裏切られた水龍の俺は皇子達と国を復活させます!~俺を食べようとした奴なんかに水はあげない!~

和吉

文字の大きさ
上 下
95 / 158
皇国復活編

俺、魔境を進むよ!3

しおりを挟む
 昼の休憩からかなりの時間魔境の砂漠を歩いていると感じていたその時、突然俺達を囲む砂嵐に変化が起こり始めた。

「なんだ!?」
「砂嵐が・・・・」
「白い?」
「不味いな」

 俺達を包み込み行き先を全てを覆い隠していた黒い砂嵐が段々と白くなっていき、風の防壁に当たる岩や石は水分を含んだ大きな氷の塊に変わり風の防壁へと当たる。大気中を飛び回っていた砂達は、一瞬の内に凍てつき氷の砂嵐となり俺達に襲い掛かってきたのだ。

「早すぎる、全員冷却の魔道具から加熱の魔道具に切り替えるんだ!」
「さっむ!!!」
「いくら何でも、気温の差があり過ぎない!?」

 俺達を取り囲む砂嵐が氷の砂嵐と変わったことによってあっという間に、気温は落ちていき今では凍えるほどの寒さになってしまった。ここの朝と夜では気温の差が激しいとは聞いていたけれど、こんなに違うものなの!?
 氷の砂嵐によって稲妻が止んだのは有り難いけど、次は人を簡単に貫通できる程鋭くなった氷達が豪風に乗って、俺の防壁を貫こうとしてくるからこっちはこっちで大変なのは変わらない!

「全員装備は変えたな?」
「あぁ」
「おう」
「えぇ」

 夜の砂漠は寒くなるという事を聞いていたから、寒さ対策として体を温める魔道具を用意しておいたけど、それでも三人は寒そうに手をこすり合わせたり身を縮みこませている。アルベルドは外を睨みつけながら

「いくら何でも早すぎる、まだ17時頃だぞ。日だって完全に落ち切っていないはずなのに」
「普通ならどれくらいで寒くなり始めるの?」
「普通なら21時頃だ、そこから段々と冷え込み夜中には確かに凍てつく程の寒さとなるが・・・・」
「一瞬で寒くなったな」
「これは凍てつくというより書物で読んだ雪国の様だな」
「確かにここは環境の変化が激しい場所だがここまでだと天変地異に近いな。クーア魔力はどうなっている?」

 一瞬の内に氷の砂嵐と化してしまった周囲をみんなで呆然と眺めていると、アルベルドが聞いて来たのでよく見てみると

「さっきまであった火と雷の魔力が水の魔力に変わってるね。水と風が混ざり合って、この氷の砂嵐が起きてるみたい」
「ふむ、一瞬で魔力の性質が切り替わったのか・・・・」
「異常ね。何か大事が起きない限り大地の取り巻く属性が大幅に変わるなんてありえない」
「それが起きてるって事は何かしら異常が起きてるんだろうな」
「何かしらの魔物が原因の可能性もあるな」

 旅をしている間に出くわした、砂嵐を率いたワームが居たしこの氷の砂嵐を発生させている魔物が居るんじゃないかと思ったみたいだけど・・・・

「多分だけど魔物の性じゃないと思うよ」
「なんで分かるの?」
「此処を取り巻く魔力は何処からか流れてきてるみたいなんだよね~」

 火と風の魔力が少なくなり水の魔力が増えたことによって魔法を使いやすくなった俺は集中して魔力の発生源を追ってみたけれど、俺達が向かう先に続いている。しかも、地脈を通ってこっちに流れてきてるみたいだから辿っていけば原因が分かるかも。

「なるほどね・・・・」
「何かの魔力がここを異常地帯に変えてしまったのか」
「だろうね~」
「ということは、原因を断たなければより酷くなる可能性もあるのか」
「・・・・急いだ方が良さそうだ。地面には気を付けろ、氷は簡単に体を貫ぬくぞ」

 現状どうする事も出来ない事を再度確認した俺達は、ネリアに向かってただ進むことしかできない。幸い水の魔力が増えてくれたから、風の防壁の制御はかなりやり易くなった。これだったら、俺も戦闘に参加することが出来るね。

「ふぅ体を動かしておけば温まるわね」
「じっとしてたら凍っちまうぜ」
「足場はかなり安定しているな・・・・だが、気を付けなければ」
「間違っても姿勢を崩さないように、倒れた先に氷の刃があるかもしれない」

 歩みを再開すると、昼の砂漠とは違い砂と凍ってしまった事によって足場は固まり昼間より歩きやすいが、時折踏んでしまえば大怪我を負ってしまうだろう鋭さを持つ氷の破片が落ちている。夜の砂漠は昼間の砂漠と同じように気を付けなければ進むことが出来ないのだ。足場が固まったことによって歩みも少しは早くなるかと思ったが、危険が多すぎて昼間と同じような速さでしか進むことが出来ない。

「夜の砂漠は夜の砂漠で違った危険があるわね」
「こんなのが飛んでくる中歩いたらあっという間にズタズタだぜ」
「寒さで体力も奪われる、少し大変だな」
「もう暫くしたら休憩をとろう。シャールク、炭は持ってきているな?」
「おう、勿論だぜ」

 俺は寒さは平気だけど、みんなはそうじゃないから本当は温めてあげたいんだけど俺には火の魔力が無いから温めてあげることは出来ないんだよね・・・・今出来るのは風の防壁で冷たい空気を和らげであげるだけ。こういう時に火の魔力が無いって不便だよね。属性を増やす方法とか無いのかな~

「夜の砂漠の魔物や魔獣ってどんなのが居るんだ?」
「夜の砂漠だと、トカゲやヘビ、夜行性の動物たちが主なんだが・・・・」
「この様子だと生き物が動くのは無理じゃないかしら?」
「流石の魔物達でも、ここまでの環境で動けると思えないが」

 そんな話をしているとシャールクが弾かれたように前方を見ると

「前に三体!・・・・だけど生き物って感じがしない」
「生き物じゃない?」
「ふむ、生き物では無くこの砂嵐を歩くことが出来る者と言えば、ゴーレムだな」
「うげぇ」
「えぇ・・・・」

 アルベルドがそう言うとレイランとシャールクが嫌そうに顔を顰めウォルは剣を構え魔力を纏わせ身体強化を発動させる。俺達は少しずつ近づき風の防壁内にそのゴーレムと呼ばれる魔物の姿が見えて来た。
 その姿は、皇都の周りで見た鎧人のように大きく岩で作られていたが鎧人の様に洗練された物では無く武骨で荒々しい見た目だ。そのゴーレムは俺達を見ると、走って俺達に向かってきたがアルベルドが盾で二体を受け止めたが・・・・

「くっ・・・・」

 固まったとしても元は砂、力を籠めれば氷が割れ大地は崩れてしまう。今までもっと足場が悪い砂でも後退りすることなく受け止めていたアルベルドだが、珍しく押されてしまっている。ウォルはアルベルドが抑えてる内にゴーレムを倒そうと刃を振りかざすが、ゴーレムは固く刃は弾かれる。

「関節を狙え!」

 ウォルはアルベルドの声を受け、ウォルは腕の関節を狙い切りつけると傷は入ったが切断することは出来なかった。しかも、岩の塊にしては動きが早く攻撃も重いので上手く攻撃が出来ていない。シャールクとレイランはウォルの援護を行いアルベルドは残りの一体を相手にすることにした。

「相変わらず固いな、そして重い」

  アルベルドはゴーレムの攻撃を受け止めながら剣を振りかざすが弾かれしまう。ウォル達も少し苦戦しているのを見ると、

「シャールク、レイランこっちにそいつを飛ばせ!」

 アルベルドの声を聴き、ウォルに攻撃は任せレイランとシャールクは風の魔法を作り出し

「ウォル!」

 シャールクの合図でゴーレムの前から、飛び退くウォル。そして二人による強風で飛ばされたゴーレムはアルベルドの元へ飛んでいくと、アルベルドは盾に膨大な魔力を溜め込みゴーレムが二体近くに揃った瞬間、盾を地面へと叩きつけ膨大な魔力を使った風の魔法を起こした。前にハサミムシを飛ばした時より強力な竜巻が起こり、地面から空へと巨体のゴーレムを吹き飛ばしてしまった。

「おお~吹き飛んでった~」
「おお~すげぇ」
「アルベルド、倒さなくて良いのか?」
「あいつらは、刃が通りづらいが衝撃には弱いんだ。こうやって、吹き飛ばしてしまえば、後は自重による落下の衝撃で」

ドンッ!!!!!


「砕け散るんだ。一番簡単な倒し方はこれだな」

 疑問を持ったウォルにアルベルドが説明していると、ゴーレムが落ちただろう音が鳴り響いた。俺はシャールクとレイランと一緒にアルベルドが魔法を起こした場所を見ているんだけど・・・・

「・・・・やりすぎじゃね?」
「あら、もう一種のクレーターね」
「わぁ~大きな穴」

 アルベルドが魔法を発動した場所は、大きな凹みになっていて地面を抉りズタズタに引き裂いていた。それを見たアルベルドは、表情変える事無く

「先に進むぞ」

 俺達は大きな音を立てたことによって集まってくるかもしれない魔獣達から逃げる等に先に進んだ。
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

転生したら貴族の息子の友人A(庶民)になりました。

ファンタジー
〈あらすじ〉 信号無視で突っ込んできたトラックに轢かれそうになった子どもを助けて代わりに轢かれた俺。 目が覚めると、そこは異世界!? あぁ、よくあるやつか。 食堂兼居酒屋を営む両親の元に転生した俺は、庶民なのに、領主の息子、つまりは貴族の坊ちゃんと関わることに…… 面倒ごとは御免なんだが。 魔力量“だけ”チートな主人公が、店を手伝いながら、学校で学びながら、冒険もしながら、領主の息子をからかいつつ(オイ)、のんびり(できたらいいな)ライフを満喫するお話。 誤字脱字の訂正、感想、などなど、お待ちしております。 やんわり決まってるけど、大体行き当たりばったりです。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。

sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。 目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。 「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」 これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。 なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

元Sランクパーティーのサポーターは引退後に英雄学園の講師に就職した。〜教え子達は見た目は美少女だが、能力は残念な子達だった。〜

アノマロカリス
ファンタジー
主人公のテルパは、Sランク冒険者パーティーの有能なサポーターだった。 だが、そんな彼は…? Sランクパーティーから役立たずとして追い出された…訳ではなく、災害級の魔獣にパーティーが挑み… パーティーの半数に多大なる被害が出て、活動が出来なくなった。 その後パーティーリーダーが解散を言い渡し、メンバー達はそれぞれの道を進む事になった。 テルパは有能なサポーターで、中級までの攻撃魔法や回復魔法に補助魔法が使えていた。 いざという時の為に攻撃する手段も兼ね揃えていた。 そんな有能なテルパなら、他の冒険者から引っ張りだこになるかと思いきや? ギルドマスターからの依頼で、魔王を討伐する為の養成学園の新人講師に選ばれたのだった。 そんなテルパの受け持つ生徒達だが…? サポーターという仕事を馬鹿にして舐め切っていた。 態度やプライドばかり高くて、手に余る5人のアブノーマルな女の子達だった。 テルパは果たして、教え子達と打ち解けてから、立派に育つのだろうか? 【題名通りの女の子達は、第二章から登場します。】 今回もHOTランキングは、最高6位でした。 皆様、有り難う御座います。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

雪月夜狐
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

処理中です...