4 / 15
4話
しおりを挟む
周りを観察していたらあっという間に日が暮れてしまった。日が暮れると通りは電気とは違う黄緑っぽい明かりがついて、昼間とは違った雰囲気になった。
僕と一緒に並んでいた奴隷たちも何人かは売れて、代わりに違う人が連れてこられていた。僕がずっといた部屋は商品の在庫部屋だったんだな。ここの奴隷が売れれば、僕みたいに連れてこられる。
店の前を通る人の流れを眺めていると、視線を感じて気配を探る。ちょうど僕のいる店の反対側から立ち止まって僕の方を見ているガタイの良い男の人と目が合った。男が目を見開いてこちらに近づいてくる。
僕が何か不快に思われるようなことをしたのかも!目を逸らしてさらに縮こまる。こっちに来ませんように。
「おいお前そこの兄ちゃんが買ってくれるってよ。お前のご主人様だ。さっさと挨拶しろ!」
僕の願いはかなわず、僕のことを見ていた男の人に買われたみたいだ。顔を上げて視界に入れる。熊っぽい人だっだ。それは比喩でもなく熊みたいな耳が頭の上に生えていて。体格も細マッチョではなく、それはもう圧倒的筋肉。身長も2mくらいあるじゃないかな。
「早く立つんだ!」
じっと見上げているだけの僕にしびれを切らしたお店の男が声を上げる。
僕は急いで立とうとするけど、ずっと座ってたからかふらふらする。もたもたしている僕を目の前の熊の男の人が手を伸ばしてきて僕を抱き上げた。
抱き上げられ...た。いわゆるお姫様抱っこだ。
「早くいくぞ」
混乱している僕をよそに人の流れに混じり歩き始めた。待ってこんなあっさりあの場所を離れるなんて考えてもなかった。えっとこの人が僕のご主人様になった人だから、ご主人様って呼べばいいのかな?
「あ、あの。ご主人様?僕歩けるので、その...おろしてもらえませんか?」
とりあえずこのお姫様抱っこの状態が恥ずかしくて、知らない男の人の腕の中に居るのも落ち着かなくて下ろしてもらえないか聞いてみる。
「話は俺の家に着いてからだ」
少し渋くてお腹に響いてくるようなイケボだ。じゃなくて下ろしてくれる気配はない。この人の家まで僕はこの状態なのか。よくよく考えたら僕は裸なわけで、確かにこのほうが裸で歩き回るよりはマシかも知れない。裸で男の腕の中に居るという事は一旦忘れよう。
話しかけれる空気ではないので、この人の家に着くまで黙って観察をする。
顔を見た感じ、まだオッサンとまではいかないけどお兄さんよりは年が上な気がする。30歳くらいに見える。頭の上の耳はこの位置から見えないので少し残念に思う。この後僕がどう扱われるのかはわからないけど、どうせならモフモフした耳を拝みたかった。
僕を抱えてる腕は背中越しだけどすごい筋肉を感じる。硬いだけじゃなくて、ええっと少し弾力がある感じだ。しっかり僕を支えてくれている力強さや久しぶりに感じる人肌を意識してしまい、こんな状況なのに気持ちが落ち着いてしまう。ヤバいちょっと眠くなってきた。
必死に眠気に耐えていると、男が立ち止まってドアを開けた。初めてあたりを見渡すと、さっきまで居た治安の悪い雰囲気の通りより建物が規則的に並んでいて、ちょっと空気も綺麗な感じがする。男が開けたドアの建物はレンガでつくった温かみのある一軒家だ。ここが男の家なのかな?
「ついたぞ」
そう言われて入って直ぐのリビングみたいな場所のイスに下ろされる。
「ありがとう、ございます。ご主人様」
お礼を言ってから、さっきまで忘れていた緊張が僕を襲う。僕はこの後どうなってしまうのか。
男の動きを見逃さない様にじっと見つめる。
僕と一緒に並んでいた奴隷たちも何人かは売れて、代わりに違う人が連れてこられていた。僕がずっといた部屋は商品の在庫部屋だったんだな。ここの奴隷が売れれば、僕みたいに連れてこられる。
店の前を通る人の流れを眺めていると、視線を感じて気配を探る。ちょうど僕のいる店の反対側から立ち止まって僕の方を見ているガタイの良い男の人と目が合った。男が目を見開いてこちらに近づいてくる。
僕が何か不快に思われるようなことをしたのかも!目を逸らしてさらに縮こまる。こっちに来ませんように。
「おいお前そこの兄ちゃんが買ってくれるってよ。お前のご主人様だ。さっさと挨拶しろ!」
僕の願いはかなわず、僕のことを見ていた男の人に買われたみたいだ。顔を上げて視界に入れる。熊っぽい人だっだ。それは比喩でもなく熊みたいな耳が頭の上に生えていて。体格も細マッチョではなく、それはもう圧倒的筋肉。身長も2mくらいあるじゃないかな。
「早く立つんだ!」
じっと見上げているだけの僕にしびれを切らしたお店の男が声を上げる。
僕は急いで立とうとするけど、ずっと座ってたからかふらふらする。もたもたしている僕を目の前の熊の男の人が手を伸ばしてきて僕を抱き上げた。
抱き上げられ...た。いわゆるお姫様抱っこだ。
「早くいくぞ」
混乱している僕をよそに人の流れに混じり歩き始めた。待ってこんなあっさりあの場所を離れるなんて考えてもなかった。えっとこの人が僕のご主人様になった人だから、ご主人様って呼べばいいのかな?
「あ、あの。ご主人様?僕歩けるので、その...おろしてもらえませんか?」
とりあえずこのお姫様抱っこの状態が恥ずかしくて、知らない男の人の腕の中に居るのも落ち着かなくて下ろしてもらえないか聞いてみる。
「話は俺の家に着いてからだ」
少し渋くてお腹に響いてくるようなイケボだ。じゃなくて下ろしてくれる気配はない。この人の家まで僕はこの状態なのか。よくよく考えたら僕は裸なわけで、確かにこのほうが裸で歩き回るよりはマシかも知れない。裸で男の腕の中に居るという事は一旦忘れよう。
話しかけれる空気ではないので、この人の家に着くまで黙って観察をする。
顔を見た感じ、まだオッサンとまではいかないけどお兄さんよりは年が上な気がする。30歳くらいに見える。頭の上の耳はこの位置から見えないので少し残念に思う。この後僕がどう扱われるのかはわからないけど、どうせならモフモフした耳を拝みたかった。
僕を抱えてる腕は背中越しだけどすごい筋肉を感じる。硬いだけじゃなくて、ええっと少し弾力がある感じだ。しっかり僕を支えてくれている力強さや久しぶりに感じる人肌を意識してしまい、こんな状況なのに気持ちが落ち着いてしまう。ヤバいちょっと眠くなってきた。
必死に眠気に耐えていると、男が立ち止まってドアを開けた。初めてあたりを見渡すと、さっきまで居た治安の悪い雰囲気の通りより建物が規則的に並んでいて、ちょっと空気も綺麗な感じがする。男が開けたドアの建物はレンガでつくった温かみのある一軒家だ。ここが男の家なのかな?
「ついたぞ」
そう言われて入って直ぐのリビングみたいな場所のイスに下ろされる。
「ありがとう、ございます。ご主人様」
お礼を言ってから、さっきまで忘れていた緊張が僕を襲う。僕はこの後どうなってしまうのか。
男の動きを見逃さない様にじっと見つめる。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。

囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?
捨て猫はエリート騎士に溺愛される
135
BL
絶賛反抗期中のヤンキーが異世界でエリート騎士に甘やかされて、飼い猫になる話。
目つきの悪い野良猫が飼い猫になって目きゅるんきゅるんの愛される存在になる感じで読んでください。
お話をうまく書けるようになったら続きを書いてみたいなって。
京也は総受け。

使命を全うするために俺は死にます。
あぎ
BL
とあることで目覚めた主人公、「マリア」は悪役というスペックの人間だったことを思い出せ。そして悲しい過去を持っていた。
とあることで家族が殺され、とあることで婚約破棄をされ、その婚約破棄を言い出した男に殺された。
だが、この男が大好きだったこともしかり、その横にいた女も好きだった
なら、昔からの使命である、彼らを幸せにするという使命を全うする。
それが、みなに忘れられても_

飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
なんでも、向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。悪くない顔立ちをしているが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】ぎゅって抱っこして
かずえ
BL
幼児教育学科の短大に通う村瀬一太。訳あって普通の高校に通えなかったため、働いて貯めたお金で二年間だけでもと大学に入学してみたが、学費と生活費を稼ぎつつ学校に通うのは、考えていたよりも厳しい……。
でも、頼れる者は誰もいない。
自分で頑張らなきゃ。
本気なら何でもできるはず。
でも、ある日、金持ちの坊っちゃんと心の中で呼んでいた松島晃に苦手なピアノの課題で助けてもらってから、どうにも自分の心がコントロールできなくなって……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる