裏切られた水龍の俺は皇子達と国を復活させます!~俺を食べようとした奴なんかに水はあげない!~

和吉

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皇国復活編

俺、本音を言うよ!

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 町を出てからずっとずっと胸に引っかかってることが有ったんだ。どうして、俺にみんなを助けさせてくれないの?俺は守護竜じゃないからみんなを助ける権利は無いのかと。どうしてみんな辛そうなのに、みんなこの大地が復活することを望んでいるのに、その手助けをさせてくれないんだ。

 全てを俺に捧げる?
 
 みんな何もわかってない!俺はみんなにそんな事誓われても嬉しく無いし、そんな事望んだことも無い。俺はみんなに崇められて大事に大事に、守られる存在になりたい訳じゃなくて、みんなと同じになりたいんだ。

「クーア違うとは?」
「俺はみんなに守られたい訳じゃない!俺はみんなに崇められたい訳じゃない!みんなと一緒に居たいだけなの!」
「しかし・・・・」
「なんでみんなそんなに、俺を遠ざけるの?」
「そんなこと!」
「してるよ!」
「みんな俺を特別扱いして自分とは違うって!俺はただみんなと友達になりたかっただけなのに」

 俺はただウォル達みたいに笑って怒って遊んだりしてみんなと対等な存在になりたいんだ。俺が龍だから駄目なの?人間じゃないから友達になれないの?

「俺達はクーアに頼ってしまう、俺達に友達になる資格は・・・・」
「頼って良いんだよ!だって友達なんだから、頼ってくれた方が嬉しいんだよ!仲間外れにされるのが一番寂しいんだ!」
「俺達は頼る訳には・・・・」
「だから!」

 やっぱりだ、みんな俺の事を見てくれない。みんな昔に囚われて、今を見ていないんだ。みんなエルディランとヴィラスに頼って死なせてしまったことを悔やんで、また同じことを繰り返さないようにしてるけど俺はエルディランでもヴィラスでも無い!

「俺はエルディランやヴィラスじゃない!俺の名前はクーア、ウォルから貰った大事な名前で水龍のクーアだよ!!!!」

 俺は人間の姿を解いて本来の龍の姿へと戻った。

「確かに、エルディランやヴィラスに起こったことは悲しい事だと思う。同じことを繰り返さないようにするのも大事だと思う。だけど、俺はクーアなんだよ。二人とは違うんだ。俺に二人を重ねないで、俺を見て!」

 確かに俺は竜種だけど、二人の姿を重ねないで。俺はクーアでしかないんだ。

「「「「クーア・・・・」」」」
「みんなは俺が無理をしてると思ってるけど、みんなと仲間外れにされるのが一番悲しくて辛いんだ。友達の願いを叶えたい、友達を助けたいそう思うのは当たり前じゃん!」
「・・・・」
「俺はみんなだから助けたいんだ、その気持ちを否定しないで!」

 高まった感情に自然と涙があふれてしまう。溢れた涙は地面に染みを作り、そこから緑が戻っていく。

「・・・・すまない」
「ごめんなさい、クーアの事を無視して」
「押しつけだったよな・・・・」
「自分達の事しか考えていなかった・・・・」

 みんな泣きながら俺に謝ってくれた。俺はまだみんなの友達でいられるかな?

「みんなと一緒が良いんだ。こんなこと初めてで分からないけど、みんなの傍に居てみんなと一緒に色々したいんだ。だから、もっと俺を頼ってよ、やらなくていいなんて言わないでよ。俺はみんなを助けちゃ駄目なの?」
「そんな事無い!」
「じゃあ、もっと俺を頼って。二人の竜はみんなを守る道を選んだけど、俺はみんなと一緒に歩きたいんだ」

 俺は守護竜なんかになりたくない、世界の運命とか世界のバランスとかどうでも良いんだ。ただ俺は俺としてみんなの友達としてこの先を生きていたいんだ。俺の力をいつ使うかは自分で決めるし、文句を言う竜が居るんだったら俺が全て倒してあげる。だから・・・・

「クーアすまなかった・・・・誓いを撤回する」
「俺も」
「私も」
「俺もだ」

 みんなそういうと泣きながら、跪いていた状態から立ち上がると手を俺に伸ばし

「クーア友達になってくれないか?」
「友達になって欲しい」
「友達になりましょう」
「友達になろうぜ!」
「うん!」

 俺は涙が止まらないけど、目一杯の笑顔を浮かべみんなの手を取った。

「俺は誓うよ何時までもクーアの友達であることを」
「何時までも友達でいましょうね」
「色んな所に一緒に行こうぜ!」
「うむ!何処までも一緒に」
「うん、一緒に居ようね!」

 泣きながら笑い合う俺達、今まで何も言わなかったホーン司祭がそっと

「龍と人との間に今誓いは結ばれました」

 そうこれは俺の誓いだ。何時までもみんなと一緒に過ごして友達でいると決めたんだ、この誓いを破ろうとしてくる奴なんて全部俺とウォル達でやっつけてやるんだ。だから、ウォル、レイラン、アルベルド、シャールク、友達として望みを言って欲しい。

「クーア一緒にこの国を救って欲しい」
「まっかっせてっ!!!」

 俺はずっと考えていたプレゼントを今みんなに渡そうと思う。特別で俺の力がこもった素敵なプレゼント。みんなとこれから一緒に進んでいくための、大事なプレゼント。
 俺は全意識を集中させ、俺の魔力が籠った特別な水球を4つ作り出す。その水球は星空のように輝き、水のように澄んでいる。見る角度によって全く違う景色を見せるこの水球は、俺の魂の力を分けた特別な物。これを飲めば、俺の魂の一部と加護を与えることになる。そうすれば一緒に大地を復活させられる。

「みんなにこれをあげる。飲んでっ」
「美しいな・・・・ありがたく貰おう」
「えぇまるで満天の星空ね」
「綺麗~流石クーア!」
「飲むのが惜しいくらいだ」

 みんな迷うことなく受け取ってくれた。そして一斉に飲むと、みんなの体から魔力溢れ出す。溢れ出した魔力は目に映る程の輝きを放ち、周囲を照らしていく。

「クーアこれは!?」
「俺の加護だよ!それがあれば俺と一緒に魔法が使える。みんなで一緒に大地を再生することが出来るんだよ!」
「!!それは、嬉しいな」
「素敵な贈り物をありがとう」
「これでクーアと一緒だな!」
「あぁ俺達も力を貸せる」
「俺が全て復活させちゃうのは違うでしょ?だからみんなで一緒に大地を復活させる方法を考えてたんだ!」
「そうか、ありがとう」
「うん!」

 良かった~みんな贈り物を喜んでくれたみたい。俺の加護があれば俺と同じような魔法が使えるようになるし、俺と一緒に魔法を使うことだって出来る。それじゃあ、みんなで初めての大地の再生をしよっか!

「みんな力を貸して!」
「勿論だ」
「えぇ」
「おう!」
「あぁ!」

 みんなは俺が何をしようとしてるのか、わかってたみたい。みんな笑顔で俺の体に触れて目を瞑り意識を集中させる。俺も一緒に目を瞑り、みんな魂へと語りかける。

(みんな聞こえる?)
(聞こえてる)
(それじゃあまず水を作り出そう!俺に合わせてね)
(任せて!/ろ!)

 俺はこの聖地に湧いていた水源の空洞を大地から見つけ出し、そこに俺の水が永遠に作られる魔法を発動させる。みんなの魔力を借りてるから、ほとんど消費は無いしあっという間に、空洞が水に満たされる。

(じゃあ、シャールクこの水を地上まで引っ張って!)
(おうよ!)

 シャールクは水を操り地中をどんどん進ませ湖の元まで進むと、勢いを弱め湖の窪みを水で満たす。

(じゃあ次はアルベルド、植物達にこの水を分けてあげて!)
(どうすれば良いんだ?)
(地面の下に水を通らせて、枯れてしまった植物に水を与えるだけでいいよ!俺も手助けするから!)
(分かった、クーアよろしくな)

 アルベルドは湖に溜まった水を地面に巡らせ、植物達の根へ水を届けてあげるこの水は俺が作り出した水だから生命力もあげられる。だけど枯れた植物を復活をさせるにはもっと魔力をあげないといけない。これはコツがいるから俺がお手本を見せてあげる。

(ふむ、そうやってやるのか・・・・)
(うん、ちょっと難しいけどね)
(次は俺がやってもいいか?)
(どうぞ~)

 アルベルドは一回見ただけで感覚を掴んだみたい。あと数回やれば俺のサポートしなくても自分で出来るようになると思う。じゃあこっちはアルベルドに任せて~次は、

(レイラン、浄化手伝って~)
(えぇ勿論、地面の下にあるあれを何とかすればいいのね?)
(そうだよ~水を使えば簡単に浄化できるからね)
(任せてっ)

 レイランは水源から水を地下深くまで水を伸ばし、染みついてしまった汚染された魔力を包み込むように浄化していく。うんうん、魔物が生まれる元になるこれが無くなれば安全になるはず。じゃあ次~

(ウォル~大地を復活させるの手伝って!)
(あぁ勿論だ)

 ウォルには大地に水を戻し栄養と生命力を戻す作業を手伝ってもらう。この作業は地味だけど大変なんだよね~土すべてに水と生命力と栄養を届けないといけないから範囲が広いのだ。
 だからウォルと分担作業で地面を復活させていく。あれ、ウォルは身体強化が得意だから魔力の操作は得意かなと思ったんだけど、あんまり得意じゃないみたい。だけど、丁寧に少しずつ真剣にやってるから俺はあんまり手伝わないでおいた。

 みんなで分担すれば大変な作業もあっという間に終わる。大地と植物、水は終わったから最後は元の状態に戻してあげるだけ。

(よ~し、そろそろ終わり!)
(次は何をやるんだ?)
(次はね~大地の記憶を読み取るよ)
(大地の記憶?)
(そう、どんなものでも昔からある物はその歴史を記録してるの。だから、その記憶を読み取れば昔の出来事や状態が分かるんだ。つまり、この大地の記憶を読み取れば、エルディランが作り出した休息地を再現できるって事!)
(なんだとっ)
(そんな事が出来るの!?)
(すごっ)
(是非復活させたいな)

 みんなそういうと思った!これは俺にしか出来ないから、みんなを記憶の世界へご招待~
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