異世界転移してすぐ奴隷とか聞いてないよ

13話

モモタ視点に戻ります。




――――――

　どくどくと心臓の音か聞こえる。こちらから聞いておいてもし酷いことを言うような人だったらどうしようとか考えて、奴隷である僕はこの人と居るしかないのに。








「不安にさせていたみたいだな。本当は昨日家に着いてすぐ言うはずだったんだがな」


　さっきまでと同じ優しい渋い声が聞こえた。


「俺は隣の国、ユウノーウ帝国で軍人をしている。ウィリアム・バーナードだ。ウィルと呼んでくれ。見た目通り熊の獣人だ」



　国の名前は分からないけど軍人は多分自衛隊みたいなものだよね？やっぱり熊さんだった。ウィリアム・バーナード...ウィ...ル。奴隷の僕が良いのかな？でもご主人様が言うならいいよね。


「ウィル様？」


「(かわいい)…そうだ。人族のモモタにはよくわからない話かもしれないが、獣人には番の匂いが分かるんだ」

「つがい？すいません分からないです」

「番というのは、身体、心、魔力、魂そういう物の相性がとても良い相手のことを言う。それが獣人は匂いで感じる取るんだ」


「？？？」


「まあ人族にはない感覚だからピンと来ないよな。でもその匂いがモモタからしたと言えば分かるか？」

　それは、僕が期待しても良いのだろうか？匂い？で決める感覚は分からないけど、ウィル様が好意で僕を買ってくれたなら、僕は嬉しい。頭では期待するなと響いてるけど、心が嬉しがってしまう。

「僕が、ウィル様の番？」

「そうだ。帝国に戻れば奴隷から解放してやれる。それまでに考えてくれ。俺の伴侶となるか。俺はそれまでにモモタに好きになって貰えるように頑張るが、嫌がることはしないから安心してほしい」

「ぃ...嫌じゃない！！嫌じゃないです！！」

「！？」

　だって信用しきれない僕もいるけど、それでも、今までで一番優しくしてくれた。それだけで夢を見てるみたいで、もっと、もっとって欲しくなる。

「僕はウィル様のだから。僕も優しいウィル様とずっと居たいです」


　恥ずかしいけど言えたぁ。いつか終わるとしてもそれまで夢を見てても良い...よね。

「そうか。でもモモタはまだ子供なんだから、しっかり考えて決めてくれ」

　子供？この世界って成人何歳？僕18歳だから日本では成人してるけど。

「あの、僕18歳だけど、ここでは成人してないんですか？」



「はああああ？？？」