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3話
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よくわからない世界に来てからたぶん一週間たった。いつものように朝ごはんを食べていると、最初に僕に枷をつけた男が来た。
「今日からお前も商品として売りに出す。大人しくしてればきっとお前を可愛がってくれるご主人様が見つかるぜ」
そう言われて首の枷に鎖をつけられ引っ張られるようにして檻を出る。そうだよね。僕は奴隷で商品だからずっとここに居られる訳じゃないよね。最初に一回だけ来た椅子とテーブルがあるだけの部屋を通り抜けて、廊下を歩いているとだんだん明るくなった。それでもっと歩いて行くと急に眩しくなっていき、次の瞬間空が見えた。一週間ぶりの日差しに目の奥が痛い。
僕が眩しくて立ち止まっていると鎖が引っ張られてこけそうになりながら歩かされる。眩しさにも慣れたころに見えた外の世界はここが日本でも地球でもないどこか違う世界なんだと、スッと理解できるくらいにまるで違った。
まず歩いている人達がおかしい。もちろん普通の人間もいるけど、動物の耳が生えてて尻尾もある人とか、背中から羽が生えてる人。それにすごく体の大きい人。どのくらいかというと身長は多分3m超えてて筋肉が分厚い。
建物はレンガや土を固めたような家から、木で雑に組まれているだけの住めるのか怪しいものなどが所狭しと並んでいてあまり治安がいいようには見えない。
「お前はここで媚でも売ってご主人様を捕まえるんだな」
そう男の人に言われてから、首から垂れ下がっている鎖を足元の杭に留められた。そのあとは近くにいる別の男の人に声を掛けて戻っていった。
横を見ると色んな人達が商品として並んでいる。綺麗なお姉さんや、強そうな青年、小さな子供
。向かい側のお店は同じ奴隷を売っているみたいだけど、こっちと違って人間じゃない。耳や羽がついてるから、そういうのでお店を分けてるみたいだ。
でもやっぱり商品の奴隷は服を着せてもらえないみたいだ。一週間で裸でいることにある程度慣れてたつもりだけど、外でこんなに人がいる通りだと結構恥ずかしい。
通っている人たちの後ろにも首枷をした人がいるけど、服を着せてもらってる。僕も買って貰えたら服が着れるのかな?でも着飾ってる奴隷もいるけど、ボロボロな服を着て重そうな荷物を運んでいる奴隷もいる。誰かに買い取られてもどういう扱いを受けるか分からない。
裸で立っているのが耐えられなくて、地面は土だけど体を隠す様に座る。近くにいる男の人も何も言わないので特に問題はないみたいだ。
他の奴隷は、自分を売り込もうと通りかかる人に話しかけている人や、じっと座っている人。泣いている少年。いろいろみたいだ。売れ残ったらどうなるか分からないけど、ここに居ればご飯を食べれて暴力も振るわれない。反抗すると『罰』を受けるけど、怪我をするわけじゃない。売られた後が不安でまだここに居たいと思ってしまう。
周りの様子を見ながら考えることにした。
「俺は剣の扱いが得意だ!」
ガタイのいい青年が叫ぶ。
「私は家事が一通りできます。...夜の相手もつとめます。どうか買ってください」
綺麗なお姉さんは少し躊躇いながらも自分の価値を上げる。
「やだよぉ~~!ぉ...お家に帰りたいよぉ!うぅ」
今の状況を受け入れられない少年。だけど中年のおじさんが男の人に話しかけて買ったみたいだ。
「お前は今日から私の奴隷だ。私好みに躾けるのが楽しみだ」
おじさんは嫌な笑みを浮かべて手を差し出している。
「ッひ!やだ来ないで!」
「生意気だな。罰を」
少年がおじさんの手を叩いてしまった。反抗した奴隷は罰を受ける。
「い゛だぃ!あ゛ああ~~~!」
「解除する」
「ご...めん、なさい。ごめんなさい。もうしないで」
そうして泣きながらも少年はおじさんに連れていかれた。
見てて辛いけど僕もああいうおじさんに買われるのかなって言う不安の方が大きい。反抗したらダメなんだ。ガタイのいい青年や綺麗なお姉さんみたいに自分から売り込むことは出来ないけど、せめて従順であれば罰は受けずに済むかもしれない。
でも僕は男だし、子供みたいに小さくなければ、ガタイがいい訳でもないし、綺麗でもかっこよくもない。何ならガリガリに痩せてる。僕も家事は出来るけど、こんなに世界が違うと自信がない。
買われるのも怖いけど、売れ残ったらどうなるのかわからないのも怖い。僕はどうするのが正解なんだろう。
「今日からお前も商品として売りに出す。大人しくしてればきっとお前を可愛がってくれるご主人様が見つかるぜ」
そう言われて首の枷に鎖をつけられ引っ張られるようにして檻を出る。そうだよね。僕は奴隷で商品だからずっとここに居られる訳じゃないよね。最初に一回だけ来た椅子とテーブルがあるだけの部屋を通り抜けて、廊下を歩いているとだんだん明るくなった。それでもっと歩いて行くと急に眩しくなっていき、次の瞬間空が見えた。一週間ぶりの日差しに目の奥が痛い。
僕が眩しくて立ち止まっていると鎖が引っ張られてこけそうになりながら歩かされる。眩しさにも慣れたころに見えた外の世界はここが日本でも地球でもないどこか違う世界なんだと、スッと理解できるくらいにまるで違った。
まず歩いている人達がおかしい。もちろん普通の人間もいるけど、動物の耳が生えてて尻尾もある人とか、背中から羽が生えてる人。それにすごく体の大きい人。どのくらいかというと身長は多分3m超えてて筋肉が分厚い。
建物はレンガや土を固めたような家から、木で雑に組まれているだけの住めるのか怪しいものなどが所狭しと並んでいてあまり治安がいいようには見えない。
「お前はここで媚でも売ってご主人様を捕まえるんだな」
そう男の人に言われてから、首から垂れ下がっている鎖を足元の杭に留められた。そのあとは近くにいる別の男の人に声を掛けて戻っていった。
横を見ると色んな人達が商品として並んでいる。綺麗なお姉さんや、強そうな青年、小さな子供
。向かい側のお店は同じ奴隷を売っているみたいだけど、こっちと違って人間じゃない。耳や羽がついてるから、そういうのでお店を分けてるみたいだ。
でもやっぱり商品の奴隷は服を着せてもらえないみたいだ。一週間で裸でいることにある程度慣れてたつもりだけど、外でこんなに人がいる通りだと結構恥ずかしい。
通っている人たちの後ろにも首枷をした人がいるけど、服を着せてもらってる。僕も買って貰えたら服が着れるのかな?でも着飾ってる奴隷もいるけど、ボロボロな服を着て重そうな荷物を運んでいる奴隷もいる。誰かに買い取られてもどういう扱いを受けるか分からない。
裸で立っているのが耐えられなくて、地面は土だけど体を隠す様に座る。近くにいる男の人も何も言わないので特に問題はないみたいだ。
他の奴隷は、自分を売り込もうと通りかかる人に話しかけている人や、じっと座っている人。泣いている少年。いろいろみたいだ。売れ残ったらどうなるか分からないけど、ここに居ればご飯を食べれて暴力も振るわれない。反抗すると『罰』を受けるけど、怪我をするわけじゃない。売られた後が不安でまだここに居たいと思ってしまう。
周りの様子を見ながら考えることにした。
「俺は剣の扱いが得意だ!」
ガタイのいい青年が叫ぶ。
「私は家事が一通りできます。...夜の相手もつとめます。どうか買ってください」
綺麗なお姉さんは少し躊躇いながらも自分の価値を上げる。
「やだよぉ~~!ぉ...お家に帰りたいよぉ!うぅ」
今の状況を受け入れられない少年。だけど中年のおじさんが男の人に話しかけて買ったみたいだ。
「お前は今日から私の奴隷だ。私好みに躾けるのが楽しみだ」
おじさんは嫌な笑みを浮かべて手を差し出している。
「ッひ!やだ来ないで!」
「生意気だな。罰を」
少年がおじさんの手を叩いてしまった。反抗した奴隷は罰を受ける。
「い゛だぃ!あ゛ああ~~~!」
「解除する」
「ご...めん、なさい。ごめんなさい。もうしないで」
そうして泣きながらも少年はおじさんに連れていかれた。
見てて辛いけど僕もああいうおじさんに買われるのかなって言う不安の方が大きい。反抗したらダメなんだ。ガタイのいい青年や綺麗なお姉さんみたいに自分から売り込むことは出来ないけど、せめて従順であれば罰は受けずに済むかもしれない。
でも僕は男だし、子供みたいに小さくなければ、ガタイがいい訳でもないし、綺麗でもかっこよくもない。何ならガリガリに痩せてる。僕も家事は出来るけど、こんなに世界が違うと自信がない。
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