サイコーにサイコなカノジョ。

須藤真守

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第1章 はっぴぃすまいる。

サイコーにカワいいカノジョ

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山形の田舎から上京して4年、俺はすっかり都会の空気に馴染んでいた。

まずはオーソドックスに自己紹介から始めよう。

俺の名前は武田 孝介!

都内の大学に通うピカピカの4年生!

ちなみに自慢じゃねぇんだけど61回恋して60回失恋してるぜ!

え?

あとの1回はどうしたって?

フ…聞いて驚くなよ?

今も俺は恋してる真っ最中なのさ!

どうだ?!

驚いたか?!

ちなみにその恋の相手はバイト先の女子高生さ!

ソイツがさ、すっげぇ美少女でよぉ…

しかも恋のライバルがたくさんいるんだぜ!

マジやばくね?!

な?!

まぁ、んなことは置いといて、今 俺は講義終わってそのバイト先のマーク(ファストフード店の名前)に向かってるとこ。

よっしゃ、今日という今日こそは先輩として相澤さんにいいとこ見せてやるぜ!!
























一方その頃、警視庁捜査一課の巡査部長である杉本はとある事件現場へと向かっていた。

また出てしまったのだ。

が…。

現場へ着くと、既に数台のパトカーが停められていた。

さらにどこから聞きつけたのかも分からないマスコミも押しかけていた。

(またマスコミか…)

目の前を通ると、彼らは一斉に次々とまるで罵声のように質問を叩きつけてきた。

「また事件ですか?!」

による殺人でしょうか?!」

「警察はなにをしているのですか?!」

どれも警察は無能と伝えているように感じた。

彼はそれを鬱陶しく思っていた。

なぜなら警察は本当に無能だと認めざるおえないからだ。

杉本…いや、彼ら刑事はそれが悔しくてたまらないのだ。

都内だけで60人。

60人もの犠牲を出しながら何一つとして犯人へと繋がる手掛かりが出ていないのだ。

(クソ…また出たのかよ……)

スマイル…今 都内を騒がせている連続猟奇殺人鬼だ。

奴の殺害方法は後に分かるだろう。

杉本は窶れた顔で黄色いテープを潜る。

現場へ入ると鑑識がせっせと忙しそうに至るところから指紋を採取している姿が伺えた。

被害者宅のみならず、現場周辺へと捜査範囲を広げたので以前までよりもずっと忙しいのだろう。

「杉本さん、こっちです」

後輩刑事が被害者のところへと案内してくれた。

被害者宅にはマスコミ避けのブルーシートが被せてあった。

内装は荒れてなかったものの、入った途端からすぐに嫌な臭いが鼻についた。

奥の扉からだった。

「杉本さん、覚悟して見たほうがいいですよ」

そう心配されたが、杉本は「大丈夫、慣れてる」と言った。

そして奥の扉を慎重に開ける。

臭いは唐突に濃くなった。

「!!」

胃液が思わず逆流しかけた。

だが先程の「慣れてる」という言葉に責任を感じ、ギリギリのラインで飲み込んだ。

その死体は笑っていた。

なくらいに。


顔はホチキスのようなもので目と口のようなものでとめられており、見るのも痛々しかった。

「…またスマイル…か…」

彼はじっと向かい側の壁を睨んだ。

そこには凝固した血で嘲笑うような顔が描かれていた。

これは必ず奴が残していく

恐らく奴にとっては芸術アートなのだろう。

そして彼らは顧客ギャラリー

そう考えると、冷たい憎悪の感情が湧いてきた。

奴は愉しんでいる。

愉しんで殺している。

杉本の奥にある許せない正義感が働く。

(俺が必ずお前を捕まえてやる…!!)
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