さくらんぼの恋

碧 貴子

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第二章

18-5

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「よくいうよ。堂々と一緒に居られる、じゃなくて、堂々とヤれる、の間違いだろ?」
「おい、お前一応この国の王太子だろ? いくらなんでも言葉を選べよ」
 さすがのエーベルトも呆れ顔で忠告する。
 まあ、仲間内の会話だから良いといえば良いのだが。

「というか、ベル。お前、大丈夫だったわけ?」
「なにが」
「だって、ベル達は初めて同士だろ?」
「……何で初めてってわかるんだよ」

 思わずむっとしたエーベルトに、王太子が楽しそうな顔になった。
 これは絶対、からかう気だろう。

「そんなの、普段のベルを見てればわかるさ。それに、リディアーヌ嬢は言わずもがなだしな」
「……」

 そんなに端から見てわかるほど、自分は童貞臭かったということか。
 まあ、事実そうだったのだから何も言えないが。

「……で? どうなんだ?」
 にやにやと笑って肩を組んでくる。

 強引に振りほどきたいところだが、人目があるここでは、立場上そういうわけにもいかない。
 エーベルトは諦めたようにため息を吐いた。

「どうって、なんだよ」
「だから、ちゃんと妻を満足させられてるのかって話だよ」
「……お前なぁ」
「や、大事なことだぞ? それに、一応心配してやってるんじゃないか」

 全くそうは見えない。
 どう見ても、からかって楽しんでいる様子の王太子に、エーベルトは再びため息を吐いた。
 新婚というものは、とかくやっかまれるものなのだ。









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