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8話
しおりを挟む「ご、ご主人様?」
「ほら、食べろ」
ご主人様は僕の困惑をスルーして、目玉焼きをフォークにひとかけら突き刺した物を僕の口元に持ってくる。
これは、まさかのすごく子ども扱いされているのでは...?確かにこの世界の人は全体的に大きい。あのお店に居た人達は日本人の高身長くらいだった。僕は155㎝で、ちょっと小さな方だけど...お膝の上でご飯を食べさせてもらう程の子供じゃない!
「あの」
「なんだ?」
「自分で食べれるので。それにご主人様の上に座るのはどうなんでしょうか?」
「フォークは1つしか持ってきてない。それに昨日座らしたがモモタにはテーブルが高いと思う。ここでいいだろう」
そうかもだけど、恥ずかしい。なんで奴隷の僕にこんなにやさしくするのか分からない。お店を見てて奴隷の扱いは物かペット同じ認識だと思った。
もしかして、ご主人様は好きに扱える物じゃなくてペットとして僕を買った?そんな気がしてくる。だって一緒のベットで寝て、抱っこで移動、餌付け?をされてる。これってペットにする行動だ!
僕はペット。犬や猫と同じ。だからこの状況も問題ない。奴隷としてもご主人様が良いというなら問題ない。恥ずかしくない。大丈夫!
「我儘を言ってしまってごめんなさい」
取り合えず謝ってから、ずっと口元にあった目玉焼きを食べる。
―――モグモグ
大きさは違うけど味は一緒でとりあえず安心した。
「ご主人様ありがとうございます。ご飯美味しいです」
この状況を気にしなければ、家にいた時や、お店にいた時より美味しいご飯が食べれるし、今のところ罵声や暴力は無い。学校で僕をいじめて居た人達もいない。僕にとってすごい良いことかもしれない。
「いっぱい食べるんだぞ」
それからは次々に口に運ばれてくるものを必死に食べた。苦戦したのはすごく大きいソーセージだ。熱々だし大きいし食べにくかった。でも久しぶりのお肉すごく美味しい!!じゅわって肉汁が出てきて驚いた。
「あの、もうお腹いっぱいになったので大丈夫です」
「そんなわけないだろう。目玉焼きを4分の1と、ソーセージ1つしか食べてないじゃないか」
そんなこと言われても、僕だってこんなに美味しいご飯貰えるならいっぱい食べたい。でもこんなお腹いっぱいになるまで食べた事なんて無いし、胃袋が小さいからこれ以上入らない。
「こんなに美味しいものをお腹いっぱい食べれて僕は嬉しいです。ご主人様が僕を買ったお店では、朝と晩に僕のこぶしくらいの大きさのパンと少し具が入ったスープを食べてたので、こんなにいっぱい食べたのは初めてなんです」
「……あの、僕奴隷なのにご主人様は何でこんなに良くしてくれるんですか?」
何度も思っていたことを口に出した。やっぱりペットとして買ったのかな。僕はそれで良いけど、よく考えたらご主人様に良いこととか無いし、僕は綺麗でも可愛くもない、手間のかかる人間。意味も分からずこの世界に来て、奴隷になって買われて優しくされて、美味しいご飯を与えて貰って、僕にとって都合がよすぎる。
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