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6話
しおりを挟む「...モ...タ」
近くで聞きなれない声がする。でも何だか心地良くて、まだ起きたくない。
「モモタ。朝だ」
何度目かの呼びかけでようやく目が開く。目の前には分厚い胸板。うん、デジャヴ。
「ぁ、あの。おはようございます。ご主人様」
僕は寝起きの頭をフル回転させて、なんとかご主人様への朝の挨拶をすることができた。
「おはよう。モモタ、起きれるか?」
心配を含む言い方に、昨日の醜態を再び思い出す。急いでその場に起き上がり正座をした
「きのう、昨日はその、見苦しい所を見せてしまって、その上こんないいベットで寝かせてくださり、本当にご迷惑を...ご主人様、ごめんなさい」
出来るだけ丁寧に謝ってシーツにボフリと頭をつけた。相手の反応が怖くてそのままじっとする。
ご主人様が起き上がったみたいで、シーツの擦れる音がしてベットが少し沈んだ。
「昨日のことは気にしなくていい。朝ご飯は食べれるか。といっても大したものは無いんだが。それよりまず服だった。サイズ合わないよな...どう考えても」
怒らないどころか、気にしなくていいと言っている?僕はこの世界の奴隷の扱いはまだよくわからないけど、こんな感じなのか?こんな感じで許されるのか?僕の家族はもし僕が泣くだけ泣いて何もせずに寝たら、怒鳴って一発は絶対殴るよ?
自然と頭が上がりご主人様の顔見上げる。ご主人様はもう布団から降りていて。壁際にあるクローゼットを漁っていた。
「えっと?」
「モモタ。これとかどうだ?」
どうすれば良いのか分からず、ベットの上でワタワタとテンパっていると、ご主人様がベットの上に服を並べている。
「サイズが合わないのは今は勘弁してくれな。好きなのを選んでくれ」
「あの、ご主人様の選んだもので、良いです」
僕は服のセンスとか無いし、ご主人様のセンスに頼ることにする。並べられたのもシンプルなシャツが多く、色も落ち着いていてどれでもいいような気がする。
「そうか。だったらこれを着てくれ」
ご主人様が選んだのは、リネン生地で温かみのある白のシャツだった。白なんて汚れが目立つから普段着では絶対に着ない色だ。僕の服は洗濯機を使わせてもらえないから、石鹸と家族が入ったあとのお風呂の残り湯で洗うけど、白だと落ち切らずに少しシミが残るのだ。
僕が躊躇っていると、不安そうな顔をして僕のことを見てくる。ご主人様の目の色は緑色っていう事に気がついて、すごく綺麗だと思う。
「気に入らないか?」
ぼーっとし過ぎた!
「ちっが、違います。白い服は汚れが目立つから僕なんかが着てご主人様の服を汚してしまったらと考えていました。でもご主人様が選んだから、これで良いです」
今度は勘違いされない様に急いで大きなシャツを頭からかぶる。うん、やっぱりぶかぶかだ。分かっていたけどちょっとショックだ。
「でかいけど、白色はモモタに似合うな。汚れても大丈夫だ。それはそんなに高いものではない」
「服を貸してくださりありがとうございます。嬉しく思います」
高いものじゃないって言われても、僕は買われた身分だし、お金持ってないからせめて感謝の言葉をを丁寧に言う。
服からほんのりと香る甘い果実のような匂いはご主人様の匂いなのかな?良い匂いがする。
って僕変態みたいだ!
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