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皇国復活編

俺、戦士達を治療するよ!

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さて、トゥトゥに頼まれたことだしさっさと治しちゃおう!戦士さんたちの体をよく見てみると、体の所々にほんの僅かだけど汚染された魔力が体内に残ってしまっているからそれが悪さをしてるんだね。これぐらいの量だったら、死ぬことは無いし時間はかかるけど体にある魔力が戦ってその内汚染された魔力は消えると思う。だけど、汚染された魔力は体の中の魔力と戦うから、酷い痛みがずっと続くだろうから早く治してあげようっ

 痛いのは嫌だよね~村で刺された時初めて痛いって感情を知ったけどあれを何度も経験するのは勘弁!

「トゥトゥ先生どういうことだ?」
「クーア殿は精霊なんだ、君達をその力で治してくれるとの事だ感謝しておきな」
「何言ってんだ精霊なんて・・・・」
「はっはっは冗談が上手くなったな先生。確かにクーアは精霊と言われても納得できる程可愛らしいがこの砂漠に精霊なんて居る訳ないだろう」
「可愛すぎてある意味精霊かもな」
「確かに!」

 戦士さんたちは俺が精霊だって信じてないみたい。まぁ確かに精霊じゃないんだけどね。

「えへへ~じゃあ、見ててね!」
「見てって何を・・・・はぁ!?」
「浮いちまったっ!」

 俺は部屋の中心で浮き上がり、手の中に少しい大きな水球を作り出す。この水球には、光属性による治療魔法と浄化の力を混ぜ飲んだだけで、あっという間に体が再生する特別な水になっている。飲ませても良いんだけど、今回は水で包んであげよう。

「水が・・・・!」
「マジか・・・・」
「俺、こんなに綺麗な水始めて見たぞ」
「ふむ」

 戦士さんたちは、俺が水を作り出したことに驚き水球に見惚れているけど、トゥトゥは何か観察するような目で見てくる。これは多分大丈夫だよね?これぐらい精霊でも出来るよね。
 取りあえずボロが出る前に早く済ませようっ俺は作り出した水球からベットに寝ているみんなに水を伸ばしていく。水は日の光と魔力によってキラキラと光りながら、空中に水の橋を架け雫が舞う。そして、伸びた水は戦士達の傍に行くと優しく体を包みこむ。戦士さんたちは体を包み込む水に驚いて、息を吸おうとしたけど大丈夫、俺の水の中なら自由に呼吸が出来るよ。
 やがて、戦士さんたちはこの水が自分を害する物ではないと分かったのか水に身を任せ目を瞑る。それじゃあ、体の隅々まで治してあげるからね~

 俺は水を戦士たちの体の隅々まで染み渡らせ体の中に残ってしまった汚染された魔力を浄化していく。この人達は長年戦ってきたみたいで、体の中は所々ボロボロだし古傷もある。この人に至っては足首が変形しちゃってるよ・・・・ぜ~んぶ俺が治してあげるよ!

 治し終わった人から順番に水から出してあげると、みんな自分の体の具合を確かめ始めた。

「すげぇ本当に治ってる!」
「体が痛くねぇ」
「足が治ってる!?」
「おい、古傷も治ってるぞ」
「嘘だろ・・・・」

 うんうん、しっかり治ってるみたいだね!俺は最後の一人の治療を終わると、地面に足を付けトゥトゥを見て

「終わったよ~」
「凄まじいな・・・・精霊の力ここまでの物とは・・・・医者顔負けだ」
「トゥトゥが治してくれたら俺が治せたんだよ~」

 俺は何処にでもいる訳じゃないから怪我をした人が居ても、すぐに治療が出来る訳じゃない。だから、何時でも治療できて、みんなに寄り添って治療できる人が必要なんだよ。

「ふふ、気遣ってくれたのかありがとう」
「本心だよ~」

 トゥトゥと話していると、戦士の一人が俺の目の前に来るといきなり俺を抱きかかえる。その様子を見てアルベルド、ウォル、レイラン、シャールク、シャリンは息を張り詰め、何時でも攻撃できるよう構えたがこの人には敵意を感じられないから、俺は大丈夫だよとみんなに手を振ると、俺の体が宙に浮き

「うぉおおおおクーアありがとう!!!」
「可愛くて凄くて精霊だなんてクーア凄いぜ!」
「古傷まで治してくれてありがとよ!」
「もし何かあったら何時でも俺達を呼びなっ絶対に力になってやるからよ」
「ありがとよ!」
「飴くれたからお礼だよ~」

 俺は集まってきた戦士さんたちに、空中に投げられ落ちてくるとまた空中に投げられる。シャリンはその様子をハラハラしながらみてるけど、これ楽しい!!!

「あはは~面白い~!」

 浮いたり飛んだりできるけど、それとは全く別な新しい感覚。自分では制御出来ない楽しさと、落ちる時に感じる地面へ吸い込まれていくような感覚。こんなの体験したことが無い!思わず笑いがこぼれちゃう俺を、戦士さんたちは満面の笑みで投げてくれる。みんな元気になって良かった~!
 楽しくて暫くの間投げて貰っていたけど、トゥトゥが

「ほら、あんた達一応病み上がりなんだから大人しくしておきな」
「俺達はもう完全復活だぜ!」
「そうそう、元気モリモリ」
「・・・・医者の言う事は素直に聞くもんだよ」

 注意されても笑顔で動き回る戦士さんたちを、トゥトゥが睨みつけると蛇に睨まれたようにピシッと動かなくなる戦士さんたち。そして、トゥトゥが満面の笑みで

「ほら、ベットに戻りな」
「「「「はい・・・・」」」」
「クーア殿もありがとう、疲れてないか?こんなにも多くの魔力を使ったんだ休んだ方が」
「ううん、これくらい平気だから大丈夫だよ~」

 魔力量について心配してくれてるみたいだけど、俺はこれぐらいじゃどうにもならないから大丈夫だよ~それより早くみんなを治してあげないとね!

「そうか・・・・それでは次もお願いしても良いかな?」
「は~い」
「クーアありがとな!」
「無理するなよ!俺達は丈夫だから少しぐらい待ったって平気だからな」
「いっぱい食って大きくなれよ」
「みんなもお大事にね~」

 俺達は戦士さんたちにお礼を言われながら部屋を出ると、次の部屋に入って治療を始めた。次の部屋も、同じように戦士さんたちが居て同じような反応をされたんだよね~やっぱり一緒に居ると似てくるのかな~?俺の魔法に驚いたり、喜び俺を担ぎ上げたり、そして最後にはトゥトゥ先生に怒られる。この流れをもう一回したらもう、この治療院には汚染された魔力で苦しんでる人は居なくなったよ~

「ありがとうクーア殿、これでみんな苦しまずに済んだよ」
「ふふ~ん」
「お、クーアのドヤ顔なんて珍しいな」
「でもクーア殿は常にいる訳じゃないからな・・・・汚染された魔力に対する対策を考えておかなければ」

そうだね~俺達は水を作ったらすぐにネリアの町に行くことになるし・・・・だけど大丈夫!

「これから水も作るから、その水を使えばある程度の汚染された魔力なら何とかなると思うよ~」
「水を・・・・作る?」

 トゥトゥは頭を傾げウォル達を見る。

「この後、俺達とクーアの力を使って枯れてしまった水源を元に戻すつもりなんだ」
「枯れた水源と言うと・・・・あの井戸かい?」
「そうだ、シャリン殿に案内して貰おうつもりだ」
「クーア殿その水を使えば何とかなるとは・・・・?」
「水には俺の力が少なからず含まれてるから、定期的に飲んだり浴びたりすれば汚染された魔力はどうにかなるよ~リオにもお願いしてあるし」
「リオ・・・・?」
「俺と同じ水の精霊だよっ」
「精霊が二人!?」

 水源を復活させることや、水が力を持ってることより、トゥトゥ的には精霊が二人いる事が驚きみたい。そういば、精霊って希少な存在なんだっけ。

「それに水に浄化の力が宿るとは・・・・精霊の本体が水だからその性質を持ってるのか、精霊が居る大地は豊富な魔力を含むと言われているそれと同じことか?いや、だが豊富な魔力があるとしても植物が育ちやすくなると言われる程度だ。力の強い精霊なら、そこまでの影響が有るのか?」
「あ~~~~そろそろ次行った方が良いかもな」

 シャールクが大きな声を上げて、俺を抱き上げるとウォルは頷き

「早く民達の問題を解決しなければならないな」
「うむ、我々も先を急ぐからな」
「そうね、色々話したいのはやまやまなのだけど、町長案内お願いしてもいいかしら」
「あぁすぐ案内しよう」
「むむ・・・・私も見たいが今は此処に私しか居ないから出かける訳には・・・・」
「また今度見せてあげるね!またね~」
「あぁ」

 俺達は逃げるように、治療院を後にするとシャリンの案内で枯れた井戸に急ぎ向かった。
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