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第二章
24-2
しおりを挟む思えば、このクロードとの付き合いも長くなった。
ご活発なお子様でいらしたお二人に、互いにいつも手を焼かされたものだ。
意地を張り合い、競争で木に登ったはいいが降りられなくなったお二人にハラハラしたことも、私たちの目をかい潜って邸を抜け出されたお嬢様達を、真っ青になって探し回ったことも、未だに記憶に新しい。
大きくお成りになったらなったで、よくわからない意地の張り合いで喧嘩をなさるお二人をお諌めしたこともある。その度に、クロードとは苦笑を交わしたものだ。
それが今は、お嬢様達は連日仲良く部屋にお籠りなため、お嬢様とエーベルト様付きの私達はめっきり仕事が減った。
特に夕方以降はまず呼ばれることはないため、非常に手持ちぶさたである。
喜ばしいことなのだが、やはり寂しい。
それが余程顔に出ていたのだろう、私と同じく夜は暇なクロードが、食事に誘ってきた。
公爵家に来て以来、何故か他の使用人達に距離を置かれて誰かと食べに行くなどついぞなかった私は、寂しさも相まって、ありがたくその誘いを受けることにした。
クロードに連れられて入った店は、飲み屋ではあるが非常に雰囲気が良く、料理も美味しくて、翌日は休みをもらっていることもあってつい気が緩んだ。互いに昔話に花が咲き、気がついたら大分酒を過ごしていた。
盛大にクダを巻いてクロードに絡んだ記憶を最後に、それ以降の覚えがない。
そして、今、に至る。
目を覚ますと、見覚えのないカーテンが目に入った。
ここは、公爵家で割り当てられた私の部屋ではない。
カーテンから漏れるほんのりとした明かりからして、まだ早朝のようだ。
ぼんやりとする頭で、辺りを見回そうと寝返りを打とうとした私は、何故か全く身動きが取れないことに気がついた。
見れば、私の体に太い腕が巻き付いている。
そのことに驚くと同時に、自分が素っ裸であることに気がついて、私は一気に青ざめた。
背中にピッタリとくっついた、熱い素肌の感触と、頭の後ろから聞こえる規則正しい呼吸音。
そして何より、股の間に感じる激しい違和感と下腹部の鈍痛。
これはもう、間違いない。
いわゆる、アレですよ。
世間で言う、ワンナイトラブ、一夜の過ちというやつだ。
まさか自分の身に、そんなことが起ころうとは。
相手は一体誰だと、振り返りたくとも、両腕ごとガッチリと抱き込まれていて全く動けない。
ジタバタともがいていると、更に強く抱きしめられて、私は身を固くした。
どうやら起こしてしまったらしい。
これで、何事もなかったかのようにその場から逃げ出すことはできない。
固まる私の首筋に、未だ誰だかわからない男が顔を埋めてきたため、私はますます固まった。
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