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022 協力を得て
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「井戸まではさすがに地図には書かれていないんだよな」
「ああ、そうだよな。さすがにそんなもんまで書かれてないか」
「おい、おまえら知っている井戸の場所に✖を打ってくれ」
思い立ったようにザイオンは地図を掲示板に張り出す。
するとボクたちを遠巻きに見てた冒険者たちが、集まり出した。
「知っているところ、全部にお願いします。もしかしたらそのどこかにこの病の原因を探るヒントがあるかもしれないんです」
頭を下げると、みんなは少し困った顔をした後、次々に井戸の場所を記してくれた。
この分だと時間はかかるけど、見落としはなさそうだ。
「そういえば、この中で一番に疑われた井戸はどこなんですか?」
「この一番山に近いココさ」
ザイオンがバツを付けた個所を赤く〇で囲む。
たぶんここが一番の目的地じゃないかな。
だとして、他はどうなってるのか。
冒険者たちが記憶を頼りに付けてくれた×は二十個近くある。
範囲も広く、全部一日で回れるかどうか。
「ボク、あんまり井戸のことは詳しくないんですけど、これって繋がってたりするんですか?」
「ああ、地下水脈でつながってるものもある」
そっか。
繋がっているなら、あの井戸より下の井戸も一緒にダメになった経緯もなんとなくわかるかぁ。
「ちなみに、どこの井戸がどこの水脈で同じとかっていうのはわかっていたりしますか?」
ボクの言葉に、みんなは顔を見合わせた。
おー、こういうのってわかってたりしないんだ。
「もしですよ? 上の井戸に例えば問題が発生して、その下流の井戸もダメになるじゃないですか。そんな時っていうのはどうしてるんですか?」
どことどこが繋がってるって分かっていたら、きっと対策とかも簡単そうなのに。
「それはえっと、どーいう意味だ? 俺にも分かるように説明してくれルルド」
ガルドが頭をかいていた。
そんなに難しいこと聞いたつもりはなかったんだけどなぁ。
ボク、昔から説明苦手なんだよね。
ん—。なんて聞いたら伝わるかな。
「えっと。例えば、上の井戸に毒を入れられたとしたら、同じ地脈の下にあたる井戸にも毒が流れ込む可能性がありますよね」
「あー。っそうだな、たしかに」
「そういう時っていうのは、普通だったら毒を入れられた井戸だけじゃなくて下の井戸も使用禁止になったりしないんですか?」
「使用禁止か。そうだな。井戸の地脈が繋がっている井戸が分かれば、そうするかもしれないが。根本的なところで、繋がりを今まで確認できたことはない。地脈っていうのは少し複雑で、まっすぐ下の位置にある井戸と繋がっているわけじゃないからな」
ザイオンの言う通りだ。
だからこそ、どこがどこと繋がっているかを把握することは大切だと思うんだけど。
「今まではそれを確認したことはなかったってことですよね?」
「確認のしようもなかったからな」
「そうですか……」
「ルルド、もしかして確認できそうなのか?」
ランタスの瞳が好奇心に満ち溢れている。
えええ。
でもどうかな。
正確にはわからないかもしれないし。
こんなにうれしそうなランタスを裏切ることに、ならないといいけど。
「やってみないと何ともですが、たぶん大丈夫かと」
「それはありがたい。今後の街の安全のためにも頼めるだろうか?」
「はい。ボクで出来ることでしたら」
ボクが微笑むと、ザイオンはほっとしたように眉を下げる。
誰かに頼られるっていうのも、やっぱりいいな。
うん。
ボクが出来る最大限で頑張ろう。
「ガルドたちも手伝ってくれるかな?」
「もちろんさ!」
「ああ。この目で、今回のことをじっくり見させてくれ」
違う意味で一番乗り気なランタスに、ボクは思わず声を出して笑ってしまった。
「ああそれと、みなさんに一つ大事なお願いがあるんです……」
・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚
お読みいただけます読者サマに感謝
事件に次ぐまた事件
今度は病って!?
ルルドに協力的な冒険者たちの力を借りて解決を目指しますがーー
まだまだお話は続きます。
もしほんの少しでも良いと思っていただけましたなら、
ブクマ・しおり・励まし等の感想等
いただけますと作者泣いて駆け回ります。
最後までお付き合いのほど、よろしくお願いいたしますυ´• ﻌ •`υ
「ああ、そうだよな。さすがにそんなもんまで書かれてないか」
「おい、おまえら知っている井戸の場所に✖を打ってくれ」
思い立ったようにザイオンは地図を掲示板に張り出す。
するとボクたちを遠巻きに見てた冒険者たちが、集まり出した。
「知っているところ、全部にお願いします。もしかしたらそのどこかにこの病の原因を探るヒントがあるかもしれないんです」
頭を下げると、みんなは少し困った顔をした後、次々に井戸の場所を記してくれた。
この分だと時間はかかるけど、見落としはなさそうだ。
「そういえば、この中で一番に疑われた井戸はどこなんですか?」
「この一番山に近いココさ」
ザイオンがバツを付けた個所を赤く〇で囲む。
たぶんここが一番の目的地じゃないかな。
だとして、他はどうなってるのか。
冒険者たちが記憶を頼りに付けてくれた×は二十個近くある。
範囲も広く、全部一日で回れるかどうか。
「ボク、あんまり井戸のことは詳しくないんですけど、これって繋がってたりするんですか?」
「ああ、地下水脈でつながってるものもある」
そっか。
繋がっているなら、あの井戸より下の井戸も一緒にダメになった経緯もなんとなくわかるかぁ。
「ちなみに、どこの井戸がどこの水脈で同じとかっていうのはわかっていたりしますか?」
ボクの言葉に、みんなは顔を見合わせた。
おー、こういうのってわかってたりしないんだ。
「もしですよ? 上の井戸に例えば問題が発生して、その下流の井戸もダメになるじゃないですか。そんな時っていうのはどうしてるんですか?」
どことどこが繋がってるって分かっていたら、きっと対策とかも簡単そうなのに。
「それはえっと、どーいう意味だ? 俺にも分かるように説明してくれルルド」
ガルドが頭をかいていた。
そんなに難しいこと聞いたつもりはなかったんだけどなぁ。
ボク、昔から説明苦手なんだよね。
ん—。なんて聞いたら伝わるかな。
「えっと。例えば、上の井戸に毒を入れられたとしたら、同じ地脈の下にあたる井戸にも毒が流れ込む可能性がありますよね」
「あー。っそうだな、たしかに」
「そういう時っていうのは、普通だったら毒を入れられた井戸だけじゃなくて下の井戸も使用禁止になったりしないんですか?」
「使用禁止か。そうだな。井戸の地脈が繋がっている井戸が分かれば、そうするかもしれないが。根本的なところで、繋がりを今まで確認できたことはない。地脈っていうのは少し複雑で、まっすぐ下の位置にある井戸と繋がっているわけじゃないからな」
ザイオンの言う通りだ。
だからこそ、どこがどこと繋がっているかを把握することは大切だと思うんだけど。
「今まではそれを確認したことはなかったってことですよね?」
「確認のしようもなかったからな」
「そうですか……」
「ルルド、もしかして確認できそうなのか?」
ランタスの瞳が好奇心に満ち溢れている。
えええ。
でもどうかな。
正確にはわからないかもしれないし。
こんなにうれしそうなランタスを裏切ることに、ならないといいけど。
「やってみないと何ともですが、たぶん大丈夫かと」
「それはありがたい。今後の街の安全のためにも頼めるだろうか?」
「はい。ボクで出来ることでしたら」
ボクが微笑むと、ザイオンはほっとしたように眉を下げる。
誰かに頼られるっていうのも、やっぱりいいな。
うん。
ボクが出来る最大限で頑張ろう。
「ガルドたちも手伝ってくれるかな?」
「もちろんさ!」
「ああ。この目で、今回のことをじっくり見させてくれ」
違う意味で一番乗り気なランタスに、ボクは思わず声を出して笑ってしまった。
「ああそれと、みなさんに一つ大事なお願いがあるんです……」
・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚・*:.。 。.:*・゚✽.。.:*・゚
お読みいただけます読者サマに感謝
事件に次ぐまた事件
今度は病って!?
ルルドに協力的な冒険者たちの力を借りて解決を目指しますがーー
まだまだお話は続きます。
もしほんの少しでも良いと思っていただけましたなら、
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