さくらんぼの恋

碧 貴子

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第二章

20-6

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「そうか? でも、どっちも似たようなもんじゃないか」
「……はぁ。ホントお前、見た目はいいのに残念な奴だよなあ。よくそんなんで、あんな綺麗な子に結婚してもらえたな?」
「まあ、リディは付き合いが長いからな」
「まさかお前、それを彼女に言ってないよな?」
 何故か、非常に残念なものを見るような目で見てくる。
 その言葉で、リディアーヌの機嫌が悪くなる前に、女の子達にそれに近いことを言ったことをエーベルトは思い出した。

「……言ったんだな?」
「……」
「それは、怒るだろ」

 そう言われても、良くわからない。
 首を傾げたエーベルトに、ノートンが諦めたようにため息を吐いた。

「つまりな、その流れでそんなことを言われたら、じゃあ付き合いが長いから結婚したのかって思われかねないってことだよ」
「そういうつもりはっ!」
「そうだとしても、ただでさえ自分の知らない所で他の女の知り合いが居るってだけでも嫌なのに、不安になってお前に気持ちを聞いてみりゃそんなことを言われて、そりゃあ奥さん、怒るだろ」

 言われてみれば、確かにその通りである。
 自分ももし、自分の知らない所でリディアーヌに男の知り合いが居ると知ったら、嫌だろう。

「ま、見つけたら、ちゃんと愛してるって言ってやるんだな」
 ノートンはすっかり呆れ顔だ。
 やれやれといった様子のノートンを見ている内に、エーベルトはハタと大事なことを思い出した。

 



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