裏切られた水龍の俺は皇子達と国を復活させます!~俺を食べようとした奴なんかに水はあげない!~

和吉

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皇国復活編

俺、庭を案内してもらうよ!

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 二人の案内で後ろを付いていくと、さらに摩訶不思議な景色が見えてきた。風が吹くたびに色が変わる花畑やピョンピョンと飛び跳ねる果物いくらなんでもこれは・・・・

「これ、もはや魔法だね」
「あぁ流石に俺でも変だという事は分かる」
「いくら魔力が満ちていてもここまで変な植物は生まれないはずなんだけど・・・・」

 確かに魔力が溢れていれば、特殊な植物は生まれるだろうけどあくまでただの魔力であって魔法じゃない。魔法だったらここまで変な植物を作り出すことは可能だろうけど、魔力だけじゃここまでならない。

「理由はこの先にあります」
「理由・・・・?そんなこと父上達は何も言ってなかったが・・・・」
「機密という訳ではありませんが王族の方も知らない方の方が多いでしょう。私達竜人がこの場所を守っているのはただエルディラン様が居たからという理由じゃないんです」

 オーランとエリスは道の途中で立ち止まると、いきなり左を向いた。左に道は無く沢山の植物が生い茂っているだけだったがオーランが近づくと、一本の道が現れた。オーランとエリスは動じることなくその道を通っていくので俺達も付いていく。進んでいく内に周りの植物がどんどんと可笑しくなっていく。鳥の形をして飛ぶ花や歌う木の実、刃のように鋭い葉を持った木などここまで変な物が生まれるのは可笑しい。
 変な植物達に驚きながら進んでいくと道の先には、5mはある謎の物体が見えてきた。その謎の物体は大きな棒が二つ生えており二つの棒は螺旋を描き二つの棒の間を棒が結んでいる。身近な物で例えれば、梯子がグルグルと曲がった物に近い。

「何だこれは・・・・」
「これがエルディラン様の庭が重要である理由と摩訶不思議な植物が生まれる理由です」
「これが・・・・?」

 俺とウォルも初めて見た物に困惑している。ここから見ても何か分からないので取りあえず近くまで寄ってしっかりと何なのかを見極める事にした。

 謎の物体をよく見てみると、地面深くから生えており魔力を発していること。そして、何かの魔法を地面を通して庭全体の植物に掛けている事が分かった。

「なにこれ・・・・魔法を発してる?だけど、発動者が居ない?」

 魔法が発せられているなら、魔法を掛けて魔力を消費している誰かが居るはずだ。だけどいくら詳しく見ても、誰かから魔力が供給されている様子は見つからない。誰かが魔法を発動している訳じゃなくて・・・・この物体事態が魔法を発動してるんだ。この仕組みに多様な物を見たことが有る。これは・・・・

「魔道具?」
「その通りです。これはエルディラン様が作り出した魔道具です。と言っても現在使われている魔道具とは少し違いますが」
「何のためにこんな魔道具が」

 ウォルは魔道具と聞かされ更に困惑している。こんな変な植物を作り出す魔道具なんて何のために作られたんだろう。

「この魔道具は植物を改良するために作られたのです。今でもそうですが昔もこの大地が死の大地だという事は知っていますか?」
「うん、色々な事が起きて死の大地になっちゃったんだよね?」
「そうです、なのでこの土地で生活するには植物が足りなかった。エルディラン様が他の地に行き植物の種を持ってきましたが、この環境に適応できず枯れてしまうか育たないものが多数でした」
「そうだったのか・・・・」
「環境が違えば育たないものが多いもんね~」

  言われてみれば確かに、この大地は植物が育ちづらい環境になっている。いくらエルディランが水を各地にもたらしたとしても限界があるし、エルディランの属性は大地の方が強い。俺の水みたいに瀕死な状態でもあっというまに復活できる程の力は、無かったはず。だから・・・

「だから、大地と一緒に植物から変えていったんだね」
「その通りです」
「この魔道具は周囲に在る植物を、変異させ大地に適応できるよう変化させるのです。現在この国で植えられている植物は此処で一回この大地に適応させてから植えられているんです」
「つまりここはこの国の植物に関する重要施設なんです」
「ちょっと、詳しく調べてみても良い?」
「・・・・構いません」

 俺は、この植物変異装置に触れるくらい近付き隅々まで見てみる。近づいてみると大きな棒には何か刻まれている・・・・これって

「もしかして、この魔道具から今ウォル達が使っている魔道具が作られたの?」
「はい、今ある魔道具全てがこの魔道具が元になっています」

 大きな棒に刻まれていたのは、ウォル達の魔道具に刻まれていた文字に似たものだ。よく、星に届く文字を作り出せたな~と思ってたけど元々はエルディランが思い付いた物だったのか。だけど全く同じ文字じゃない、人間が使いやすいように改良をしたんだね。

「知らなかった・・・・」
「あまり知られていませんからね、この事を知っているのは本当に上層部の人間のみです」
「俺に教えても良かったのか?」
「ウォル皇子はクーア様の加護を受けていますから」
「そうか、その信頼に答えよう」

 ウォルは自分こんな事を知って良いのかと困惑していたけど、エリスは加護を持ってることが理由だという。いくら加護を持っていたとしても、善良かどうかは判断できないのに大丈夫かな?

「触っても良い?」
「えぇ、構いません」

 どんな魔法が掛けられているのか気になった俺は許可を貰って植物変異装置に触ってみる。

・・・・そういうことか

 今この庭に生えている植物達は、もはや新しい植物と言って良いほど変異してしまっている。そこまで強烈な変異を行ったら植物に深刻なダメージが有るはずなんだけど、それが無い。それを不思議に思っていたけど、触ってみて理由が分かった。
 この装置はそこまで強い魔法を発していない。植物が水が少なくても育つようにする、日差しが強くでも枯れないようにする。その程度の変異しか起こさない装置だったんだけど、長年少しずつ変異しより良くより新しい植物へと変異を繰り返したことによって今ある自然界からかけ離れた植物になっていたんだね。だから、植物にダメージが無いし繰り返し変異したことによって多種多様な植物が生まれたんだ。
 つまり、この装置は在っても自然界に影響は無いしそこまでの力は無い。もし星に影響を与えるほどの力を持っているなら、止めるか壊そうかなと思ったけどエルディランがそんなもの作る訳ないもんね。

「クーア?」

黙って魔道具を触っている俺を心配したのか、ウォルが声を掛けてくれる。

「ん?大丈夫だよ~魔法を調べてただけだから」
「そうか、それでどうだった?」
「悪い物じゃないからそのままで大丈夫だね~だけど、ここら辺にある奴は何回も変異しちゃってるから、少し遠ざけた方が良いかも」
「そうなのですか?」
「うん、何回も繰り返し変異してるから有用な植物にはなりにくいと思う。もっとおもしろ植物が生まれちゃうかもね。ま、それでも影響は無いから大丈夫だけどね」
「なるほど・・・・検討してみます」
「それにしても、植物を適応させようなんてよく考えたよね~」

 俺だったら、環境そのものを変えようとしちゃうと思う。

「えぇ流石エルディラン様です」
「やはり俺達がこうやって生活出来るのは全てエルディラン様のおかげだ」
「えぇそして、今まで積み重ねてきた人々のおかげです」

 こうやってエルディランが居た時代からの積み重ねで、今が有るんだね~
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