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しおりを挟む「ふ……」
唇が触れた瞬間、全身に甘い痺れが駆け抜ける。
背筋が痺れて、体から力が抜け落ちる。
ただ唇が重ねられているだけだというのに、口付けとはこんなにも甘美なものなのか。
抱き止められ、引き寄せられて、こんな状況にもかかわらず、何故かひどく安心する感覚を味わう。
「んんっ」
けれどもそれも一瞬で、吐息と共に口内に入り込んできたものの感触で、身の内の蛇が暴れ出すのがわかった。
口の中を掻き回されるたび、頭の中も掻き回されているかのようだ。
体の痺れはそのままに、下腹に溜まった熱がドロドロと欲望を溶かして渦を巻いていく。
堪らず喘ぎを漏らして体を密着させると、ふわりと体が宙に浮くのがわかった。
「あ……」
抱き上げられて、束の間唇が離れる。
離れた唇の柔らかさが名残惜しくて、縋るように見上げると、眉間のしわを深くしたロルフ卿が無言で部屋を横切り始めた。
部屋の奥にある扉を蹴破るようにして開け、続きの間へと向かう。
使われることを想定していないその部屋は、灯もなく薄暗い。
ひっそりと置かれた寝台に下ろされて、私はぼんやりと上着を脱ぐロルフ卿を見守った。
あり得ない状況だというのに、驚くほどすんなりと現状を受け入れている自分がいる。
逆にあり得なさ過ぎて、現実味がないからだろうか。
はだけたシャツとズボンといういでたちになって、ロルフ卿が今度は私の服を脱がせにかかる。
徐々に露わになっていく肌に、しかし羞恥は全く湧いてこない。
頭の中の靄は濃く、ひたすら体が疼いて熱い。
服を脱がす指が肌をかすめる度、びくびくと体が反応してしまう。
あられもない声が出てしまいそうで、口元を手で覆って堪えるのでいっぱいいっぱいだ。
コルセットを解かれ、シュミーズを下ろされて、一糸まとわぬ裸体が晒される。
汗で湿った素肌が外気に触れる感覚で、ほ、と息を吐くのと、ロルフ卿が私の上に覆いかぶさるのは同時だった。
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