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しおりを挟む元々、私たち三人は貴族間の階級こそ違うものの、仲の良い幼馴染だった。
いつでも三人で遊び、この学園へも共に入学した。
私とカイルの婚約は、また父と母が生きていた頃に結ばれたものだ。
そう、もう10年ほど前に。
当時はまだ幼く、婚約の意味など知らなかった私たちも、大きくなるにつれて立場が変化していった。
リーリエが私と同じようにカイルを好きなことは知っていた。
でも貴族である以上、親の決めたことには逆らえない。
そのことへの引け目から、私とリーリエの間には溝が生まれていた。
そして関係がおかしくなったのは、私の父と母が領地から戻る途中、野党に襲われ亡くなってからだ。
爵位は女では継承できない。
ましてや幼い私にはどうすることも出来ず、父の弟であった叔父が私を引き取り、そのまま爵位も家も引き継いだ。
特に叔父たちからいじめられたわけではない。
ただ彼らは、私には関心はなく、放置され続けただけ。
そのうち、父の頃からいた使用人たちが一人、また一人と辞めていった。
家の中は豪華な装飾や見たこともないような調度品であふれるようになり、知らない使用人たちが増えていった。
それでも公爵家という高い身分のあるカイルの婚約者であり続ける限り、最低限の食事やドレスは与えてもらうことが出来た。
学園に入ることはとてもお金がかかるため反対されたものの、公爵家に嫁入りしたら返すと念書を書き、やっと入学させてもらえたのだ。
だから侍女といった者たちは付けてもらえず、ここでの食費などは子どもの頃から貯めていたお金を崩して生活するしかなかった。
お金は無限ではない。
両親が死んでから、そのことが身に染みて分かった。
カイルにこのことを話せば、本当ならばどうにしかしてもらえるのだろう。
しかし私はそれだけはどうしても嫌だった。
これは私の細やかな意地。
婚約がなかったことになるまでは、せめて対等な立場でいたかった。
私は……カイルのことが本当に好きだったから……。
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