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自立への道

26話〜ヴァロー視点〜

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「バロー?」

タロの少し不安そうな声にハッとする。

俺があれこれ考えてるうちにタロは食べ終わっていた。

慌てて俺の分のメシを食う。

あれやこれや考えていても仕方がない、取り敢えず教会に行ってタグを作ってもらう。

タグを見てから考えることにした。

「タロ行くぞ。教会」

「きょうかい?」

教えてない言葉だったけどどうつたれば良いか分からない。

こう言うのはロジーの方がうまいな。

「行くぞ」

店を出て大通りに出るとタロはキョロキョロとあたりを見ていることに気がつく。

そういえばこいつ昨日はずっとフードを被って俺の胸に頭を押し付けていたっけな。

まあ俺からしたらいつもの町って感じだがタロはそうじゃないってことだよな。

タロを観察していたら教会に着いたので立ち止まる。

よそ見をしていたタロはもちろん俺にぶつかった。

「バローごめん」

「大丈夫」

よそ見をしてぶつかったのが恥ずかしかったのか顔を少し赤くしている。

あーまじ可愛い………じゃない!ニヤついた顔を正して教会に入る。

俺はこの町に住んでいるがこの町の教会に入るのは初めてだ。

入って一番最初に目についたシスターに声をかけた

「あの、なんだ、訳あってタグを持ってねぇ子供を保護しているんだが、こいつのタグを新しく作ることは可能か?」

「タグについてはこの教会の神父のトーマス様が管理しております。私では判断しかねますのでトーマス様の部屋にご案内いたします」

「助かる」

どうやら神父の元に連れて行ってくれるらしい。

「こちらです」

ーーーコンコンコン

「トーマス様失礼します。こちらの子供のタグを作って欲しいそうです」

部屋に入ると人の良さそうな神父がいた。

案内された席に軽くお辞儀をしてから座る。

「詳しい事情を話してくれるかな?」

「俺はヴァロー。冒険者をしている。魔の森にて言葉が通じない子供、タロを保護した。こいつは虐待されていたと思われる痕があった。魔の森の奥に子供を捨てるようなことは難しい。不審に思いタグを確認しようとしたが持っていなかった」

「ふむ。タグは生まれてすぐにつけて外れないようにしているからね。ないと言うことは親が教会に連れてこず育て今になって捨てたってことなのかな。そんなことはなかなかないと思うんだけど、まあ安心して欲しい。タグは例外なくない人にはつけてもらうようになっているからね」

「助かる」

「早速ではあるがタグの登録をしよう」

トーマス神父はタグを取り出しタロの前に差し出す。

「タロ魔力。タグ」

俺が声をかけると心得たという感じでタグを受け取り覚えたての魔力を少し得意げに流してた。



ーーー
名前:タロ

種族:人間(魔の森の子)

性別:男

年齢:18

職業:



ーーー

!?

人間の後についている魔の森の子って何なんだよ!

魔獣って訳では無いんだろうがそんな表記初めて見たぞ。

まるで魔の森で生まれたみたいな………。

思考を巡らせつつ下の方も見ていく。

年齢、18歳?

18歳………。

ちょっと待てタロ、こいつはこんななりして子供じゃ無いってことか!

嘘だろ、どの種族探したってこの幼さは、無いだろ……。

トーマス神父も俺と同じよな反応をしている。

そりゃそうなるわな。

「俺もちょっと予想外すぎてあれなんだが、こいつは子供じゃ無かったんだが孤児院は入れないってことか?」

色々考えたが一番の問題はそこだろう。

「あ、あぁ。規則的には18歳は孤児院に入れないだよね。でもタロくんは、言葉がわからないのだろう?どうしたものかな」


「こいつは常識もかけてるからな。孤児院に入って教えてもらうのが一番良いと思ってたが………」

「勉強だけなら通いで来るのは問題ないよ。読み書きを習いに来る勤勉な子はたまにいるからね。だが住むところは与えられない」

昼間タロを教会が預かってくれるなら俺は仕事に行けるし、タロも勉強ができる。

まだタロと過ごせる。

「トーマス神父。昼間にこいつの勉強を頼んで良いか?俺はこれでもSランク冒険者で家も持っているしお金も不自由していない。住む場所は俺が与えられる」

「そう言うことなら問題ないよ。いやぁ、タロくんは良い人に保護してもらえたね。ただ私は魔の森の子という表記は見たことがなくてね、書庫で調べてみよう。勉強は朝から昼過ぎまで明日からならいつでもきて良いよ。話は通しておくから」

「あぁ、じゃあ明日から頼みます」

「それと勉強は孤児院の方でするからね。教会の裏にあるからそちらにきてくれ」


「わかった」

話がまとまったので軽くお辞儀をして、言葉がわからなくて暇してたであろうタロを呼び教会を出た。



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