裏切られた水龍の俺は皇子達と国を復活させます!~俺を食べようとした奴なんかに水はあげない!~

和吉

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皇国復活編

俺、神殿の中に入るよ!2

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エルメシアと一緒に少し薄暗い長い長い地下に続く階段を下りていくと、光の魔道具が付いた複雑な紋章が刻まれている扉に辿り着いた。エルメシアはその扉を開けると、中から明るい光が溢れて来た。少し眩しかったけど、目が慣れて中に入ってみると中には、大きな部屋になっていて部屋に大量の棚が置いてあり、その棚の上には多くの石板や巻物が置いてあった。

「凄いな・・・・」
「初めて入りましたが、こんなに量が有ったんですね」
「俺も知らなかったぜ」
「ふむ、神殿が貴重な石碑を集めている事は知っていたがここまでとは」
「いっぱいだ~」
「始めて見ると驚きますよね。貴重な文書などは大神殿で全て管理しているので、どうしても数が多くなってしまうんです」

 文書や石碑、石板が所狭しとあることにウォル達も驚いているみたい。見た目からとても古そうな物から、全く汚れなく最近作られたんじゃないかと思う程綺麗な物もある。こんな数を集めるのにはどれだけ時間が掛かったんだろう。

「ここの物はすべて貴重な物なので自由に見て下さいとは言えませんが、触らず見るだけなら大丈夫です。申し訳ありません」
「こんな貴重な物が有る場所に案内していただいたんだ、謝らないで欲しい」
「そうですよ、貴重過ぎて触る気も起きません」
「うむ、もし壊してしまえば弁償では済まないからな。過去の歴史を知る手段が永遠に失われてしまうだろう、気を付けなくては」
「それで、クーアは何を見たかったの?」
「ん~今でも解読できてないやつってある?」
「勿論沢山ありますよ。言葉が失われてしまって読めなかったり、絵が書かれているだけで意味が理解できてない物も。そういったものは、仕分けてありますので、こちらへどうぞ」

 エルメシアはそう言うと俺達を部屋の奥へと案内する。大きな部屋を歩いていると、奥には多くの人が机に向き石板や巻物を見ている様だ。

「あの人達は何してるの~?」
「あれは、石碑の解読と修繕ですね。どうしても、時間が経ってしまうと劣化や破損が出てしまうものなのでそれを直してるんです。貴重な文献などは砂に埋まってしまったりしてますから、完璧な状態で残ってる物は少ないんです」
「へ~少し見ていい?」
「いいですよ」

 今修繕したり解読してるってことはまだ内容が分かって無いってことだよね。もしかしたら、あそこに手掛かりが有るかもしれない。まぁ、知らない作業だから見てみたいって気持ちもあるんだけどね。近づくと作業をしていた人は俺達に気付き立ち上がろうとしたけど、エルメシアがそれを手で制し

「作業はそのままで、今日は客人を案内してるだけなの」
「そうでしたか、あまり面白い物は無いかもしれませんがごゆっくり」
「クーア、そのままだと見づらいだろ?俺が抱っこしてあげるぜ」

 シャールクが俺を抱き上げて、机の上がよく見えるようにしてくれた。みんなが作業している机は俺の身長より大きくて見づらかったら助かる~本当は飛べばいいんだけど、まだ俺が精霊だという事をみんなに言って無いから我慢。

 机の上にある石碑や巻物を一つ一つ見ていくけど、う~ん知らない文字で俺も分からないや。そんなときは、星の魔法を使って解読すればいい。星には、今までの歴史が全て蓄積されているから文字も例外じゃない。だったら、エルディランとヴィラスの行方も星の魔法を使って見ればいいだろって思うだろうけど、俺だってすべての記憶が見れるわけじゃない。俺が見れるのは、大地の記憶や文字の記憶、この星の規則ぐらいしか見れないのだ。死んでしまった魂の循環とかも見れるけど、それは魔力を大量に使うから今は無理。
 俺は石碑の解読をするべく、星の記憶を読み取り文字を読んでいくけど・・・・

[今日は子供がハイハイをし始めたとても嬉しい、毎日どんどん成長していく、ひと時も目が離せない]
 これはある人の子供が成長していく日記だね。子供が成長していくことについて本当に嬉しそう。

[巡回報告、深夜武器を振り回す不審者が居るという通報を受け巡回したが、その正体は訓練をしている団長であった。団中には厳重注意を出し明るい場所で訓練して貰うように頼んでおいた。全く人騒がせな団長だ」
 団長さん・・・・真っ暗な場所で武器を振り回してたら危ないし怖いよ!巡回していた兵士さんも大変だな~

[きょうはおとうさんと、みずうみにいってたくさんおよぎました。おとうさんはおよぐのがとてもはやくて、おれもおなじくらいはやくおよげるようになりたいです]
 これは子供の日記かな?ちょっと読みづらいけど、楽しかったことが伝わってくるね。ん?おとうさんはしっぽをつかうのがとてもじょうず・・・・?尻尾が有る種族なんだね。

[おぉ偉大なる守護竜ヴィラス様、貴方のお姿は雄大でおこがましいですが私はあなたに恋をしてしまいました。貴方には既に伴侶が居る事は知っていますがこの気持ちが抑えられないのです。どうか私の愛の詩を受け取ってください。
貴方の声はまるで、私を包み込む風のよう
民を見守るその眼光は、慈愛に溢れ私の心は貴方の火に点けられてしまいました
私が屍になろうとも、私の愛は永遠と燃え続ける]
 ん~これは、見なかったことにしよう。こういうのって他の人が見ちゃいけないって本で書いてあった!確かに、俺に宛てた物じゃないのに勝手に見るのは悪いよね。 

 とりあえず、作業している物は全部見てみたけど特に手掛かりとなる物は無さそうだね。それにしても、何でこんな日記とかを集めてるんだろう?

「みんなこれ読めるの?」
「いえ、もう失われてしまった言語ですから読めるのは本当に一部の人だけですね。この国は、多くの種族が集まってできた物なので300年前に言語の統一をしたんです。その後その言葉を伝える事無く消えてしまい今これを読めるの本当に長寿な人のみなんです」
「ほへ~」
「竜人の方々なら読める方も居るんですが、その方達の行方を知らないで教えを乞うことも出来ないんですよね」
 
 そうなのか~だから、内容がバラバラなんだね。俺が教えてあげても良いけど、明日にはもうここを出ちゃうから色々終わって帰ってきたらみんなに読み方を教えてあげても良いかな。

「そろそろ、次に行きましょうか」
「うん!」

 ここにある奴は全部読み終わったし、まだ解読もしてないやつの所には手掛かりが有るかも。
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