【短編】どうも。私が悪役令嬢に嫌がらせ指導をして、ドン引きされた転生ヒロインです。

美杉日和。(旧美杉。)

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003 精一杯の嫌がらせ

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 翌日から、奇妙なことが学園の私の周りで起こり始めた。

 初めは、上靴の中に入れられた一個の画びょう。

 どこかの掲示物から落ちたのかと、それをロッカーの上に置くと、次の日には上靴いっぱいにこれでもかと画びょうが入っている。

「うん……んー。さすがにこれは……」

 どうしようかと考え、私は辺りを見渡す。
 朝早い学園の下駄箱には、まだ誰もいない。

 そう考えると、昨日の学園が終わってから入れたのか、私が来るよりも前に来て入れたのか。
 どちらにしても、大変だっただろうなぁと、関心する。

 昨日は一個だったから、ロッカーの上に片づけたけど。

 こんなに大量だもんなぁ。
 入れ物探しに行くのもめんどくさいし……。

 うん、そーだ。

 私は自分の上靴をそのままひっくり返す。
 するとたくさんの画びょうたちは、見事に下駄箱の床一面に広がっていった。

「入れた人が片づければいいよね。私のせいじゃないしー」

 我ながら名案だとばかりに、上靴をはいて教室へ向かった。


 その翌日。
 今度は机の中に、小さな虫取り器が入れられていることに気づく。
 
 ご丁寧に教科書たちは、後ろのロッカーに仕掛けた人が片づけてくれたらしい。
 
「んー。どうしようかな」

 昨日が画びょうで、今日が虫かぁ。
 あの画びょうも結構大騒ぎになったのよね。
 何せ、大量だったし。

 まぁ、私のせいじゃないけど。

 机の中から取り出した虫取り器片手に、またふと考える。
 どうしたものか。

 うん、そーだ。

 私は教授の使う机に、そのままソレを突っ込んだ。

「よし!」

 証拠隠滅~。

 だいたい犯人の目星は、あの方じゃないかって思うけど。
 でも違ったら困るもんね。

 その点教授は困ったことがあったら~って言ってくれてたし。
 お片付け、丸投げしちゃお。

「授業を始めるぞ~、って、おい、何だこれ! 誰だ、こんなもん入れた奴は!!」

 案の定教授は来た途端、大きな声を上げた。
 そして取り出した虫かごを見て、辺りは騒然となる。

 悲鳴を上げる女子生徒や、犯人は誰かと探し始める人たち。
 
 フィリア令嬢たちの方を見れば、顔を真っ赤にしながらこっちらを睨みつけていた。
 んー。なんていうかなぁ。

 やったのバレバレじゃない。
 令嬢たちが虫捕まえてる姿なんて想像は出来ないけど、基本的に学園内に使用人を入れることは出来ない。

 少なくとも私の机にアレを入れたのは、三人のうちの誰かだ。

 きっと虫なんて好きじゃないだろうに。
 頑張っても空回りしちゃってるし、可哀そうかな。

 今だって、もっと私を追い詰めるならいい方法があるのに……。

 そこまで考えてふと思考が止まる。
 うん……なんていうか、生ぬるい?
 んー。しょぼいのよね。

 レパートリーも少ないし、インパクトにもかける。
 これじゃ、全然悪役令嬢になってないじゃない。
 
 私が夢にまで憧れた世界じゃないわ。
 
「……あ、そうだ」

 我ながら良いことを思いついたとばかりに、放課後フィリア令嬢たちと対峙することを決め、早々に呼び出したのだった。
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