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 カイルは少し意地悪気な笑みを浮かべながら、強く頷いた。


「それなら、もう本当に……」


 ここにいられる。

 私にとって何にも代えがたい幸せがここにあった。

 諦めなくても良かったんだ。まだ、ううん。また、ここにいられる。

 そんな安心感が広がっていった。


「ほらまた、そんなに泣くと干からびてしまうよ」

「これはうれし涙だから、いいの。リーリエも泣いてるし」


 私はちゃんと幸せだ。

 こんなにも、こんなにも、大切な人に囲まれて。

 もっと早く二人に助けを求めていたら、もっと違っていたのかな。

 違うな。そうしていたら、私はきっと二人に負い目をずっと感じてしまっていたもの。

 方法は少し間違えてしまったけど、でも起こした行動は間違ったとは思えない。

 むしろ二人の本当の気持ちを知ることが出来たのだから。


「ティアの分だけじゃ足りないだろうから、一緒に泣いてあげるのよ」

「ありがとう、カイル様、リーリエ。私、本当に二人が大好き。二人が側にいてくれて本当に良かった。本当に、本当に……」

「馬鹿ね。それはわたしたちもよ? 大好きよティア」

「ああ。もちろんだよ、ティア。君を、心から愛してる」

「カイル様……」

「あーあ―あー、そういう惚気は、二人の時にやって下さいな」

「ご、ごめん。リーリエ」

「ふふふ。嘘よ、馬鹿ね。わたしはそんな二人のやり取りを見てるのが、ホントに好きなのよ」

「なにそれ、リーリエったら、もぅ」


 私たちは、泣きながら笑いだす。

 悪役になると決めた、あの日の涙とは全然違う温かな涙は、ただ心を満たしていった。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

テン
2023.02.13 テン

みんなが良い子で癒されました♪長編読んでみたいです!

解除
芹香
2023.02.05 芹香

面白かったです。けれども、これは完結ですか?ヒロインの叔父達の断罪が有るのでしょうか?それとも3人の友情の話として 完結なのでしょうか?

リーリエはカイルの事が好きだったんでしょうか?それともヒロインの思い込み?友情を優先して諦めた?

相手の幸せの為に 悪役令嬢を演じて、相手もその意図が分かっていた… という発想が とても面白かったです。

もし続きが有る可能性が有るなら、更新をお待ちしております~。

美杉。節約令嬢、書籍化進行中
2023.02.06 美杉。節約令嬢、書籍化進行中

芹香さま

いつもお読みいただき、また感想をいただきとてもとてもうれしく思います。

こちらの作品は、いずれ長編へ変更予定をしております。

もし完成したあかつきには、お立ち寄りいただけると幸いです。

解除

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