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魔法の重要性
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「それと、クロガネは父上と戦う際凄く慎重だった印象があるな」
「確実に俺より強いですから、変に仕掛けたら反撃でやられます。なのでまずは相手の実力と戦い方を見極めないと駄目なんですよ」
「強い相手程慎重にか」
「その通りです。ですが、あまりに慎重かつ消極的なのは駄目ですよ。怯んでいる様子を見せれば相手が勢いづきますし、俺は勝てないってことを示しちゃいますから」
「ある程度交戦の意思を見せつつ、隙を狙うってことか」
「はい、行ける時は行くのが大事です」
「それと、逃げる事も多かったな」
「逃げるのは恥では無いですよ。正面から戦い相手を己の実力で叩き潰すのは、とても痛快で心躍るものですがそれはあくまで相手が自分と同等の時のみです。相手が格上だったとしたらまともに戦えば叩き潰され殺されるだけ。だから、不利な場面や相手の得意分野では決して戦わないことを徹底しないといけないんです」
よく物語や英雄譚の中で自分より格上の相手と戦い傷だらけになりながら正面から正々堂々と戦い勝利を収めた。なんて話があるけどあれは夢物語だ。本当の一部の英雄と呼ばれるような人ならば出来るのかもしれないけど俺はそんな器じゃない。互いに命が掛かっている状況で格上の相手なんかと正面から戦ったら、一撃で殺されるかても足も出ず嬲り殺し成されるかの二択だな。
「そして、逃げて逃げて逃げまくって相手の力を理解したら自分の得意分野に持ち込んで戦うんです」
「理解したのであれば、そのまま戦っても・・・・」
「駄目です。理解したとしても明確な実力差があるんですから、相手の得意分野で戦うなんて以ての外です。理解したからこそ、それを利用してこっちの得意分野に持ち込むんです。格上に勝つにはそれしか方法が無い」
「クロガネ殿の場合は、天と地を自由に駆け回る速さとどんな攻撃も避ける柔軟さに雨のように降る魔法矢に精密な魔法操作、隠匿による奇襲と怒涛の攻撃の中に混ざる搦手だな。そして俺は、相手を斬り裂く鋭く速い剣術と体術を合わせた怒涛の攻撃と避ける隙を与えない斬撃、そして重ねてきた実戦経験だな」
「自分の得意分野を理解しておくのは重要なことです。テセウの得意分野は何だ?」
戦いにおいて自分が得意なフィールド、得意な技、得意な相手そして自分が一番自信のある技と言うのは分かっておくべきだ。自分の長所は常に自分を助けてくれるからな。
「俺は・・・・クロガネのような速さや状況に応じた動きが出来るような柔軟さは無い。それに、父上のような特質した剣術や体術も無いしブレスト殿のような特別な魔法とそれを全て使いこなす技量も無い。だけど、俺の力と斧術は自信があります」
「なるほど」
確かにテセウは堅実かつ綺麗で型に収まった斧術を使いこなしている。それに今やっている訓練のおかげで、実戦でも使えるレベルになっていると思う。テセウのスキルを詳しく知っている訳では無いけど消耗が大きく何度も使える物じゃ無いけど、確かに強力な力だとは思う。長所だと思うのであれば、スキルを伸ばす訓練を考えた方が良さそうだな・・・・
「逆に俺の短所は魔法と速さが苦手だ。魔法は何とか上達したいんだが・・・・」
「すみません。魔法は俺は教えられないので・・・・」
俺の魔法は全部何となくで使っているから、決まった詠唱や術式、それに魔力操作やイメージが定まっていないので教えられないのだ。一応魔法書を読んだりしてはいるけど、使う魔法の発想を得て自分でアレンジしちまってるからな~・・・・魔法と言えばブレストだと思うんだけど。
「俺を見ても魔法は教えられないからな」
「それは、秘匿している魔法と言うことだろうか?確かにブレスト殿の魔法は今までに見たことが無い程自由で強力な魔法だったが一族の秘伝の魔法ということか?」
「いや、さっき使った魔法は俺が作った魔法なので教えたとしても使えないんですよ」
「そうなのか・・・・」
「それに俺は独学で魔法を学んでいるので、しっかりとした魔法って訳じゃないですしね」
「魔法ならシュナイザー様が教えられるんじゃないか?」
テセウが行くことになっている学院が魔法の事も教えるらしいし、その卒業生であるシュナイザー様なら魔法を教えられると思うんだけど。それに、さっきは見せなかったけど、保有している魔力の量からして強力な魔法を隠し持ってると思うんだよな~
「俺も自己流だから無理だな」
「え~・・・・衛兵の中に魔法を使える人とか居ないんですか?」
「居るには居るが、魔法を専門としている奴は居ないし、正統派の魔法を学んでいる奴は居ないな」
「揃いも揃って全滅かよ」
正統派の魔法と言うのは、詠唱と魔力操作が決められていて一つ一つの動作が型となっている魔法の事だ。魔法と言うのは独自の魔法を使う人が多いが、軍で全員が独自の魔法を使われたんじゃ統率が取れないと言うことで、多くの人間が使えて多くの人間が理解できて、統率が出来る統一された魔法が生み出されたって訳。きっとそれをテセウも学ぶことになるんだろうな。
「まぁ正統派の魔法を知らなくても二人は独自の魔法が有るから、魔法師が居なくても何とかなるだろうな。特にブレスト殿の魔法は魔法師と名乗っても良いぐらいだろう。それに我が領には優秀な兵士たちが居るから魔法師が居なくとも・・・・」
「ブレストはそうだけど、俺のは威力が低いから問題だらけだぞ。それに、魔法師ってのは状況を一つの魔法で変えるから重要だぞ。特に大規模戦になんかになったら、その重要度はグンと上がるぜ」
俺達は確かに色々な魔法を使えるけど、代々師匠から弟子へと受け継がれ、その度に研鑽され洗練され秘匿されてきた魔法と比べると俺はいたる面で完全に劣ってしまう。
「テセウ、将来軍を指揮するのであれば魔法を甘く見ちゃ駄目だ。さっきもブレスト殿の魔法を見ただろう?あの空に浮く結晶の剣一つで町と森が吹き飛ぶぞ」
「そんな魔法を使った俺が言うのもなんだが、魔物相手でも魔法を使われたら戦況が一気に変わることだってある。戦士が一番警戒すべきものは熟練した魔法師だとも言われているぐらいには、魔法師を危険視しているんだ」
「俺も魔法師が相手に居たら初手で本気を出して倒しに行くぐらいには気を付ける相手だ」
「そんなにですか」
熟練した魔法師は冷静に状況を判断し、たった一つの魔法で不利だった戦況をひっくり返してしまう程の力を持つものだ。精度・威力・範囲・条件・効果どれをとっても俺より優秀だろうな。
「俺はスキルと剣術である程度の範囲を攻撃出来るが特大魔法となれば、たった一つの魔法で何百人と死ぬことだってある」
「範囲に威力どれをとっても脅威ですよ」
「単純に考えるとブレストの強力な魔法剣が降ってくるようなものです」
「それは、怖いな」
「だから、魔法はしっかりと学んで来い。魔法を知れば、ある程度は対処可能になるからな」
「分かりました」
魔法は戦況を変える逆転の一手となることだってある。魔力を持っていて、魔法を使う才能を持っているのであればいくつかの魔法を習得しておいて損は無い。王都であればテセウに合った魔法を見つけられるだろうし、魔法への対処法を学ぶことが出来るだろうな。
「さて、そろそろ反省会は終わりだな。俺はまた仕事に戻るが三人はどうする?」
「俺はこのままテセウの指導をしようかと。ブレストが時間が有れば手伝って欲しいんだけど」
「おう、良いぞ」
「そうか、それじゃあ頑張ってくれ」
そう言ってシュナイザー様は立ち去ろうとしたが
「旦那様、少々お話が有ります」
「えっ」
「行きますよ」
「さっきので終わりなんじゃ!?」
俺達の話を静かに聞いていたリリー夫人にシュナイザー様の手を引かれ館に連れて行くがその姿は何処か情けなく泣きそうな感じがした。
「あ~あ」
「まぁ怒られて当然だな」
「父上にもいい薬になるだろう」
「それじゃあ、俺達も訓練と行こうか」
「あ、ブレストにも話はあるからな」
「え」
「テセウ、先に中庭に行っておいてくれ」
「分かった」
なに驚いた顔をしているんだ?確かに許してはいるけれど、文句が無いと言って無いだろ。さっきも言った通り強力な魔法と言うのは簡単に周囲を破壊し生き物達を絶やしてしまう程の威力を持つ。そんな馬鹿みたいにヤバイ魔法を使ったブレストにはきつく言わないとな。
「確実に俺より強いですから、変に仕掛けたら反撃でやられます。なのでまずは相手の実力と戦い方を見極めないと駄目なんですよ」
「強い相手程慎重にか」
「その通りです。ですが、あまりに慎重かつ消極的なのは駄目ですよ。怯んでいる様子を見せれば相手が勢いづきますし、俺は勝てないってことを示しちゃいますから」
「ある程度交戦の意思を見せつつ、隙を狙うってことか」
「はい、行ける時は行くのが大事です」
「それと、逃げる事も多かったな」
「逃げるのは恥では無いですよ。正面から戦い相手を己の実力で叩き潰すのは、とても痛快で心躍るものですがそれはあくまで相手が自分と同等の時のみです。相手が格上だったとしたらまともに戦えば叩き潰され殺されるだけ。だから、不利な場面や相手の得意分野では決して戦わないことを徹底しないといけないんです」
よく物語や英雄譚の中で自分より格上の相手と戦い傷だらけになりながら正面から正々堂々と戦い勝利を収めた。なんて話があるけどあれは夢物語だ。本当の一部の英雄と呼ばれるような人ならば出来るのかもしれないけど俺はそんな器じゃない。互いに命が掛かっている状況で格上の相手なんかと正面から戦ったら、一撃で殺されるかても足も出ず嬲り殺し成されるかの二択だな。
「そして、逃げて逃げて逃げまくって相手の力を理解したら自分の得意分野に持ち込んで戦うんです」
「理解したのであれば、そのまま戦っても・・・・」
「駄目です。理解したとしても明確な実力差があるんですから、相手の得意分野で戦うなんて以ての外です。理解したからこそ、それを利用してこっちの得意分野に持ち込むんです。格上に勝つにはそれしか方法が無い」
「クロガネ殿の場合は、天と地を自由に駆け回る速さとどんな攻撃も避ける柔軟さに雨のように降る魔法矢に精密な魔法操作、隠匿による奇襲と怒涛の攻撃の中に混ざる搦手だな。そして俺は、相手を斬り裂く鋭く速い剣術と体術を合わせた怒涛の攻撃と避ける隙を与えない斬撃、そして重ねてきた実戦経験だな」
「自分の得意分野を理解しておくのは重要なことです。テセウの得意分野は何だ?」
戦いにおいて自分が得意なフィールド、得意な技、得意な相手そして自分が一番自信のある技と言うのは分かっておくべきだ。自分の長所は常に自分を助けてくれるからな。
「俺は・・・・クロガネのような速さや状況に応じた動きが出来るような柔軟さは無い。それに、父上のような特質した剣術や体術も無いしブレスト殿のような特別な魔法とそれを全て使いこなす技量も無い。だけど、俺の力と斧術は自信があります」
「なるほど」
確かにテセウは堅実かつ綺麗で型に収まった斧術を使いこなしている。それに今やっている訓練のおかげで、実戦でも使えるレベルになっていると思う。テセウのスキルを詳しく知っている訳では無いけど消耗が大きく何度も使える物じゃ無いけど、確かに強力な力だとは思う。長所だと思うのであれば、スキルを伸ばす訓練を考えた方が良さそうだな・・・・
「逆に俺の短所は魔法と速さが苦手だ。魔法は何とか上達したいんだが・・・・」
「すみません。魔法は俺は教えられないので・・・・」
俺の魔法は全部何となくで使っているから、決まった詠唱や術式、それに魔力操作やイメージが定まっていないので教えられないのだ。一応魔法書を読んだりしてはいるけど、使う魔法の発想を得て自分でアレンジしちまってるからな~・・・・魔法と言えばブレストだと思うんだけど。
「俺を見ても魔法は教えられないからな」
「それは、秘匿している魔法と言うことだろうか?確かにブレスト殿の魔法は今までに見たことが無い程自由で強力な魔法だったが一族の秘伝の魔法ということか?」
「いや、さっき使った魔法は俺が作った魔法なので教えたとしても使えないんですよ」
「そうなのか・・・・」
「それに俺は独学で魔法を学んでいるので、しっかりとした魔法って訳じゃないですしね」
「魔法ならシュナイザー様が教えられるんじゃないか?」
テセウが行くことになっている学院が魔法の事も教えるらしいし、その卒業生であるシュナイザー様なら魔法を教えられると思うんだけど。それに、さっきは見せなかったけど、保有している魔力の量からして強力な魔法を隠し持ってると思うんだよな~
「俺も自己流だから無理だな」
「え~・・・・衛兵の中に魔法を使える人とか居ないんですか?」
「居るには居るが、魔法を専門としている奴は居ないし、正統派の魔法を学んでいる奴は居ないな」
「揃いも揃って全滅かよ」
正統派の魔法と言うのは、詠唱と魔力操作が決められていて一つ一つの動作が型となっている魔法の事だ。魔法と言うのは独自の魔法を使う人が多いが、軍で全員が独自の魔法を使われたんじゃ統率が取れないと言うことで、多くの人間が使えて多くの人間が理解できて、統率が出来る統一された魔法が生み出されたって訳。きっとそれをテセウも学ぶことになるんだろうな。
「まぁ正統派の魔法を知らなくても二人は独自の魔法が有るから、魔法師が居なくても何とかなるだろうな。特にブレスト殿の魔法は魔法師と名乗っても良いぐらいだろう。それに我が領には優秀な兵士たちが居るから魔法師が居なくとも・・・・」
「ブレストはそうだけど、俺のは威力が低いから問題だらけだぞ。それに、魔法師ってのは状況を一つの魔法で変えるから重要だぞ。特に大規模戦になんかになったら、その重要度はグンと上がるぜ」
俺達は確かに色々な魔法を使えるけど、代々師匠から弟子へと受け継がれ、その度に研鑽され洗練され秘匿されてきた魔法と比べると俺はいたる面で完全に劣ってしまう。
「テセウ、将来軍を指揮するのであれば魔法を甘く見ちゃ駄目だ。さっきもブレスト殿の魔法を見ただろう?あの空に浮く結晶の剣一つで町と森が吹き飛ぶぞ」
「そんな魔法を使った俺が言うのもなんだが、魔物相手でも魔法を使われたら戦況が一気に変わることだってある。戦士が一番警戒すべきものは熟練した魔法師だとも言われているぐらいには、魔法師を危険視しているんだ」
「俺も魔法師が相手に居たら初手で本気を出して倒しに行くぐらいには気を付ける相手だ」
「そんなにですか」
熟練した魔法師は冷静に状況を判断し、たった一つの魔法で不利だった戦況をひっくり返してしまう程の力を持つものだ。精度・威力・範囲・条件・効果どれをとっても俺より優秀だろうな。
「俺はスキルと剣術である程度の範囲を攻撃出来るが特大魔法となれば、たった一つの魔法で何百人と死ぬことだってある」
「範囲に威力どれをとっても脅威ですよ」
「単純に考えるとブレストの強力な魔法剣が降ってくるようなものです」
「それは、怖いな」
「だから、魔法はしっかりと学んで来い。魔法を知れば、ある程度は対処可能になるからな」
「分かりました」
魔法は戦況を変える逆転の一手となることだってある。魔力を持っていて、魔法を使う才能を持っているのであればいくつかの魔法を習得しておいて損は無い。王都であればテセウに合った魔法を見つけられるだろうし、魔法への対処法を学ぶことが出来るだろうな。
「さて、そろそろ反省会は終わりだな。俺はまた仕事に戻るが三人はどうする?」
「俺はこのままテセウの指導をしようかと。ブレストが時間が有れば手伝って欲しいんだけど」
「おう、良いぞ」
「そうか、それじゃあ頑張ってくれ」
そう言ってシュナイザー様は立ち去ろうとしたが
「旦那様、少々お話が有ります」
「えっ」
「行きますよ」
「さっきので終わりなんじゃ!?」
俺達の話を静かに聞いていたリリー夫人にシュナイザー様の手を引かれ館に連れて行くがその姿は何処か情けなく泣きそうな感じがした。
「あ~あ」
「まぁ怒られて当然だな」
「父上にもいい薬になるだろう」
「それじゃあ、俺達も訓練と行こうか」
「あ、ブレストにも話はあるからな」
「え」
「テセウ、先に中庭に行っておいてくれ」
「分かった」
なに驚いた顔をしているんだ?確かに許してはいるけれど、文句が無いと言って無いだろ。さっきも言った通り強力な魔法と言うのは簡単に周囲を破壊し生き物達を絶やしてしまう程の威力を持つ。そんな馬鹿みたいにヤバイ魔法を使ったブレストにはきつく言わないとな。
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