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皇国復活編

俺、皇都を歩くよ!6

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 俺達はアルベルドを待っている間シャールクのお父さんとお姉さんと雑談をして待つことに。ウォルはお父さんと、シャールクはお姉さんと話してレイランはもう一回商品を見に行ってしまった。

「最近なんか鎮魂の地らへんの話聞いた?」
「ん~一年前からそんなに変わって無いわね。水に悩まされてるけど、水源が枯れた訳じゃないから何とか持ってる。争いも魔物に襲われて町が大きな被害を受けたって話も聞かない。だけど、最近ヴィレン山脈で白風の一族が動き出してるって話は聞いたわ」
「ん?それの何がおかしいんだ?もともとヴィレン山脈は白風の一族の領地だろ」
「それがね、何かを探してるみたいなのよ」
「何を?」
「そこまでは、分からないわ。だけど、今までずっと領地と山脈を守ってきた白風の一族が動き出したってのは確かみたいね。あの一族の事だからきっとヴィラス様に関係ある事でしょうね」
「そうか・・・・じゃあ、一番支援を欲してる町は分かる?」
「そうね・・・・年々疲労していってるけど私達も商品を届けてるからひっ迫した状態にある町は無いわね。敢えて言うならネリアね。ネリアの町を支えている、サトウキビが育たなくなってしまって収益が落ちてるし、水を汲みに行く場所まで遠いから大変そうにしてるわ」
「じゃあ、まずはネリアに行った方が良いか・・・・」
「そうね、ネリアに行くんなら。ボロスとサイドを通ると良いわよ」

 どうやらネリアって言う場所が色々大変みたい。シャールクは悩んでいるけど、俺達はネリアに行くことになりそう。一体どんなところなんだろうな~

「国の状況はどうですか?」
「何処も水不足ですが、今に始まったことじゃないですからね。みんな色々工夫して耐えてますし、皇都から物資も送ってますから何とかなってますね
。まぁ年々商品は減ってしまってますけど、仕方ない事です」
「そうか・・・・」
「ですが、皇子達が引いてくれた水路によってきっと良い方向に行くでしょうね」
「うむ、そうなるよう全力を尽くそう。外国の動きはどうだ?」
「何処も自分の国の事で大変みたいですね。まだあの大戦の影響が何処にも残ってますし、減った国力を戻すのに他国を気にしてる余裕はないみたいです」
「エルローとリリエルはどうだ?」
「あそこは治安の悪化が酷いですね。王が民や兵を纏めきれてないし、経済だって回ってない。金さえ積めば入れるので、荒くれ者達の巣窟になってます」
「ふむ・・・・取りあえずは大丈夫そうか。あの国達は何をしでかすか分からないからな・・・・」
「外国人はほぼ入って来てないですね。私達も目を配っておきます」
「頼む」

 ウォルはシャールクのお父さんと難しそうな顔をしながら、色々な事を話してる。エルローとリリエルって確か大戦を起こした国だよね。今でもその二つの国を警戒してるのか~もしまた同じことが起きたら汚染された魔力は浄化して、国は俺が水で流しちゃおうかな。
 何もしてこないなら、俺が何かをすることは無いけど俺の大事な友達や友達が大事にしてる物に手を出すなら容赦はしない。

 しばらくの間二人の会話を聞いていると城へ報告に言ってアルベルドがミレイアさんと一緒に帰ってきた。宰相さんって忙しいって聞いてたけどどうしたんだろう?

「ウォル皇子クーア様そして皆さん、いきなり訪ねてしまい申し訳ありません」
「ミレイア宰相どうかしましたか?」

 シャールクのお父さんがアルベルドが連れて来たことに驚きながら聞く。

「ベルべラン会長、実はですね緊急で揃えて欲しい物が出来たのでお願いしに来たのです」
「それは一体・・・・?」
「ここに纏めてありますので、確認していただけますか?」

 ミレイアさんは紙の束を渡し、それを見ていくと段々真剣な表情に変わる会長さん。

「なるほど・・・・これだけの量となりますと難しいですね。これを明日までにですか?」
「はい、無理なお願いだという事は分かってますが」
「ふむ・・・・」
「何を頼んだの~?」

 こんなに大きな倉庫と大量の商品を持ってる会長さんが悩むなんて一体何を頼んだんだろう?

「主に食糧ですね。それと、種に布、水です。今頼んだ物資は皆さんに持ってもらって町へ届けてもらおうと考えてるんです。どうしても、私達では時間が掛かりますし、折角みなさんが大地を再生させたとしてもそれを活かすことが出来なければ意味がありませんから早めに物資を送っておきたいんです」
「布と食料は何とかなるが水と種は難しいな。何処も水不足だからそこまで在庫は無いし、今ある分全て出してしまったら皇都の住んでいる人々が困ってしまう」
「そうですか・・・・では、種はこちらで何とかします。庭園に保管されている種も出せば何とかなるはず」
「庭園の種を出すのか?」

 ウォルは驚きながら言う。ミレイアは、強く頷くと

「昨日中庭の様子を見て確信しましたが、皆様が居ればこの大地を再生することが出来ます。今のエルディラン皇国には、環境が変わってしまい育たなくなってしまった植物が数多くあり、その種を補完することによって絶滅しないように防いできました。今の皆さまの力を借りればきっと植物達を元の地に戻すことが出来るはずです。この好機見逃す訳にはいきません」
「だが、安定してからの方が良いんじゃないか?」
「確かに安定してから、着実に進めていくことも可能ですが今の皇国は皆さんが思ってるより深刻なんです。農産物の生産量は年々減りこのままでは、国民全てに食料を行き渡らせることが出来なくなります。なので、今すぐ植物の種を芽吹かせ、生産量をあげる必要が有るんです」
「ふむ・・・・」
「クーア様の力でしたら、種の状態から一瞬で実を実らせる事が出来るようになりますよね?」
「出来るよ~」

 俺の水には成長に必要な生命力が十分過ぎるほど混じっている。本当なら何年も掛けて成長する植物だとしても、俺の水を吸えばぐんぐんと成長し花を咲かせられる。後は風の魔法で花粉を運んであげてまた成長を促進させてあげれば一瞬で実らせることは出来る。

「クーア様の空間魔法が有ればきっと早くこの国を復興できるはず・・・・」
「ん~それは駄目だよ」
「え?」
「生き物に空間魔法による時間の加速は駄目なんだよ~」

 多分だけどミレイアは俺が空間魔法を使って植物を育ててるんだと思ったんだろうね。だけど、そうじゃない。俺は植物達に空間魔法は使って無いんだ。

「え?では、どうやって?」
「植物って本当に凄い力を持ってるんだよ、俺はそれを引き出してあげるだけ。空間魔法で時間を加速させるのは、生命力や栄養をしっかり上げないと拷問と同じなんだ。無理やり成長させたら植物は命を失い、すぐに枯れちゃうだろうね。人間も無理やり成長させたら、簡単に命が尽きちゃうでしょ?それと同じだよ」
「そう・・・・ですか。すみません」
「だから、空間魔法は生き物に使うのはあんまり良くないんだよね。でも、植物を成長させるのは出来るから種は俺に任せてねっ」
「お願いします!」

 ミレイアの誤解が解けたようで良かった~植物を育てる事に異論は無いし任せておいて!種が有るなら魔力は少なくて済むし、大地を再生させるのも楽になるはず。

「そういうことなら、俺らも何とかしよう。出来る限りの物資を明日までに用意しよう。スレイ忙しくなるぞ」
「はいっ」

 町に届ける物資について決まった俺達はベルべラン商会を出て、城に戻るミレイアと別れ次の場所へ向かった。
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