8 / 10
008
しおりを挟む
「私、ホントに心配して」
「馬鹿ねぇ。悪役が心配して、どーするの」
「あ……」
そう言われれば、確かにそうだ。
悪いことをしていても、素で対応してしまっていたなんて。
これは向いてないと言われても、本当に仕方ないことだろう。
それも無自覚でやってしまっていたのだから。
「リーリエがティアのいじめに便乗して、誰かにいじめられていると知れば、君がやろうとしていることを諦めると思ったんだ。でも、ティアは諦めなかった。初め、何かの理由で俺とリーリエをくっつけようとしてるのだと思ったよ」
それは半分は本当で、半分は違う。
私は本当に二人が、私の分まで幸せになってくれればいいと思っていたから。
それに今でも、それは思う。
私なんかよりも、二人はずっとお似合いだ。
なにもない、私なんかよりもずっと。
「だけど、あまりに必死なティアの様子はそれだけではないと思ったんだ。だから君の家に探りを入れた」
「カイル様、もしかして……叔父様たちのこと、知っていたのいたのですか?」
「ほんの少し前にね。でも、僕たちはとてもティアに腹が立ったんだ。どうして一言、言ってくれなかったんだい。どうしてそうやって、なんでも一人で抱え込もうとするんだい?」
「だって……言えば、迷惑がかかると……」
「それがダメなのよ。ティアにとって、わたしたちは何? そんなに、頼りなくてちっぽけな存在だったの?」
「ちがう、それは違うわ。誰よりも大切だったから」
「だったらなんで、わたしたちにとってもティアが大切だって思わないの?」
そんなことまで、考えたことなかった。
私にとって、二人はとても大事で……、でも2人にとっても、ちゃんと私が大事だったなんて。
ずっと三人一緒だった。子どもの頃からずっと。
私とカイル様が婚約をしたことで、この関係性がぎくしゃくしていると思っていたのはただの思い過ごしだったのかもしれない。
リーリエにとっても、私が大切だった。
その言葉が、胸の中のもやもやしたものを消していく。
私はずっと二人が大切だったから。ずっと側にいて欲しい人たちだったから。
「ごめん……なさい……」
「ホントに、馬鹿ね。ティアは。大嫌いよ、もう。わたしたちのことを信頼してくれないティアなんて大嫌い」
「だって大好きだったんだもん。二人とも大好きだったのぉ」
「わたしたちもよ、ティア」
リーリエはそう言いながら、涙をぽりぽろとこぼす。
今ならリーリエの言葉を素直に受け止められる。
大切な人たちに嘘を付いていたのだから。
「馬鹿ねぇ。悪役が心配して、どーするの」
「あ……」
そう言われれば、確かにそうだ。
悪いことをしていても、素で対応してしまっていたなんて。
これは向いてないと言われても、本当に仕方ないことだろう。
それも無自覚でやってしまっていたのだから。
「リーリエがティアのいじめに便乗して、誰かにいじめられていると知れば、君がやろうとしていることを諦めると思ったんだ。でも、ティアは諦めなかった。初め、何かの理由で俺とリーリエをくっつけようとしてるのだと思ったよ」
それは半分は本当で、半分は違う。
私は本当に二人が、私の分まで幸せになってくれればいいと思っていたから。
それに今でも、それは思う。
私なんかよりも、二人はずっとお似合いだ。
なにもない、私なんかよりもずっと。
「だけど、あまりに必死なティアの様子はそれだけではないと思ったんだ。だから君の家に探りを入れた」
「カイル様、もしかして……叔父様たちのこと、知っていたのいたのですか?」
「ほんの少し前にね。でも、僕たちはとてもティアに腹が立ったんだ。どうして一言、言ってくれなかったんだい。どうしてそうやって、なんでも一人で抱え込もうとするんだい?」
「だって……言えば、迷惑がかかると……」
「それがダメなのよ。ティアにとって、わたしたちは何? そんなに、頼りなくてちっぽけな存在だったの?」
「ちがう、それは違うわ。誰よりも大切だったから」
「だったらなんで、わたしたちにとってもティアが大切だって思わないの?」
そんなことまで、考えたことなかった。
私にとって、二人はとても大事で……、でも2人にとっても、ちゃんと私が大事だったなんて。
ずっと三人一緒だった。子どもの頃からずっと。
私とカイル様が婚約をしたことで、この関係性がぎくしゃくしていると思っていたのはただの思い過ごしだったのかもしれない。
リーリエにとっても、私が大切だった。
その言葉が、胸の中のもやもやしたものを消していく。
私はずっと二人が大切だったから。ずっと側にいて欲しい人たちだったから。
「ごめん……なさい……」
「ホントに、馬鹿ね。ティアは。大嫌いよ、もう。わたしたちのことを信頼してくれないティアなんて大嫌い」
「だって大好きだったんだもん。二人とも大好きだったのぉ」
「わたしたちもよ、ティア」
リーリエはそう言いながら、涙をぽりぽろとこぼす。
今ならリーリエの言葉を素直に受け止められる。
大切な人たちに嘘を付いていたのだから。
16
お気に入りに追加
111
あなたにおすすめの小説

【完結】婚約破棄されたので、全力で応援することにしました。ふふっ、幸せになってくださいね。~真実の愛を貫く代償~
新川ねこ
恋愛
ざまぁありの令嬢もの短編集です。
1作品数話(5000文字程度)の予定です。

【完結】彼女は2回目の令嬢を辞めたい。
杏
恋愛
公爵令嬢シーナは、前世が社長令嬢だったことを18歳の誕生パーティーで思い出す。
「そんな…また令嬢なんて、無理!」
社長令嬢としての煩わしさから解放されたと思ったら今度は公爵令嬢…シーナは絶望した。
シーナはなんとか令嬢から脱却したい。
目指すのはモブ!!平民として穏やかに暮らすの!!
そんなある日、平民の青年ジェーンと出会い、シーナは一目惚れをする。
※設定ゆるいです
※三話で完結です
※色々すっ飛ばして終わります
美人の偽聖女に真実の愛を見た王太子は、超デブス聖女と婚約破棄、今さら戻ってこいと言えずに国は滅ぶ
青の雀
恋愛
メープル国には二人の聖女候補がいるが、一人は超デブスな醜女、もう一人は見た目だけの超絶美人
世界旅行を続けていく中で、痩せて見違えるほどの美女に変身します。
デブスは本当の聖女で、美人は偽聖女
小国は栄え、大国は滅びる。


薬屋の一人娘、理不尽に婚約破棄されるも……
四季
恋愛
薬屋の一人娘エアリー・エメラルドは新興領地持ちの家の息子であるカイエル・トパーヅと婚約した。
しかし今、カイエルの心は、エアリーには向いておらず……。



ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる