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極小ダンジョン
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森で起きている異変の原因がダンジョンだという事を知った俺達だが、原因が分かったとして一体どうすれば良いんだ?スタンピードを鎮めさせるには湧き出る魔物をダンジョンの魔力が減るまで倒し続けるか、ダンジョンの核となっているダンジョンコアを破壊するかの二択だった筈だ。
「さて、原因も分かったことだしこれからどうしますか?」
「どうするとは?」
「俺達が依頼されたのは森の異変の調査であって、原因の解決じゃない。クロガネも一緒に確認しただろ?」
「あ、そういえばそうだった」
本来俺達がシュナイザー様から受けた依頼は森に起きている異変の調査であって原因の究明や原因の解決ではないのだった。だから、俺達はこのダンジョンをどうにかする理由が無いのだ。
「だから、俺達にはこのダンジョンの中に入ってスタンピードを鎮めさせる理由も無いんですよ」
「それは・・・・いくら規模が小さくともスタンピードはスタンピードだろう!?冒険者にはそれを対処する義務があるはずだ」
「確かにスタンピードが発生した場合冒険者はその対処をする義務がありますが、それはあくまでギルドが宣言をした場合のみ義務が発生します。偶々発見したスタンピードを命懸けで止める理由なんて冒険者には無いんですよ」
あ~あ、またブレストあんなこと言ってるよ。確かに俺達冒険者は魔物の大量発生やスタンピードが起きた場合ギルドが行使する強制権で、その魔物を対処する義務が生まれるけど偶々遭遇したやつを命の危険に晒してまで対処する義務は無いのだ。偶然遭遇したやつの殆どがスタンピードなんて恐ろしい災害を前に逃げ出すだろうな。いくら魔物と戦って生計を立てていると言っても、やっぱり自分の命は大事だし無謀な戦いを挑む程馬鹿じゃない。
「では、このまま放っておくのか?」
「依頼に従えばこれで調査を終了してシュナイザー様に報告して終了です。例え俺れ達が去った後に大量の魔物が発生して人々を襲っても俺達に責任はありません」
「人が死んでもか?」
「えぇ、冒険者はあくまで依頼を受けて動くので報酬が無い仕事なんて人が死のうが関係ありません」
「それはあまりにも薄情じゃないか!?」
「それが現実です。冒険者は国に所属しないので民を守る義務も人を守る義務も無いんです」
「それでは俺が依頼を出そう!被害が出る前にこの異変を止めるんだ」
このダンジョンのスタンピードは規模は小さいけど、首狩りトンボにインセクトマン、インセクトウォリアーこいつらだけで衛兵達の被害は甚大になるだろうな。今まで被害が無かったのはシュナイザー様が対処してきたからだ。今回も運良く被害なく守りきれると断言できないし、被害を出さない為に早めに対処しておくのが正解だな。だけど・・・・
「ギルドを通していない依頼は受けられません」
「くっなら俺だけでもこのダンジョンの中に入る!」
「あ、偶々正解しちゃった」
あ、思わず思ったこと言っちゃった。でも、わざわざ危険なダンジョンに入ろうと思うなんて勇気あるよな~自分なりに頑張って対処しようと考えるテセウ様って俺結構良いと思うんだよな。それを聞きブレストは苦笑いを浮かべブレストは困ったように笑いながら
「ん~まぁ正解ということで良いか」
「何を言ってるんだ?」
「ブレストはこういう状況に陥った場合どう対処すれば良いのかを教えようとしてたんですよ」
「どういうことだ?」
「さっき述べた通り冒険者はあくまで依頼を完遂する者であって慈善団体では無いです。だから、こういう状況になった場合殆どの奴が見ないふりか、色々と理由づけて対処しません。薄情かと思うでしょうが命を人の為に危険に晒す人は意外と多くないものです」
「・・・・」
「そんな時にどうするかは、色々手段があるんですが。今回俺達はテセウ様の護衛という依頼を受けてますので、テセウ様が入ると言ったら俺達も入らざるおえない状況に持ってくことが出来るんですけど・・・・」
「ちょっとリスキーだよな。そのまま依頼破棄されることもあるし」
律儀な奴なら一緒に入るだろうけど、放っておかれたらテセウ様が危険になるだけだ。まぁもしそんな事をしたりすれば、ギルドの審査に掛けられて真実の宝珠っていう嘘を見抜く魔道具に掛けられて事実がバレて極刑になるだろうがな。
「なので正解としては、俺、テセウ様、ロシェさんの三人で魔物の出現を監視しクロガネだけ急いで町に戻ってシュナイザー様に報告するというのが一番だったんですよね」
「なっ・・・・はぁ・・・・また俺は間違えたのか」
「こういうのは経験と知識が必要ですから仕方が無いです。今度からはもう少し冷静に考えて下さいね。ルールの抜け穴って結構ありますから」
ブレストの言う通り俺が全力で走れば一日程度で町に着くし、ブレストが居れば湧き出る魔物なんて問題にならないからな。他にもギルドに報告して調査員を連れてきて依頼を出してもらうとか、依頼の内容には調査と問題の排除って書いてあるからそれを理由にダンジョンを攻略させるとか色々選択肢は有ったんだ。
「学ばせてくれて感謝する」
「お~大人~全くテセウ様を揶揄うなんて酷い事するな子供っぽいぞ。ブレストもテセウ様を見習えよ」
「えぇ、俺はただ教えてようと思って!」
「別に普通に教えてやれば良かったじゃんか。それを試す様な言い方しやがって」
試されたというのにテセウ様は怒る事無く受け止め感謝を示せるなんて、本当に大人だよな~ギルドの事も冒険者のことを良く知らないテセウ様をこんな風に揶揄うなんてブレストは偶に子供っぽいところあるよな。そんな意地悪なことを言わなくても最初から対処するつもりの癖にさ!
「うぐっ、ちょ謝るからその冷たい目を止めてくれ」
「やだ、ブレスト嫌い」
「ぬあああああああ」
ガキを苛めるんじゃねーよ。可哀そうなテセウ様
「・・・・ブレスト殿がとんでもなくダメージを受けてるようなんだが放っておいて良いのだろうか?」
「良いよあんな人」
「ぐはっ」
木に項垂れながら落ち込んでいるブレストなんかは放っておいて、テセウ様に他の対処法を優しく教え終わるとやっと回復したブレストが暗い顔をしながら
「それじゃあ、さっさと中に入って魔物を全て倒し尽くして魔力を枯らしに行くぞ~・・・・」
「あ、そっちにするんだ。てっきり俺は報告に戻るのかと」
「テセウ様が選んだ選択だからな、その通りにやった方が選択がどういう結果になるか分かるだろう?」
「なるほど。んじゃ行きますか」
「許してくれたか?」
「まだ許してない」
「・・・・」
「許して欲しいなら、しっかりみんなを守っててよ」
「勿論だ!」
中が全く分からないダンジョンに入るんだから、今まで以上に気を付けないといけない。罠や特殊効果があるかもしれないし、恐らく連戦になるだろうから気は抜けないな。
「テセウ様とロシェさんは俺から絶対に離れないこと。二人にもある程度は戦って貰うが安全第一で対処出来ない魔物には挑まないで下さいね」
「了解」
「畏まりました」
「クロガネ、行くぞ」
「はーい」
子供がギリギリ入れる程度の穴しか無いが、入り口に手を翳すと吸い込まれるようにダンジョンの中に入ることが出来た。中はジメジメと蒸していて気分が良いものではなく、うすぼけた光しか入ってこない。
「ブレスト、光!」
「あいよ」
ブレストは光魔法を使いダンジョン内を明るくすると周囲にはうじゃうじゃと
「またブラックスパイダーかよ!」
「まぁ居るよな」
「はぁ・・・・」
町の広間程度の空間の壁にブラックスパイダーがうじゃうじゃと所狭しと犇めいている。森であんなに見掛けたから居るとは思ってたけど、もう見飽きたって・・・・
「ブレスト、二人を障壁で守ってて」
「あいよ」
俺は一気に片付けるためにクロスボウに雷の魔力を籠め雷が地面に落ちて地を伝うようなイメージを固めると、今にも飛び掛かろうとしているブラックスパイダー達に六本の矢を撃ちこんだ。矢に当たった奴から隣の奴へと次々と伝播していく雷の魔法はあっという間に全てのブラックスパイダーを地に落とし倒しきった。
「流石だな」
「魔物を倒したのに消えないんだな」
「スタンピード中は魔物吸収が停止してるんだよ。だから素材丸ごと持ち帰れるぜ」
「・・・・流石にあの量は要らない」
「んじゃ俺がしまっとくよ」
ブレストの収納スキルは便利なもので触れたものを一瞬で収納できるだけでは無く、少し離れた場所に在るものを大量に入れることが出来るのだ。前にそんなスキルがあれば盗みたい放題かつ絶対捕まらないな!って言ったら頭にチョップを入れられたんだよな~褒めたつもりだったのに!
「さて、原因も分かったことだしこれからどうしますか?」
「どうするとは?」
「俺達が依頼されたのは森の異変の調査であって、原因の解決じゃない。クロガネも一緒に確認しただろ?」
「あ、そういえばそうだった」
本来俺達がシュナイザー様から受けた依頼は森に起きている異変の調査であって原因の究明や原因の解決ではないのだった。だから、俺達はこのダンジョンをどうにかする理由が無いのだ。
「だから、俺達にはこのダンジョンの中に入ってスタンピードを鎮めさせる理由も無いんですよ」
「それは・・・・いくら規模が小さくともスタンピードはスタンピードだろう!?冒険者にはそれを対処する義務があるはずだ」
「確かにスタンピードが発生した場合冒険者はその対処をする義務がありますが、それはあくまでギルドが宣言をした場合のみ義務が発生します。偶々発見したスタンピードを命懸けで止める理由なんて冒険者には無いんですよ」
あ~あ、またブレストあんなこと言ってるよ。確かに俺達冒険者は魔物の大量発生やスタンピードが起きた場合ギルドが行使する強制権で、その魔物を対処する義務が生まれるけど偶々遭遇したやつを命の危険に晒してまで対処する義務は無いのだ。偶然遭遇したやつの殆どがスタンピードなんて恐ろしい災害を前に逃げ出すだろうな。いくら魔物と戦って生計を立てていると言っても、やっぱり自分の命は大事だし無謀な戦いを挑む程馬鹿じゃない。
「では、このまま放っておくのか?」
「依頼に従えばこれで調査を終了してシュナイザー様に報告して終了です。例え俺れ達が去った後に大量の魔物が発生して人々を襲っても俺達に責任はありません」
「人が死んでもか?」
「えぇ、冒険者はあくまで依頼を受けて動くので報酬が無い仕事なんて人が死のうが関係ありません」
「それはあまりにも薄情じゃないか!?」
「それが現実です。冒険者は国に所属しないので民を守る義務も人を守る義務も無いんです」
「それでは俺が依頼を出そう!被害が出る前にこの異変を止めるんだ」
このダンジョンのスタンピードは規模は小さいけど、首狩りトンボにインセクトマン、インセクトウォリアーこいつらだけで衛兵達の被害は甚大になるだろうな。今まで被害が無かったのはシュナイザー様が対処してきたからだ。今回も運良く被害なく守りきれると断言できないし、被害を出さない為に早めに対処しておくのが正解だな。だけど・・・・
「ギルドを通していない依頼は受けられません」
「くっなら俺だけでもこのダンジョンの中に入る!」
「あ、偶々正解しちゃった」
あ、思わず思ったこと言っちゃった。でも、わざわざ危険なダンジョンに入ろうと思うなんて勇気あるよな~自分なりに頑張って対処しようと考えるテセウ様って俺結構良いと思うんだよな。それを聞きブレストは苦笑いを浮かべブレストは困ったように笑いながら
「ん~まぁ正解ということで良いか」
「何を言ってるんだ?」
「ブレストはこういう状況に陥った場合どう対処すれば良いのかを教えようとしてたんですよ」
「どういうことだ?」
「さっき述べた通り冒険者はあくまで依頼を完遂する者であって慈善団体では無いです。だから、こういう状況になった場合殆どの奴が見ないふりか、色々と理由づけて対処しません。薄情かと思うでしょうが命を人の為に危険に晒す人は意外と多くないものです」
「・・・・」
「そんな時にどうするかは、色々手段があるんですが。今回俺達はテセウ様の護衛という依頼を受けてますので、テセウ様が入ると言ったら俺達も入らざるおえない状況に持ってくことが出来るんですけど・・・・」
「ちょっとリスキーだよな。そのまま依頼破棄されることもあるし」
律儀な奴なら一緒に入るだろうけど、放っておかれたらテセウ様が危険になるだけだ。まぁもしそんな事をしたりすれば、ギルドの審査に掛けられて真実の宝珠っていう嘘を見抜く魔道具に掛けられて事実がバレて極刑になるだろうがな。
「なので正解としては、俺、テセウ様、ロシェさんの三人で魔物の出現を監視しクロガネだけ急いで町に戻ってシュナイザー様に報告するというのが一番だったんですよね」
「なっ・・・・はぁ・・・・また俺は間違えたのか」
「こういうのは経験と知識が必要ですから仕方が無いです。今度からはもう少し冷静に考えて下さいね。ルールの抜け穴って結構ありますから」
ブレストの言う通り俺が全力で走れば一日程度で町に着くし、ブレストが居れば湧き出る魔物なんて問題にならないからな。他にもギルドに報告して調査員を連れてきて依頼を出してもらうとか、依頼の内容には調査と問題の排除って書いてあるからそれを理由にダンジョンを攻略させるとか色々選択肢は有ったんだ。
「学ばせてくれて感謝する」
「お~大人~全くテセウ様を揶揄うなんて酷い事するな子供っぽいぞ。ブレストもテセウ様を見習えよ」
「えぇ、俺はただ教えてようと思って!」
「別に普通に教えてやれば良かったじゃんか。それを試す様な言い方しやがって」
試されたというのにテセウ様は怒る事無く受け止め感謝を示せるなんて、本当に大人だよな~ギルドの事も冒険者のことを良く知らないテセウ様をこんな風に揶揄うなんてブレストは偶に子供っぽいところあるよな。そんな意地悪なことを言わなくても最初から対処するつもりの癖にさ!
「うぐっ、ちょ謝るからその冷たい目を止めてくれ」
「やだ、ブレスト嫌い」
「ぬあああああああ」
ガキを苛めるんじゃねーよ。可哀そうなテセウ様
「・・・・ブレスト殿がとんでもなくダメージを受けてるようなんだが放っておいて良いのだろうか?」
「良いよあんな人」
「ぐはっ」
木に項垂れながら落ち込んでいるブレストなんかは放っておいて、テセウ様に他の対処法を優しく教え終わるとやっと回復したブレストが暗い顔をしながら
「それじゃあ、さっさと中に入って魔物を全て倒し尽くして魔力を枯らしに行くぞ~・・・・」
「あ、そっちにするんだ。てっきり俺は報告に戻るのかと」
「テセウ様が選んだ選択だからな、その通りにやった方が選択がどういう結果になるか分かるだろう?」
「なるほど。んじゃ行きますか」
「許してくれたか?」
「まだ許してない」
「・・・・」
「許して欲しいなら、しっかりみんなを守っててよ」
「勿論だ!」
中が全く分からないダンジョンに入るんだから、今まで以上に気を付けないといけない。罠や特殊効果があるかもしれないし、恐らく連戦になるだろうから気は抜けないな。
「テセウ様とロシェさんは俺から絶対に離れないこと。二人にもある程度は戦って貰うが安全第一で対処出来ない魔物には挑まないで下さいね」
「了解」
「畏まりました」
「クロガネ、行くぞ」
「はーい」
子供がギリギリ入れる程度の穴しか無いが、入り口に手を翳すと吸い込まれるようにダンジョンの中に入ることが出来た。中はジメジメと蒸していて気分が良いものではなく、うすぼけた光しか入ってこない。
「ブレスト、光!」
「あいよ」
ブレストは光魔法を使いダンジョン内を明るくすると周囲にはうじゃうじゃと
「またブラックスパイダーかよ!」
「まぁ居るよな」
「はぁ・・・・」
町の広間程度の空間の壁にブラックスパイダーがうじゃうじゃと所狭しと犇めいている。森であんなに見掛けたから居るとは思ってたけど、もう見飽きたって・・・・
「ブレスト、二人を障壁で守ってて」
「あいよ」
俺は一気に片付けるためにクロスボウに雷の魔力を籠め雷が地面に落ちて地を伝うようなイメージを固めると、今にも飛び掛かろうとしているブラックスパイダー達に六本の矢を撃ちこんだ。矢に当たった奴から隣の奴へと次々と伝播していく雷の魔法はあっという間に全てのブラックスパイダーを地に落とし倒しきった。
「流石だな」
「魔物を倒したのに消えないんだな」
「スタンピード中は魔物吸収が停止してるんだよ。だから素材丸ごと持ち帰れるぜ」
「・・・・流石にあの量は要らない」
「んじゃ俺がしまっとくよ」
ブレストの収納スキルは便利なもので触れたものを一瞬で収納できるだけでは無く、少し離れた場所に在るものを大量に入れることが出来るのだ。前にそんなスキルがあれば盗みたい放題かつ絶対捕まらないな!って言ったら頭にチョップを入れられたんだよな~褒めたつもりだったのに!
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