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017 新たな配信企画を
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今朝、道中で美味しそうな木の実がなっていた。
安定にその実はアウトだったのだけど、それをお腹がすいたガルドが、もぎって食べてしまったのだ。
ダメだと言ったんだけど、もしかしたら大丈夫かもしれないと言い出してしまって。
その後、すぐにお腹を壊したガルドのために今日はここで野宿となった。
「ルルドが食べれないって言っても、誰がどう見てもあの実はうまそうだっただろ?」
「ぅん、そうだね。リーシャもあの実を食べたがっていたよ」
「だろー? フツーはそう思うよな」
「うんうん」
「だから、ルルドの警告を無視して食べた、と?」
「ほら、検証だよ、検証。おまえ、そういうの好きだろ」
まるで自分の手柄のように、ガルドはドヤ顔をしている。
ただ単にお腹が空いてたからの行動だろうけど、つっこまないでおこう。
「そうだな。あれは尊い犠牲だったと言うべきかな」
「なんだよ、その言い方。トゲありすぎだろー」
コントのような二人の会話に吹き出しそうになるのを、必死にこらえる。
「でも、本当にルルドにはすごい能力があるんだなぁー」
「ボクというより、犬の獣人に~じゃないかな?」
「同族に同じような能力があるとこを見たことはないんだったよな?」
「そうだね。あの街には、ボクと同じ種族の獣人はいなかったし」
結構大きい街だったのだか、同じ獣人に出会ったことはない。
というよりも、獣人に出会ったことがほとんどない気がする。
「獣人って少なくないですか? ボクあまり出会ったことなくて」
「そうも少なくはないのだが……」
「ルルドがいた、あの王都に近い街は基本的に獣人への差別が酷いからなぁ」
「そうなんですか?」
「気づかなかったか?」
「んー。あれが普通だと思ってたので」
ボクがそう言うと、二人は顔を見合わせた。
どうやらあの扱いは、普通ではなかったらしい。
露骨な差別をされるのは、種族のせいだって諦めていたけど。
考えたらガルドたちは、ボクに普通に接してくれるもんね。
彼らがすごく優しいからだって思ってたけど、こっちが普通なのかな。
でもそうだとしても、二人が親切でとっても優しいことにはかわりはないけどね。
「それであんな配信をさせられてたというわけか」
あの巣での振る舞いが気になった二人から、結構聞かれたんだよね。
なんとなく、過去に配信をしていたことは告げたんだけど。
「ですね。でも今になって思えば、あの街で生きて行くにはそれしかなかったですし。多少なりともお金はもらえてましたから」
サイラスたちの取り分の半分もなかったけど。
でも獣人があの街で生きて行くには、仕事がなかったわけで、もらえるだけ良かった方なんだよね。
「これからも配信を続けていくのか?」
「ああ、この前の巣での配信もさせてはもらったんですが……。ボクは戦闘とか得意じゃないから、この先はどうしようか考え中なんです」
「そうか……」
確かに、配信はお金になる。
旅を続けるならば、お金はどうしても必要だ。
今回はたまたまガルドたちがいて、その絵が撮れた。
二人も配信を流すことに了解してくれたし、旅中のご飯係をすればお金はいらないとまで言ってくれた。
だけどこんなことは、たまたまだって分かってる。
配信はした方がいいのだろうけど、ボク一人では無理があるんだよね。
「ルルドはしばらく旅を続けるのだと言っていたな?」
「え、あ、はい」
「それならその旅を配信したらどうなんだ?」
「旅を、ですか?」
ランタスの言葉に、ボクはその映像を思い浮かべる。
ボクが見て、行く先々を映像として配信する。
テレビとかでは旅番組って、確かにあったなぁ。
なんか芸能人がいろんなとこを旅して、ご当地モノを紹介したりするやつ。
異世界では見たことないけど。
「需要ありますかね?」
「ん-。どうだろーな。でも最近は過激なダンジョンものだばっかりだろ? そういうのんびりしたのもいいんじゃねーか?」
「配信は非日常を欲する人たちが見るようなものだ。別に過激だから良いというものでもない。別方向に突出すれば、一定数には見られるんじゃないかな」
二人の言うことには、確かな説得力がある。
同じような内容ばかりだと飽きてしまうし、その結果が過激さを求める形になった。
サイラスたちが全滅したところを放送したら、かなり反響があったらしい。
だからこそ、安全を求めるような声もきっと上がっているころだろう。
だったらそれを逆手にとって、のんびり旅番組だってありなはずだ。
「ダメ元ですし。どうせ旅は長いので、お二人が言うように旅配信してみます」
「たとえばその中で、さっきのような赤い実などの危険情報も流すといい」
「あー、そうですね。それだと有益な情報も含まれているから、これから旅をしたくなった人にも喜ばれますね」
「ああ。ガルドがその身で検証してくれたからな」
「ふふふ。たしかに」
ガルドはじとーっとこっちを見て何か言いたげだったが、自分から検証だと言っていた手前、何もいうことは出来なかった。
安定にその実はアウトだったのだけど、それをお腹がすいたガルドが、もぎって食べてしまったのだ。
ダメだと言ったんだけど、もしかしたら大丈夫かもしれないと言い出してしまって。
その後、すぐにお腹を壊したガルドのために今日はここで野宿となった。
「ルルドが食べれないって言っても、誰がどう見てもあの実はうまそうだっただろ?」
「ぅん、そうだね。リーシャもあの実を食べたがっていたよ」
「だろー? フツーはそう思うよな」
「うんうん」
「だから、ルルドの警告を無視して食べた、と?」
「ほら、検証だよ、検証。おまえ、そういうの好きだろ」
まるで自分の手柄のように、ガルドはドヤ顔をしている。
ただ単にお腹が空いてたからの行動だろうけど、つっこまないでおこう。
「そうだな。あれは尊い犠牲だったと言うべきかな」
「なんだよ、その言い方。トゲありすぎだろー」
コントのような二人の会話に吹き出しそうになるのを、必死にこらえる。
「でも、本当にルルドにはすごい能力があるんだなぁー」
「ボクというより、犬の獣人に~じゃないかな?」
「同族に同じような能力があるとこを見たことはないんだったよな?」
「そうだね。あの街には、ボクと同じ種族の獣人はいなかったし」
結構大きい街だったのだか、同じ獣人に出会ったことはない。
というよりも、獣人に出会ったことがほとんどない気がする。
「獣人って少なくないですか? ボクあまり出会ったことなくて」
「そうも少なくはないのだが……」
「ルルドがいた、あの王都に近い街は基本的に獣人への差別が酷いからなぁ」
「そうなんですか?」
「気づかなかったか?」
「んー。あれが普通だと思ってたので」
ボクがそう言うと、二人は顔を見合わせた。
どうやらあの扱いは、普通ではなかったらしい。
露骨な差別をされるのは、種族のせいだって諦めていたけど。
考えたらガルドたちは、ボクに普通に接してくれるもんね。
彼らがすごく優しいからだって思ってたけど、こっちが普通なのかな。
でもそうだとしても、二人が親切でとっても優しいことにはかわりはないけどね。
「それであんな配信をさせられてたというわけか」
あの巣での振る舞いが気になった二人から、結構聞かれたんだよね。
なんとなく、過去に配信をしていたことは告げたんだけど。
「ですね。でも今になって思えば、あの街で生きて行くにはそれしかなかったですし。多少なりともお金はもらえてましたから」
サイラスたちの取り分の半分もなかったけど。
でも獣人があの街で生きて行くには、仕事がなかったわけで、もらえるだけ良かった方なんだよね。
「これからも配信を続けていくのか?」
「ああ、この前の巣での配信もさせてはもらったんですが……。ボクは戦闘とか得意じゃないから、この先はどうしようか考え中なんです」
「そうか……」
確かに、配信はお金になる。
旅を続けるならば、お金はどうしても必要だ。
今回はたまたまガルドたちがいて、その絵が撮れた。
二人も配信を流すことに了解してくれたし、旅中のご飯係をすればお金はいらないとまで言ってくれた。
だけどこんなことは、たまたまだって分かってる。
配信はした方がいいのだろうけど、ボク一人では無理があるんだよね。
「ルルドはしばらく旅を続けるのだと言っていたな?」
「え、あ、はい」
「それならその旅を配信したらどうなんだ?」
「旅を、ですか?」
ランタスの言葉に、ボクはその映像を思い浮かべる。
ボクが見て、行く先々を映像として配信する。
テレビとかでは旅番組って、確かにあったなぁ。
なんか芸能人がいろんなとこを旅して、ご当地モノを紹介したりするやつ。
異世界では見たことないけど。
「需要ありますかね?」
「ん-。どうだろーな。でも最近は過激なダンジョンものだばっかりだろ? そういうのんびりしたのもいいんじゃねーか?」
「配信は非日常を欲する人たちが見るようなものだ。別に過激だから良いというものでもない。別方向に突出すれば、一定数には見られるんじゃないかな」
二人の言うことには、確かな説得力がある。
同じような内容ばかりだと飽きてしまうし、その結果が過激さを求める形になった。
サイラスたちが全滅したところを放送したら、かなり反響があったらしい。
だからこそ、安全を求めるような声もきっと上がっているころだろう。
だったらそれを逆手にとって、のんびり旅番組だってありなはずだ。
「ダメ元ですし。どうせ旅は長いので、お二人が言うように旅配信してみます」
「たとえばその中で、さっきのような赤い実などの危険情報も流すといい」
「あー、そうですね。それだと有益な情報も含まれているから、これから旅をしたくなった人にも喜ばれますね」
「ああ。ガルドがその身で検証してくれたからな」
「ふふふ。たしかに」
ガルドはじとーっとこっちを見て何か言いたげだったが、自分から検証だと言っていた手前、何もいうことは出来なかった。
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