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「友理、君のしてきた数々の事は分かっているんだぞ」


 親族一同の集まった大広間に、彼の声が響き渡る。

 このシーンを見るのは、もう何度目だろう。

 おかしなこの現象は、夢なのかなんなのか。

 いつの頃からか、私はカウントをするのを辞めてしまった。


「信也……私は……」

「君の言い訳など聞きたくもない」


 信也はそう言いながら、隣にいた愛理の肩を引き寄せる。

 私と信也は親たちが決めた、婚約相手。

 家同士の繋がりとはいえ、それでも私は彼を愛していた。

 彼とお見合いで引き合わされた時に、一目惚れをしたのが始まりだ。


「どうしてなの? 私はただ……信也のことが好きだっただけのに」

「好きだっただけだと? ふざけるな。皆、知っているんだぞ! 君が愛理に嫉妬をし、今までしてきた数々の嫌がらせ。今までは目をつむってきたが、今回はもう見逃すことは出来ない」


 そう。今回も同じなのね。

 言い訳をしたとしても、事実を変えたとしても結果ココに結び付く。

 そうここは無限ループの檻の中。

 何度繰り返しても、私が悪いとされてしまう。

 ある意味悪役なのね。


「私は何もしていないわ!! 何かの間違いよ!」

「間違いだと!? ふざけるな。君が差し出したモノを食べたせいで、愛理は死にかけたのだぞ」

「信也……」


 大きな瞳に涙をいっぱい貯め、愛理が信也にしなだれかかる。

 私は何もしていない。

 初めこそ嫌がらせをしていたが、この無限ループに気づいてからは一度だってしていないのに。

 それでも変わらない未来。

 私が何をしたというのだろう。

 むしろ、被害者は私なのに……。


「君は僕と愛理との恋仲に嫉妬し、彼女を殺そうとした。最低だな」


 元とはいえ、二年近く共に過ごした婚約者への言葉。

 そこには一切の情すら、私には感じられない。


「私の言葉は信じないのね……」


 彼には、私に対する愛情は一ミリもなかったのだろうか。

 いじめてもいじめなくても、無関心でも、仲良くしていても……。

 決して変えることのできなかった未来。

 もう疲れてしまった。

 いつまでも終わらないこの無限ループに。

 あなたたちは知らないでしょう?

 私がこの後、親戚一同からどんな仕打ちを受けるか。

 誰も信じられなくなり、一人寂しく死んでいくか。

 たとえこれが、永遠に続く夢だとしても。

 私の苦しみなど一ミリも知らずに、あなたたちはただ幸せに生きていく。

 浮気をされていたのは私なのに。


「事実は事実だ! 何を信じることがある。君には失望した」

「何度も言ってるけど、私は何もしてないわ! ちゃんと、調べもしないのに私を悪者にするの?」
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