裏切られた水龍の俺は皇子達と国を復活させます!~俺を食べようとした奴なんかに水はあげない!~

和吉

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皇国復活編

俺、皇都を歩くよ!7

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 俺達はベルべラン商会を出た後、大通りから出て城門の前に来ていた。此処に何の用事が有るのかというと、ウォルのお兄さんであるエルク皇子が水路を引く計画を指導してるから様子を見に来たのだ。ウォルが言うには、お兄さんはとても優秀で任せておけば大丈夫だって言ってたけど、自分達が引いた水路だし普通の水路とは少し違うから一応ね。それに、昨日預けたリオの事も気になるしね。

「凄い人だかりだな・・・・」
「いくら城門だとしても、こんなに混むはずが無いんだが」
「計画の話はもう知らせたんですよね?それが原因じゃないですか?」


 城門の前には人だかりが出来ていて、みんな興味津々で覗いてるけど兵士の人達が近づかせないように抑えている。その人だかりの奥には、水色で空を飛んでる見覚えのある小さな少年が空を飛んでいた。

「あ~リオだ!」
「この人込みの理由はリオ様かもな」
「だと思います。精霊には誰しもが会ってみたいですからね~」

 まだ実感は湧かないけど精霊は人間にとって、とても有難い存在らしい。場所によっては、神様みたいに崇め奉る場所もあるってウォルが言ってた。そんな精霊であるリオがいきなりみんなの前に現れたら、騒ぎになるのも当たり前か~

「エリク兄上も居るな」
「そうですね、行きましょうか」
「すまない、道を空けてくれ」
「・・・・?ウォル皇子!?すみません」

 人だかりは壁となり俺達が城門に近付くのを邪魔していたが、声を掛けると振り返りウォルだという事に気付いてすぐに道を空けてくれた。こういうのを見ると、ウォルって皇子様なんだな~って思うよね。人だかりを止めていた兵士さんもウォル達の事を見たら通してくれたし、みんなに顔を知られてるんだね。
 人だかりを抜けるとリオと話していたエリク皇子が俺達に気付き手を振ってくれた。皇子は昨日見たような華やかな格好して無くて、動きやすく落ち着いた格好をしている。

「エリク兄上」
「ウォルとシャールク、クーア様、どうしたんだい?」
「いえ、水路がどうなっているか気になったので。勿論エリク兄上なら問題ないと思いますが、俺達が皇都に居るのは今日までなので何か手伝えたらなと」
「ありがとう、ウォル。もう君たちが引いてきた水路の確認は出来てるんだ。それにしても、凄いねこの水は。水が引かれたところが、あっという間に大地が戻り草が生え始めてる、これは奇跡としか思えないね」
「やっほ~主!俺頑張ってるぜ~」
「お疲れ様~」

 エリク皇子は植物が戻り始めている地面を見てしみじみと語り、空を飛んでいたリオは俺達を見つけると急降下して戻って来た。

「リオ様も奇跡です。水の事なら何でも知ってますし、自由自在に操ることが出来ますので、大変助かってます」
「お~なら良かった!」
「リオ様のおかげで水路に関しては特に問題が無いんですが、一つだけ懸念が有るんです。こんな事を言うのは大変おこがましいのですが、この水を人間が飲んでも大きな影響は無いんでしょうか?ここまで、驚異的な再生力が有ると何かしら影響が有るんじゃないかと思うんですが」

 エリク皇子は俺の水が何か人間に影響をもたらせてしまうんじゃないかという不安が有るみたい。確かに植物が一瞬で育ち復活する水なんて怪しいよね~

「大丈夫だよ~人間と生き物がこの水を飲んだら少しだけ栄養が有るだけの水にしてあるから大丈夫だよ。あと、少し浄化作用が有るぐらい。傷口が一瞬で治ったり寿命が延びたり体を強化をしたりは無いよ」
「そう・・・・なんですか?」
「うん、この水は俺の一部みたいみたいな物だから相手を選んで効果を発揮するんだよ。植物達にとっては、一瞬で復活する特別な水だけど人間にとっては美味しいちょっと浄化作用のある水だね」
「そうなんですか、凄いですね・・・・」
「もし瀕死の人が居たらリオにお願いすれば一瞬で回復する水にすることも出来るはずだよ~」

 リオは俺の水を自由自在に操ることが出来ると言ってたし、水の効果を強めたり効果を変えたりも出来るはず。そう思って言ってみたけど、実際どうなんだろう?

「おう、主の言う通り出来るぜ~俺は常に水の動向を把握してるからもし死にそうな奴が水を飲んだら回復できるようにしてやるぜ」
「助かります。それにしても、この水に浄化作用が・・・・民が飲むだけでなく色々な活用を方法がありますね。まずは、医師にこの水の検証をして貰いましょう」
「流石はクーアだな」
「みんなもいつかは俺と同じような水を使えるようになると思うよ~」
「そうか、努力しないとな」

 いつかはみんな俺の水を自由に扱えるようになると思うんだよね~そうすれば、みんな便利になるし自分の力で色々出来るようになるよね。

「取りあえず、水はまず住宅の中心地となってるプロスの方に通すことに決まったよ。少し離れているのでまずはリオ様の力を借りて、そっちに通した後大通りを魔法師団の力を借りて通すことになってる。長くても一月以内で皇都全体に水を通せるはずだ。その後、私は皇都を出て町と町を繋ぐ水路を引きに行くことになった」
「そうですか、エリク兄上、リオ様お願いします」
「俺も居るからまっかせろ~何なら俺だけで町に水を引けるんだけど、それじゃ不味いんだよな?」
「そうですね、大変ありがたいのですが色々と混乱を招かねかねないので」
「ま、俺は主のお願いに従ってあんたの言う事を聞くぜ」

 リオはそう言うと空高く飛んで行ってしまった。リオは水のように自由で、水のように強い力を持っている。そんなリオが付いてくれるんだったらウォルも安心だと思う。

「エリク兄上大変だと思いますが、ご健闘を祈ってます」
「ははっウォルに比べれば楽な物だよ。それと、すまないウォル達の手柄を僕が横取りしたような形になってしまうだろう?」
「次期王になる兄上に必要な功績ですから、俺は気にしていません」
「はぁ~今度お礼を用意しておくよ」
「それでは、失礼します」

 俺達はそう言って城門から離れ大通りに戻ったけど、ウォルはそれでいいのかな?

「ウォルは王様になりたくないの~?」
「俺は王に向かない」
「そう?真面目で優しいからウォルは向いてると思うけど」
「ないない、ウォルは王には向いてないって」
「え~?」

 俺が聞いたことが可笑しかったのかシャールクは笑ってる。それにレイランとアルベルドも少し笑ってるね。

「ウォルは、体を動かすことが好きだし何時も城から出て冒険するんだって言ってたんだ。頭を動かし続ける事務作業は嫌いだし、常に仕事に追われるのは耐えられないと思うぜ」
「ですね、幼い頃からやんちゃでしたし王になる事を嫌がってました」
「そんな事より、俺はエルディラン様とヴィラス様を見つける旅に出るんだっていつも言ってました」
「申し訳ないが王位を継ぐ兄上が居て良かったと思ってる。俺は絶対に王になりたくないから、父上のあの作業量を見るとぞっとする」
「クーアの加護を貰った事によって次期王をウォル皇子にする可能性の話もありましたね。王がその可能性を消しましたが」
「え~なんで?」
「俺が元々父上に言ってあるんだ。もし、俺が水を見つけ出したとしても俺は王になるつもりは無いと。水不足を解決する手段を見つけるという事は、英雄と呼ばれるほどの偉業なんだ。その偉業で王候補に民から推薦される可能性が出るから、予め断っておいたんだ」
「あ~だから王様がその可能性を消したんだね」
「あぁ、父上は俺の性格をよく分かってくれてるからな」

 ウォルが王様になったら良い国になると思ったんだけど、本人が嫌がってるならやる必要なんてないよね。それに俺は、何時までもウォル達と一緒に居たいし遊べる時間が減ったら悲しいから、今の方がいっか!
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