上 下
2 / 19

1-2

しおりを挟む
 


 こんな目の前で男性のものを見るのはこれが初めてだ。
 男の頭髪と同じ明るい茶色の縮れた毛の間から、ぶらんとそれが垂れ下がっている。
 その様は、象の鼻に似ていなくもない。
 排泄器官でもあるそれは、実際は汚いのだろうけれど、そう思えば何だか可愛らしくも思える。

 何となく気になって、鼻先にあるそれを、クンと嗅ぐ。
 臭くはないが、汗の匂いにも似た男の香りが。
 するとが、ピクリと小さく反応したのが分かった。

 ちら、と視線を上に上げれば、同じくレイティシアを見下ろしていた男の焦げ茶の瞳が。
 よく見れば髭もないその顔は、レイティシアとそんなに年も変わらなく見える。
 それに少し幼さを感じさせるその風貌は、どちらかと言えば整った顔だ。

 その時。
 レイティシアの中で、いたずら心が生じた。

 それに顔を近づけ、チュッと口付ける。
 途端、男が体を強張らせた。

 再び目線を上げれば、動揺したような男の瞳が。
 それに気を良くしたレイティシアは、今度はもっと大胆にそれに口付けた。

「……なっ!」

 強く唇を押し当てると、ふにゃふにゃだったそれが、むくりと一回り大きくなる。
 先程と違い、弾力を伴って固くなったそれに、レイティシアは驚いた。

 しかしまだそれは、所謂勃起という状態には程遠い。
 半々勃ち、といったところだろか。
 よくは知らないけれど。

 何だか面白くなってきたレイティシアは、男が動かないのをいいことに、今度は、あむりと、それを咥えてみた。

「……ぐっ……!」

 口に含んだ途端、みるみるうちにそれが硬さを増し、大きくなる。
 反り返るように膨らんで大きくなったそれに、口内を押し上げられて、思わずレイティシアはえずきそうになった。
 慌てて顔を離せば、口の中からズルリとそれが抜け落ちる。
 反動でそれが、レイティシアの唾液を飛ばしてベしりと男の腹を打った。

「ぐっ……ゲホッ! ゲホッ!」

 堪らず咳き込み、体を曲げる。
 涎が口の端から垂れるが、両腕ごと縛られているため拭うことは出来ない。
 仕方なく、涎で口を濡らしたままレイティシアが顔上げると、そこには、顔を真っ赤にした男が居た。

「……な……」

 唖然とするレイティシアの前で、何故か男が無言のまま後退る。
 そのままクルリと後ろを向いたかと思うと、男は勢いよく独房の鉄の扉を開けて、外へと出て行ってしまった。

「…………何なんだ……?」

 バタンと勢いよく閉められた独房の扉を呆気にとられたまま見詰めて、レイティシアは独り言ちた。

 それにしても、あんなもので頬を打つなどという破廉恥なことをしでかしておきながら、何であれくらいのことで照れるのだ。
 というか。
 むしろ、そうしろと迫るものではないのか?
 てっきり、一晩楽しませろと言うからには、体を暴かれるくらいのことをされるのかと思っていたが、違ったのか。

「……何をしたかったんだ……あいつは……」

 呟いても、それに答えてくれる者はいない。
 しかしながら、何やらしてやったりという妙な満足感に満たされたレイティシアは、そのままごろりと冷たい石の床に横になったのだった。





しおりを挟む
感想 19

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

自習室の机の下で。

カゲ
恋愛
とある自習室の机の下での話。

落ち込んでいたら綺麗なお姉さんにナンパされてお持ち帰りされた話

水無瀬雨音
恋愛
実家の花屋で働く璃子。落ち込んでいたら綺麗なお姉さんに花束をプレゼントされ……? 恋の始まりの話。

職場のパートのおばさん

Rollman
恋愛
職場のパートのおばさんと…

イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?

すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。 翔馬「俺、チャーハン。」 宏斗「俺もー。」 航平「俺、から揚げつけてー。」 優弥「俺はスープ付き。」 みんなガタイがよく、男前。 ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」 慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。 終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。 ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」 保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。 私は子供と一緒に・・・暮らしてる。 ーーーーーーーーーーーーーーーー 翔馬「おいおい嘘だろ?」 宏斗「子供・・・いたんだ・・。」 航平「いくつん時の子だよ・・・・。」 優弥「マジか・・・。」 消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。 太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。 「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」 「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」 ※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。 ※感想やコメントは受け付けることができません。 メンタルが薄氷なもので・・・すみません。 言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。 楽しんでいただけたら嬉しく思います。

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

私の部屋で兄と不倫相手の女が寝ていた。

ほったげな
恋愛
私が家に帰ってきたら、私の部屋のベッドで兄と不倫相手の女が寝ていた。私は不倫の証拠を見つけ、両親と兄嫁に話すと…?!

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

処理中です...