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しおりを挟む「……ぐぅっ……!」
「はっはっはっ! どうだ? 屈辱だろう?」
「くっ……くそうっ! …………はぅあっ!」
薄暗い地下牢の中、男の高笑いが響く。
そして、女にしては低い声の悔しそうな声とともに、ペチリという乾いた音が。
そのまま、ペチリ、ペチリとリズミカルに音が続く。
しばらくして、遂には捕らえられていた女が絶叫した。
「……絶対にっ……! 絶対に、許さんっ……!!」
青い敵国の軍服を着た女は、縄で両腕ごとぐるぐるに縛られ、独房の真ん中で膝をついた状態で立たされている。
その女軍人の前には、カーキ色の軍服を着た男が。
「……貴様っ! 覚えてろよっ!! この私にこんなことをして、ただで済むなどとっ―――――――っ!」
しかし、女の言葉を遮るように、またペチリと乾いた音が。
女の目の前に立った男が腰を揺らすたびに、ぺちぺちと音が響く。
軽く足を広げて立った男の腰の高さには、ちょうど女の顔が。
「なんだ? もう音を上げるのか?」
「……くぅっ!」
「お前が言ったことだろう?」
口の端を吊り上げて嘲弄する男に、女軍人がハシバミの瞳を怒らせる。
燃えるような赤い髪も相まって、ギラリと瞳を光らせたその様は、それこそ視線だけで人が殺せそうな勢いだ。
「お前が屈辱に耐える代わりに、もう一人の捕虜の命を助けて欲しいと言ったのはお前だろう?」
そうなのだ、今回捕らえられたのは、二人。
赤い稲妻の異名を持つレイティシアと、彼女の部下。
捕らえられた際、部下の男はレイティシアを庇って瀕死の重傷を負ったのだ。
すぐさま治療しなければ、部下の命は助からない。
彼の命乞いをするレイティシアに、二人を捕らえた部隊の指揮官らしき男が条件を出した。
「せいぜい頑張って、今夜一晩俺を楽しませるんだな」
「……くっ」
「そら……ほれ、ほれっ」
そう言って、再び腰を左右に揺らす。
その動きに合わせて、男の腰のものがブンブンと揺れて、目の前の女の頬を打った。
ぺち。
ぺち。
ぺちん。
「……」
男のものでぺちぺちを頬を叩かれる。
しかし、最初は憤っていたレイティシアも段々と冷静になってきた。
確かに、屈辱だ。
男性器……ペニスで女の頬を打つなど、破廉恥にも程がある。
しかもレイティシアは生娘だ。
軍隊に所属しているからには、まあ、男共のそれは何度も見る機会はあったが、戦場で赤い稲妻と恐れられ、電光石火の如く敵兵を薙ぎ倒していくレイティシアに手を出そうなどという猛者はいない。
それに、碌に梳かしもしないぼさぼさの髪を一つに括っただけのレイティシアは、その体格もあって、パッと見青年に見える。
レイティシア自身も、普段自分が女であることを忘れているくらいなのだ、そんなレイティシアをどうこうしようなどと思う男はこれまで周りには居なかったのだ。
それにしても。
――――――これ、楽しいのか?
今、レイティシアの頬を打っているそれは、フニャフニャだ。
目の前の男も、笑ってはいるが、どう見ても興奮はしていない。
男が性的に興奮すれば、それがどうなるのかくらい、経験のないレイティシアだって知っている。
まあ、そうなった状態のものを見たことはないのだが。
「……なあ」
「……」
「……お前、こんなことして、楽しいのか?」
レイティシアの問い掛けに、男が動きを止める。
それと同時に、小さく揺れながら目の前にぶらんと垂れさがったそれを、レイティシアはまじまじと見詰めた。
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