物達を一日中相手してたから大変だったもんね~いつもは木の矢に魔法を纏わせて魔力を節約してるのにそれが出来ないから、消費が凄かっただろうから今度は俺達が助けるよ!この土地なら気分は悪いけど、少しの魔法なら使う余力はあるからね!

「足を踏み外さずに急ぐぞ」
「了解」

 俺達は溶岩地帯を走り、途中でまるで池のような溶岩溜まりがあったりとこの大地の異質を経験しながら進んで行く。ここに現れる魔物達は、溶岩を活かした魔物が多くて硬かったり鉄をも溶かす高温の体を持っていたりと厄介だけど、対処法が分かりやすいからそこまで苦戦することは無かった。炎地帯と変わらず夜は暑いままだけど、こっちは安全に寝れる場所が少ないらしい。だから、途中で徹夜をして走らなければならかったりと大変だけど、大きな問題も無くセレルに近付くことが出来た。

 炎の魔境に入って六日目、初日から見えていた途轍もなく大きな山に段々近づいてきているのが実感できる。セレルに近付くにつれて、魔物の数は減ってきているが強さは増していく。それなのに俺達はずっと戦い休む暇も無く、中々に辛いけどもう少しの辛抱だ。

「ここまで近づくとあの山の大きさが分かるな・・・・」
「あれがかの有名なヴィレン山脈だな」
「この環境でどうして木が生えてるの・・・・?」
「うむ、あれが我らが聖地ヴィレン山脈だ。盛ん動きを見せる活火山であり、その山に生えている物は全てヴィラス様の慈悲によって全ての植物が火に対する耐性を持っているんだ。ヴィレン山脈は、我らが聖域であり恵みの山でもあるんだ」
「不思議な山だな・・・・」
「ん~・・・・?」
「どうしたんだクーア?辛いのか?」
「ううん、何でもない」

 この距離まで近づいてやっと分かったけど、なんかあの山から少し変な魔力を感じる。火の魔力が多すぎてしっかりと捉えることは出来ないけど、どこか覚えがあるような。だけど、凄く嫌な魔力・・・・なんだろうこれ。よく分からないから、誤魔化したけどセレルに着いた絶対調べないと駄目だね。

「そうか、何か有ったらすぐに言ってくれ」
「よし、ここまで来たらあと少しだ。急ぐぞ」
「そうね、早く着いて休みたいわ」
「物資の状況も確認しないと駄目だけどな」
「それと、ヴィラス様とエルディラン様の痕跡も探さなくては」

 俺達は目的地に近付いたことによって、気力を取り戻した俺達は強くなっていく魔物を蹴散らしながら歩みを進めていく。みんなが頑張っている中俺はウォルの背中で少し考え事をしていた。

 ここまで強い魔力があるなら火の精霊が生まれても可笑しくないのに何で生まれないんだろう?

 それは多分この大地には微量だが汚染された魔力があるからだ。魔力を無駄に消費するのは得策じゃないから地中深くまで調べられてないが、魔物が生まれるって言う事はこの大地も何処かしらから汚染された魔力が流れ込んできているのは間違いが無い。汚染された魔力があれば、俺はすぐ気づくことが出来るけど、それが出来ないのは多分だけどこの大地に宿っている火の魔力が汚染された魔力を焼き消しているからだと思う。
 汚染された魔力を焼き消すために、火の魔力が大地に宿っているならこの状況も納得できる。汚染された魔力を消し去るには、浄化魔法以外だと高火力の魔法で完全に魔力ごと消すしかないからね~

 もし、俺の予想が当たってるならこの状況にしている誰かが居るはず。ヴィラスが死んじゃう前に何かしたって可能性はあるけど、アルベルドは年々勢いを増してるって言ってたし、誰かしらが魔力の供給を行ってる可能性が高い。

そして、大地をここまで出来るのは・・・・もしかしたらもしかするかも。








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https://www.alphapolis.co.jp/novel/910160630/222807377
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