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031 兄と姉でボクは弟
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「配信などの換金の手続きは、あと二日ほど待って欲しい。明日には他の職員が復活する見込みなんだ」
「ああ、大丈夫です。それなら、三日後のお昼にでもギルドにお伺いします」
「何から何まですまない」
「いえ、困った時はお互い様です」
三日後かぁ。
それまで何しようかな。
三人でブラブラお買い物もいいけど、さすがに街の中を連れ歩いたらダメだろうし。
「宿はちゃんと確保しておくから、気にしないでね」
「ありがとうございます」
「それとあと、その鳥のことなんだが……」
「やっぱり不味かったですか? 門番さんが許可さえ取れば大丈夫なのもいるって教えてもらったんですけど」
「そいつはテイムか何かしてある感じなのか?」
まじまじとザイオンがぽちを見る。
ぽちはどこまでも素知らぬ顔だ。
怒ることもなければ、大して反応することもない。
『人間が何見てるんだか』とでも言いそうな顔をしている。
「いえ、ボクはテイマーではないので」
「それにしては懐いてるように思えるが。モンスターっていうのは、テイマーじゃなくても、懐くもんなのか?」
その言葉に、思わずボクたちは顔を見合わせた。
もっとも、これが普通の感想だとは思う。
「前回の討伐依頼の時にその……。孵化したこのヒナと目があってしまって」
「すごーーーい。それなら、親って思われてるのね」
「みたいですね」
シーラは、すごいを連発させらながぽちを見ていた。
そんなに珍しいのかな、モンスターのヒナに親だって間違われること。
「たまたまっていうか、なんていうか」
「でもすごいよー。だって、そんな親だって思われただけなのに、こうやってちゃんとお世話してあげてるんでしょう? すごいね、偉いね」
シーラの手が、またボクの頭を撫でた。
ああ、そっちの意味だったんだ。
「偉いとかそういうのは分からないですけど……でも、あのまま置いておきたくなかったんです」
「もーねー。本当に偉いよ。うちの子にならない?」
「えええ」
「おいおいおいおい」
さすがに慌てて止めに入るザイオンの表情が楽しくて、ボクは思わず吹き出した。
「あはははは、お姉さんでお願いします」
「いいわね、それ。そーしましょう。弟が欲しかったのよ」
「ってことは、俺が長男だな」
満更でもないようなガルドが、食事片手にふむふむと頷いていた。
なんだか優しい世界だな。
こういうノリは本当に好きだ。
「本題に戻すが、街にある魔法ショップで魔物に着ける首輪が売っているはずだ。それをそのヒナにつけるといい」
「首輪ですか」
「ああ。テイムしたという証になると共に、暴走した時に止められる効果もある」
「へー。それは便利ですね」
「それとギルドからの許可証さえあれば、基本どこの街の中にでも連れていけるさ」
「それはすぐ買いに行きます!」
ああでも、そっか。
手持ちがそんなにないんだ。
前の配信料はこの旅を始めるために必要なものを買うのに使ってしまったし。
しかもお金が入るのが三日後だったっけ。
買いたいものが結構たくさんあったんだけど、どうしようかな。
「えっと……」
「街での買い物は、ギルドに付けておいてくれ。店にはこっちから通達を入れておく」
「……すみません。配信料から引いておいて下さい」
ううう、情けない。
挙動不審さがバレてたみたいだ。
もっとちゃんとお金を稼いで、貯めておかないとダメだな。
こんな風に何かあった時に困るもん。
次からはこんなことがないように気をつけよう。
「ザイオンたちの仕事が遅いせいだから何も気にすることなどない」
「言うな、ランタス。暇なら手伝ってくれてもいいんだぞ」
「無給でやるほど、暇ではない。文献などをまとめる仕事があるんでな」
「すごいですね、ランタスさんは」
「ルルド、アレは趣味だ」
ややうんざりしたようなガルドさんの顔を見ると、なんだか、うん、伝わった。
「食べることにしか趣味がない奴よりはマシだ」
「なんだとー‼」
「ちょっと、うちの可愛い弟の前で喧嘩しないで!」
ふふふ。
やっぱり楽しい。
遅くまでこんなやりとりをしつつ食事をしたボクは、ガルドに宿まで送ってもらった。
前の安宿と違い、かなりしっかりと綺麗な宿にテンションが上がりつつ、部屋に入った。
・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚
お読みいただけます読者サマに感謝
ルルドは何か忘れているような気もしますが、一旦事件はこれで解決です。
清算までのんびりとするルルドたち。
さて、この先は――
まだまだお話はもう少し続きます。
もしほんの少しでも良いと思っていただけましたなら、
ブクマ・しおり・励まし等の感想等
いただけますと作者号泣です。
最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたしますυ´• ﻌ •`υ
「ああ、大丈夫です。それなら、三日後のお昼にでもギルドにお伺いします」
「何から何まですまない」
「いえ、困った時はお互い様です」
三日後かぁ。
それまで何しようかな。
三人でブラブラお買い物もいいけど、さすがに街の中を連れ歩いたらダメだろうし。
「宿はちゃんと確保しておくから、気にしないでね」
「ありがとうございます」
「それとあと、その鳥のことなんだが……」
「やっぱり不味かったですか? 門番さんが許可さえ取れば大丈夫なのもいるって教えてもらったんですけど」
「そいつはテイムか何かしてある感じなのか?」
まじまじとザイオンがぽちを見る。
ぽちはどこまでも素知らぬ顔だ。
怒ることもなければ、大して反応することもない。
『人間が何見てるんだか』とでも言いそうな顔をしている。
「いえ、ボクはテイマーではないので」
「それにしては懐いてるように思えるが。モンスターっていうのは、テイマーじゃなくても、懐くもんなのか?」
その言葉に、思わずボクたちは顔を見合わせた。
もっとも、これが普通の感想だとは思う。
「前回の討伐依頼の時にその……。孵化したこのヒナと目があってしまって」
「すごーーーい。それなら、親って思われてるのね」
「みたいですね」
シーラは、すごいを連発させらながぽちを見ていた。
そんなに珍しいのかな、モンスターのヒナに親だって間違われること。
「たまたまっていうか、なんていうか」
「でもすごいよー。だって、そんな親だって思われただけなのに、こうやってちゃんとお世話してあげてるんでしょう? すごいね、偉いね」
シーラの手が、またボクの頭を撫でた。
ああ、そっちの意味だったんだ。
「偉いとかそういうのは分からないですけど……でも、あのまま置いておきたくなかったんです」
「もーねー。本当に偉いよ。うちの子にならない?」
「えええ」
「おいおいおいおい」
さすがに慌てて止めに入るザイオンの表情が楽しくて、ボクは思わず吹き出した。
「あはははは、お姉さんでお願いします」
「いいわね、それ。そーしましょう。弟が欲しかったのよ」
「ってことは、俺が長男だな」
満更でもないようなガルドが、食事片手にふむふむと頷いていた。
なんだか優しい世界だな。
こういうノリは本当に好きだ。
「本題に戻すが、街にある魔法ショップで魔物に着ける首輪が売っているはずだ。それをそのヒナにつけるといい」
「首輪ですか」
「ああ。テイムしたという証になると共に、暴走した時に止められる効果もある」
「へー。それは便利ですね」
「それとギルドからの許可証さえあれば、基本どこの街の中にでも連れていけるさ」
「それはすぐ買いに行きます!」
ああでも、そっか。
手持ちがそんなにないんだ。
前の配信料はこの旅を始めるために必要なものを買うのに使ってしまったし。
しかもお金が入るのが三日後だったっけ。
買いたいものが結構たくさんあったんだけど、どうしようかな。
「えっと……」
「街での買い物は、ギルドに付けておいてくれ。店にはこっちから通達を入れておく」
「……すみません。配信料から引いておいて下さい」
ううう、情けない。
挙動不審さがバレてたみたいだ。
もっとちゃんとお金を稼いで、貯めておかないとダメだな。
こんな風に何かあった時に困るもん。
次からはこんなことがないように気をつけよう。
「ザイオンたちの仕事が遅いせいだから何も気にすることなどない」
「言うな、ランタス。暇なら手伝ってくれてもいいんだぞ」
「無給でやるほど、暇ではない。文献などをまとめる仕事があるんでな」
「すごいですね、ランタスさんは」
「ルルド、アレは趣味だ」
ややうんざりしたようなガルドさんの顔を見ると、なんだか、うん、伝わった。
「食べることにしか趣味がない奴よりはマシだ」
「なんだとー‼」
「ちょっと、うちの可愛い弟の前で喧嘩しないで!」
ふふふ。
やっぱり楽しい。
遅くまでこんなやりとりをしつつ食事をしたボクは、ガルドに宿まで送ってもらった。
前の安宿と違い、かなりしっかりと綺麗な宿にテンションが上がりつつ、部屋に入った。
・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚
お読みいただけます読者サマに感謝
ルルドは何か忘れているような気もしますが、一旦事件はこれで解決です。
清算までのんびりとするルルドたち。
さて、この先は――
まだまだお話はもう少し続きます。
もしほんの少しでも良いと思っていただけましたなら、
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