サイコーにサイコなカノジョ。

第２章 ユガンダコイゴコロ

サイコーにトラウマなカノジョ

しっかし、どーすっかなぁー…。

いつもみたいにバイト先に向かおうとしたんだけど、なんか行きたくないという思いが胸のどっかにあった。

それで遠藤が軽はずみで言ったであろう言葉が脳内で再び蘇る。

目撃者は殺されるのがミステリーのお決まり…か。

なんだよ、サイコーじゃねぇかよ。

サイコだけに。

クソ…スマイリーだかなんだか知らんが、俺は一生怯えなきゃいけねぇのかよ?!

なんだってこんなことになったんだ、チキショー!!

警察に保護してもらえるって話だけど全然信用ならねぇ。

とりあえずだ。

仕方ねぇ。

今日はバイトを休む。

皆勤賞は失われるけど、命を失われるよりは断然マシだ。

早速店長の元に電話を掛ける。

理由は…体調崩したでいいか。

「あの店長？すみませんが、今日ちょっとなんか体調悪くて…はい、なんでバイト休みます」

店長はあっさり承諾してくれた。

あとは帰るだけ。

俺はそのまま帰路へついた。






















数分後…マクドナルド…

「こんにちは」

「おー相澤ちゃん、今日も可愛いねぇ」

店長に可愛いって言ってもらえた。

でも別に嬉しくはなかった。

そこで私は彼の姿を探してみる。

…いない？

…なんで？

まさか私を恐れて…？

不安になった私は店長に質問を投げかけてみる。

「あれ？武田先輩は？」

「ん？あぁ…アイツなら今日体調不良で休むって話だ」

なんだ、体調不良か。

きっと事件現場を目撃したことからＰＴＳＤになったんだ。

ほっと胸を撫で下ろす。

でもその一方である不安も過ぎってきた。

もし彼がこのままバイトを休み続けたら…？

バイトはクビになることはもちろん、ちょっとした変化で容疑者として疑われる可能性がある。

なぜなら先輩が事件の目撃者だからだ。

報道には晒されていないが、彼は間違いなく、私が起こした事件の重要参考人になっているはず。

最悪の場合、先輩が逮捕されることだってあり得る。

それだけはなんとしてでも避けたい。

先輩は私だけのもの。

先輩は誰にも渡したりなんかしない。

…となると彼をバイトに行かせる手段を考えないと…。

そのためにはまず飴と鞭、どっちがより効果的かを考えないと。

私は少し頭を撚る。

………………………。

決まった。






















鞭で行こう。