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みかの場合 2
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勝手にした結果として、家には妹が呼ばれた。
二人は楽しそうに声を掛け合いながら、ゲームに熱中している。
私が用意した食事の感想も、お礼も言うことはなく。
「もう一回いこー」
「お、いーねー」
二人がやっているゲームはオンラインでのアバターを使った通信ゲームらしい。
協力プレイなどで、その世界を自由に動き回れることが出来る。
「お。初心者みーっけ」
「カモだ、カモー。狩っちゃお」
「なー。一緒にやらないのか~? 暇だろ、おまえも」
「そーよ。お姉ちゃんもこんなに楽しいゲームやらないなんて、絶対に人生損してるって」
自由なのをいいことに、二人はPKと呼ばれる同じプレイヤーを攻撃することに生きがいを見出しているようだ。
何回か誘われたこともあるんだけど、どうも好きになれないのよね。
別にゲームが嫌いなワケじゃなくて、そういうことをしている神経が私には分からなかった。
「やることあるから大丈夫」
そう。あなたたちが適当に食べ散らかしたものの片付けや、汚した部屋を片付けないといけないからね。
それに明日は仕事なのに、こんなに遅くまでゲームとかされても困るんだけど。
ホント、呑気すぎる。
大体、ココ誰の家だと思ってるのよ。
「なんだよ。そーいうとこが、ノリが悪いって言われるんだぞ。よく会社勤めとかやっていけるよな」
会社はノリで生きているところではないので大丈夫です。
「あはははは。お姉ちゃん、ホント昔から変わらないよねー。彼氏くんに愛想尽かされちゃうぞ」
彼氏はあんたが盗っていっただけでしょう?
しかも私から奪うことだけが目的で、その後ポイ捨てする癖に。
なんだかなぁ。
二人とも大概だわ。
「おおお、こいついっちょ前に抵抗してる」
「あはははは。じわじわ殺らずに、サクっといっちゃおーよ」
「あはははは。それだと楽しくないだろ」
ゲームとはいえ、他人を殺すことが楽しい感覚ってどんなんだろう。
自分がもしやられたら、絶対に嫌だと思うのに。
そういうコトが分からない人間なんだろうなって思い始めていた。
私の中では、他人にやられて嫌なことはやらない。
この一言に尽きるのに。
「私、ここ片づけたら先に寝るね。明日も早いし」
「どーぞどーぞ」
「あたしもテキトーな時間に帰るから、お姉ちゃん気にしないで~」
「泊ってけば? こっから仕事行けばいいじゃん」
「さすがになーんにも持ってきてないもん」
「今度から荷物置いてけば?」
「あー、それいいかも」
馬鹿じゃないの? と思わず言いかけて、私は諦めた。
何を言っても、たぶん私の気持ちなど通じないだろう。
ノリが悪いか。
私もあっち側だったら、何か変わったのかな。
こんなもやもやした気持ちも、やるせなさも、何もかも……。
そんな気持ちを引きずりながら、私は奥の寝室へと入っていった。
――――――――――――――――――――――――――――――
お読みいただける皆様に感謝
現在ホラー・ミステリー小説大賞に応募しております。
もし面白いと思っていたただけましたら
お気に入りやご投票をしていただけますと
作者は感激のあまりに小躍りいたしますので、ぜひぜひ、よろしくお願いいたします(* >ω<)
二人は楽しそうに声を掛け合いながら、ゲームに熱中している。
私が用意した食事の感想も、お礼も言うことはなく。
「もう一回いこー」
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「お。初心者みーっけ」
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「なー。一緒にやらないのか~? 暇だろ、おまえも」
「そーよ。お姉ちゃんもこんなに楽しいゲームやらないなんて、絶対に人生損してるって」
自由なのをいいことに、二人はPKと呼ばれる同じプレイヤーを攻撃することに生きがいを見出しているようだ。
何回か誘われたこともあるんだけど、どうも好きになれないのよね。
別にゲームが嫌いなワケじゃなくて、そういうことをしている神経が私には分からなかった。
「やることあるから大丈夫」
そう。あなたたちが適当に食べ散らかしたものの片付けや、汚した部屋を片付けないといけないからね。
それに明日は仕事なのに、こんなに遅くまでゲームとかされても困るんだけど。
ホント、呑気すぎる。
大体、ココ誰の家だと思ってるのよ。
「なんだよ。そーいうとこが、ノリが悪いって言われるんだぞ。よく会社勤めとかやっていけるよな」
会社はノリで生きているところではないので大丈夫です。
「あはははは。お姉ちゃん、ホント昔から変わらないよねー。彼氏くんに愛想尽かされちゃうぞ」
彼氏はあんたが盗っていっただけでしょう?
しかも私から奪うことだけが目的で、その後ポイ捨てする癖に。
なんだかなぁ。
二人とも大概だわ。
「おおお、こいついっちょ前に抵抗してる」
「あはははは。じわじわ殺らずに、サクっといっちゃおーよ」
「あはははは。それだと楽しくないだろ」
ゲームとはいえ、他人を殺すことが楽しい感覚ってどんなんだろう。
自分がもしやられたら、絶対に嫌だと思うのに。
そういうコトが分からない人間なんだろうなって思い始めていた。
私の中では、他人にやられて嫌なことはやらない。
この一言に尽きるのに。
「私、ここ片づけたら先に寝るね。明日も早いし」
「どーぞどーぞ」
「あたしもテキトーな時間に帰るから、お姉ちゃん気にしないで~」
「泊ってけば? こっから仕事行けばいいじゃん」
「さすがになーんにも持ってきてないもん」
「今度から荷物置いてけば?」
「あー、それいいかも」
馬鹿じゃないの? と思わず言いかけて、私は諦めた。
何を言っても、たぶん私の気持ちなど通じないだろう。
ノリが悪いか。
私もあっち側だったら、何か変わったのかな。
こんなもやもやした気持ちも、やるせなさも、何もかも……。
そんな気持ちを引きずりながら、私は奥の寝室へと入っていった。
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