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しおりを挟むこんな目の前で男性のものを見るのはこれが初めてだ。
男の頭髪と同じ明るい茶色の縮れた毛の間から、ぶらんとそれが垂れ下がっている。
その様は、象の鼻に似ていなくもない。
排泄器官でもあるそれは、実際は汚いのだろうけれど、そう思えば何だか可愛らしくも思える。
何となく気になって、鼻先にあるそれを、クンと嗅ぐ。
臭くはないが、汗の匂いにも似た男の香りが。
するとそれが、ピクリと小さく反応したのが分かった。
ちら、と視線を上に上げれば、同じくレイティシアを見下ろしていた男の焦げ茶の瞳が。
よく見れば髭もないその顔は、レイティシアとそんなに年も変わらなく見える。
それに少し幼さを感じさせるその風貌は、どちらかと言えば整った顔だ。
その時。
レイティシアの中で、いたずら心が生じた。
それに顔を近づけ、チュッと口付ける。
途端、男が体を強張らせた。
再び目線を上げれば、動揺したような男の瞳が。
それに気を良くしたレイティシアは、今度はもっと大胆にそれに口付けた。
「……なっ!」
強く唇を押し当てると、ふにゃふにゃだったそれが、むくりと一回り大きくなる。
先程と違い、弾力を伴って固くなったそれに、レイティシアは驚いた。
しかしまだそれは、所謂勃起という状態には程遠い。
半々勃ち、といったところだろか。
よくは知らないけれど。
何だか面白くなってきたレイティシアは、男が動かないのをいいことに、今度は、あむりと、それを咥えてみた。
「……ぐっ……!」
口に含んだ途端、みるみるうちにそれが硬さを増し、大きくなる。
反り返るように膨らんで大きくなったそれに、口内を押し上げられて、思わずレイティシアはえずきそうになった。
慌てて顔を離せば、口の中からズルリとそれが抜け落ちる。
反動でそれが、レイティシアの唾液を飛ばしてベしりと男の腹を打った。
「ぐっ……ゲホッ! ゲホッ!」
堪らず咳き込み、体を曲げる。
涎が口の端から垂れるが、両腕ごと縛られているため拭うことは出来ない。
仕方なく、涎で口を濡らしたままレイティシアが顔上げると、そこには、顔を真っ赤にした男が居た。
「……な……」
唖然とするレイティシアの前で、何故か男が無言のまま後退る。
そのままクルリと後ろを向いたかと思うと、男は勢いよく独房の鉄の扉を開けて、外へと出て行ってしまった。
「…………何なんだ……?」
バタンと勢いよく閉められた独房の扉を呆気にとられたまま見詰めて、レイティシアは独り言ちた。
それにしても、あんなもので頬を打つなどという破廉恥なことをしでかしておきながら、何であれくらいのことで照れるのだ。
というか。
むしろ、そうしろと迫るものではないのか?
てっきり、一晩楽しませろと言うからには、体を暴かれるくらいのことをされるのかと思っていたが、違ったのか。
「……何をしたかったんだ……あいつは……」
呟いても、それに答えてくれる者はいない。
しかしながら、何やらしてやったりという妙な満足感に満たされたレイティシアは、そのままごろりと冷たい石の床に横になったのだった。
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